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ドイツの11月 ・ ベルリンの人形劇フェスにツッコミたい!

おととい雪が降りました、そして今日は積もっています。ベルリン23年の11月の終わり、白い雪が日に照らされ、青い空にツンと指が冷えます。

芸術の秋に芸術に触れなかった。この若干の思い残しを払拭するため、週末は張り切ってママ友に連絡。みんなでベルリン人形劇フェスティバルに行ってきました。

公園が点在する大きな敷地にドンッと建っているFEZ Berlin (フェッツベルリン)。
文化会館のような所と言えばいいでしょうか。いつも子供やファミリーを対象としたイベントをやっています。プールやバレエスクールも入っています。

プログラムを見ると、人形劇フェスティバルは二日間に渡り、1日にいくつもの人形劇が上演されるよう。オオカミと7匹の子供や、ブレーメンの音楽隊といったお馴染みのお話や、創作劇など10ほどの演目がラインナップされていて、それぞれ3歳以上とか6歳以上と目安の対象年齢が書かれています。

どれにしようかなーと、ママ友に候補を送るも返信がない。。
しびれをき切らして電話をしたらまだ寝てた!
もう10時でっせ!

結局昼過ぎに会って、夕方4時のブレーメンの音楽隊を見に行くことにしました。が、説明をよく読んだら一つの劇を見た後、その券で満席になっていない他の劇も見れるとのことでした。
しまった。昼に行っておけば、夕方もう一つただで見れたかも。
普段こういったイベントに行き慣れていないもので。。一つ勉強になりました。

券は一枚12ユーロ、同伴の家族は9,5ユーロでしたが、ママ友とその息子君の分もまとめて買ってしまいました。いざとなればお母さん二人の家族ですって言って通そうとしていた私でしたが、スルッと入場できました。気にしすぎだわ。

普段お世話になっているママ友なので、私には珍しくチケットをプレゼントしました。感謝してもらっていい気分。

余裕を持って行ったはずだったのだけど、開演5分前ピッタリに到着。普段はバレエの練習室のようで、部屋はあまり大きくありません。子供達を最前列に座らせ、少し後ろから私たちもワクワクして見守ります、と、パッと目の前にライトが当たり一人の女性が顔を出し物語は勢いよく始まりました。
人形劇というより人形を使った一人芝居と言ってもいいかもしれない。
舞台は台車で、シーンが変わるたび違う台車をシャーッと引いてくる。

養鶏場の女主は、予定外に沢山の注文を受けパニックに。「明日までに卵を受注された分たくさん産むのじゃ!」とニワトリを怒鳴りつけます。
そのニワトリ人形の味があること。鳴き声もうまい!

逃げ出したニワトリはロッカーのような入れ物から顔を出している牛に出会います。扉を開けてビックリ、あらわになった牛のお腹には、乳を絞るためのチューブが幾つも繋がっています。
空を飛び、スーパーマンのように牛を助け出るニワトリ、かっこいい!
牛の人形もいい味出してるわ〜。
次の場面ではサーカスで虐げられる小さなクマが出てきました。
そこで私はハタと気づく。

ブレーメンの音楽隊に、牛、出てこなくね?
ましてやクマなんて!

そのクマを助けるのは、お尻の毛が抜けた羊です。一応陽気な音楽が流れますが、ブレーメンの音楽隊の話からはかなり脱線している様子。

それでもあの有名なシーン、みんながそれぞれの上に乗っかって鳴くシーンはあるに違いない。最後はみんなで音楽を奏でるに違いない!と期待しつつ前に目をやると、次に出てきたのはなんとブタ。

脱線じゃなくて、もはやもう違う話 だし!

そのブタはものすごく知的な雰囲気で、檻の中で聖書の様な分厚い本をめくりながら、何がしか語っています。もう私のドイツ語力では追いつけません。これで6歳以上対象とは。2歳以上対象の赤ずきんちゃんとかにすればよかった、と若干の後悔が喉元でモゴモゴ。

豚はあっさり檻から抜け出し逃亡。動物達は洋服スタンドに縦に引っ掛けられています。
おお、とうとうブレーメンの音楽隊らしい場面か、と思ったところでコックさんが登場。

え!?

大きな鍋をドンっと置き、そこにニワトリ、牛、クマ、羊、豚と、出てきた動物たちを突っ込んでいきます。突っ込むたびに観客の子供達に「こいつも入れよう!」と言いい、子供たちが「ダメーー!!」と叫びます。
まるで練習していたかのように声が揃っている!

さっきの豚がコックに重々しく語りかけ、動物たちを鍋から取り出させます。結局コックはたくさんの野菜を入れてスープを作るのでした。
ニワトリと牛、羊とクマ、そして豚。それぞれ動物たちはまた旅を続け、
終わり。

え、終わった?

やっと分かりました。
これは、肉や動物性食品を食べるってことは、生き物を搾取したり殺したりしてるってことなのよ、って子供に教えたい話なのね。
ヴィーガンの人が作ったのかな。

ブレーメン、関係ないやん。

しかしドイツっぽいなあとも思いました。むしゃむしゃ肉を食べる人がいる一方、ベジタリアンやヴィーガンの人も多いですから。
周りのドイツ人ファミリーも、全然違う話だったねと、やはり少しびっくり様子。うちの子は「面白かったけど、まあまあだった」と一言。ママ友は「45分って言ってたけどもっと早く終わったね。」という感想。

癖のある人形劇だった。意識高いわ。

正面玄関前のフロアでは大きな舞台が組まれていました。遠くからなら立って覗き見もできました。どうやら赤ずきんちゃん。人形がお客さんにたくさん話しかけていて掛け合いが楽しい。色々なタイプの人形劇があるのだな。

フェスティバルというだけあって、工作コーナーがありました。
牛乳パックやプラスティックの容器、ペットボトルの蓋などゴミになってしまうものが工作の材料として並んでいます。

子供たちは目がらんらん!空いた席に滑り込み、ホットボンドで引っ付けまくれ!
すごい集中力だ。閉館の音楽が流れる中、ママ友と息子くんはまだ最後の仕上げをしている。うちの子はロボット、ママ友の息子君は大きな恐竜らしいものを作りました。

「お母さん好きだけど、今日もっと好きになった。明日も工作しに来たい!」

そうかそうか。
人形劇フェスなんだけどね。

冷たい風も気にならない。工作ロボットのマントがなびく。

なんか良いことした気分。
そんな気分で11月ももう終わりです。






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