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転校の思い出 「先生の一言・・・言葉の力」

突然、こんな記憶が蘇ってきたので、書き留めておきたいと思います。
それは、私が小学5年生で、初めて「転校」を経験し、少しばかり心細い思いをしていた時期の話です。

そんなタイミングで、初めて担任の先生に褒められた、そんな話です。

それは、転校してまだ間もない、国語の授業でのことでした。
ちょっとした「詩」を読む授業でした。

その詩には、ある小学校の「朝の登校風景」が描かれていました。
今となっては、全然覚えていませんが、とにかく「生徒達が、次々と道からわき出してくる」というようなフレーズが書いてありました。

先生が、この部分を「みんな、この光景、どういうことだと思う.…」と問いかけました。

みんなは、「生徒達が、元気に登校してくる様子を表している」とか「なんか、ウキウキ楽しそうな様子」などの感想を言っていました。

そして、先生は突然、私に問いかけました。

「君はどう思う?何でも良いから、思ったこと言ってごらん…」と言ってくださいました。

そこで私は、勇気を出して、他の生徒と、全く違う事を言いました。
「その学校は、丘の上にあるんだと思います。生徒達は坂を登って登校してくる、だから道からわき出してくるように見えるんだと思います.…」って。

今考えると、なんとも夢のない、子供らしくない回答だと思うのですが、先生は、すごく褒めてくださいました。

「そうなんだ、この学校は丘の上にあるんだよ。よく分かったね。こういう視点は、とても大事なんだよ、凄いぞ!」って。

私は、この瞬間、初めて受け入れられたような気持ちになりました。
そして、それをきっかけに段々とクラスに馴染んでいったように思います。

「突然、先生は、私に問いかけた..…」おそらく先生は、転校してきたばかりで、少し元気のない私を、気にしてくださったんだと思います。

今や、先生も故人となり確認のしようもありませんが、おそらく、先生はその事を覚えていないと思います。

でも、先生の一言や、初めて褒められた光景は、「なにかとても救われたような気持ち」として、今も心に残っています。

なにしろ還暦の今になっても、なんの脈絡もなく思い出すくらいですから。

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