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ドイツの保育園を首になりそうな私の憂鬱

先日、久しぶりに転けてしまった。

ドイツの景観は様々な規定で守られているのだが、石畳の道もその一つ。子供の握りこぶしぐらいの石をトントン金槌で一つ一つ砂に埋めていく、手作業で作られる歩道。少し凸凹しているからけど、道幅いっぱいそうなっているわけではなく、歩道の両端にわざわざ小さめの石を敷き詰めている部分がある。

最近学校に数分だけだけど遅刻していた。けれどその日はちゃんと予定通り、7時23分発のバスに走って間に合った。セーフ!
少しアドレナリンが出過ぎていたのかもしれない。バスから降りてから駅までの道を、まだ時間の余裕があるのに小走りで走った。人をよけながらクネクネと。
そして石が敷き詰められた歩道に足を取られ、コケた。

自分の間抜けな「あっ」という声が聞こえ、左ひだを強打した。おバカなことに右手には携帯を持っていたので、親指で着地。左足のズボンは破れ、ザクっと皮が剥けた。

こんな歳でこけるなんて恥ずかしい。

誰1人として私に声をかけなかった。そのことがなんだかすごく寂しかった。
小学生ぐらいの女の子がお母さんに「あの人どうしたの?」と聞いたら、お母さんは「知らない。」と答えていた。私は知らない人なのだ。

誰も私に興味がない。
痛みによろけながら立った。

朝の通勤時に、誰もそんな余裕などないというのは、後で友達に言われて、納得したけれど。

先週、今働いている保育園の園長から、この状態ではここで働き続けるのは難しい、というようなニュアンスの言葉をいただいた。1ヵ月猶予を上げるから、 もっと態度を改めるようにと言い渡された。

私の契約は、職業訓練が終わる来年の2月に切れる。

彼はいくつか、私のよくなかった態度を上げた。例えばミーティングのとき携帯を見ているとか(これは反論できない)。チームで話し合いをしている時に何も言わないで座っている事など。

それから全体ミーティングの時、誰かが記録係をやるのだが、私はそれを「無理無理無理〜」と言って拒んだこと。
だってドイツ語で聞きながら同時進行で書くなんて言う芸当は、はっきり言って無理。絶対間違うってば。分かっているような顔して座っているけれど、実は分かっていないこと一杯なんだもの。

他にもチクチク言われたけど、落ち込むから割愛する。

保育士学校のクラスの中で、保育園から採用されないと言われた人は他にはいないようだ。大体保育士は不足しているので、みんなそのまま続けてくれと言われているものらしい。

ははは。

落ち込んだ気持ちを、クラスメイトで仲のいスザンネに話した。スザンネの反応は思ったよりもさっぱりしていた。(本人は結構ねちっこい性格なんだが)
そして多くのドイツ人は自分のことを包み隠さず説明するように。彼女も私のことを包み隠さずクラスの前で説明した。

それはグループ形成がどのようなプロセスを通るか、という授業だった。
スザンネは教師に向かって、

「この子は今働いている保育園に採用されないから、グループ形成の最終段階にいるのよ。」

と言ったのだ。
私は正直「なんでそんなデリケートなことをみんなの前で言うんだ!」と、傷口をえぐられたような気分だった。
しかし「ドイツ人て、こういうとこあるよな。」と、ちょっと笑ってしまったのだ。

彼女があまりにも当たり前のように堂々と言うので、私は「あぁこの方がみんなにいろいろ仕事を紹介してもらえるかもしれないし、はっきり言ったほうがいいのかもしれない。」と少し思い直した。

うん、私が決めて、前に進まなくちゃ。

私は自分を変えられなし、変えたくないし。
<注>携帯は見ないようにするけど

もっと自分に合った保育園なり他の場所を探すのだ!


しかし振り返って私を見たクラスメイトの目は、明らかに「かわいそう」と言っていた。


お、オラに力を!!



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