スクラムフェス福岡_「大企業を変革せよ!「すごいリーダー」不在のアジャイルチャレンジ」に参加してきました
https://confengine.com/conferences/scrum-fest-fukuoka-2023/proposal/18042
このイベントに参加してきたので、感想を書いていきます。
関電さんの事例で、大企業でアジャイルを進めていくケースについてYoshiko Nishiuchiさんから講演をしていただきました。うちも大企業のシステム子会社なので今回一番注目してたセッションでしたが、大満足の内容でした。
はじめに/背景
<大会社での状況>
・親会社とシステム子会社の関係
・安全第一で高品質なものを確実に
・古い開発環境での開発
⇒このままじゃ変化できないという課題感。2018.10に親会社でアメリカ先進事例調査して、やっぱりDevOpsでアジャイルをやるという流れになる
<それまでのアジャイル取り組み>
・会社で過去にアジャイル流行っていたが、どこの部署が何件くらいアジャイルやっていたかわからない
・親会社からの文化で「アジャイル開発のガイドライン」が必要。ただし、少し古いガイドライン。。(要件決めないと始められない)
⇒アジャイルはやったものの、散発的な状態
やったこと
・長期推進計画と推進体制
(5か年計画で、最初3年は導入期で1チームで開発など、すぐできるようにならないという計画を最初からたてる)
・人/プロセス/技術の3領域に同時にアプローチ。会社/組織を横断した推進体制(CoE立ち上げ)を構築した
(推進体制としてCoEとして戦略、PMO、アジャイルコーチ、開発、QA、技術の部門を混成で作成して、一斉に実施。親会社に最初はメンバーを寄せて実施した。(子会社から親会社には言えないため、親会社に出向して進め始めた))
・開発の実践は1チームから徐々に増やす。システム子会社から親会社にメンバー出向してチームを組んで始める。
・自社文脈のアジャイル向きを探るために、「うちの会社だとどうなのか?どういう人があっているか?どういる所属がいいのか?どういう案件がやりやすいか?」等色々試していた。
(比較結果は結局その人のマインドが一番重要とのことでしたが・・)
・2019年にはスクラムを改変しない形でガイドラインを作った。新ガイドラインはあまり書かないガイドラインにした。(書くとメンバーが真面目なので書いてあるとやっちゃってアジャイルうまくいかない)。ただし、アジャイルコーチを体制に含むという条件付きで使えるものとした
・外部の知見を借りるということで、アジャイルコーチ、テックリードをしっかりつけ、先行他社事例調査をたくさんやった。
(銀の弾丸はなくても、明らかな失敗パターンは避けたいので)
最初の2年どうだった?
・想像はしてたが、想像以上に、、大変だった
<案件探しや芽が出るまでの時間がかかる>
・案件調整は常に難航してアジャイル開発希望案件がなかなか出てこない
・業務側とアジャイル推進側で意見が合わない
<アジャイル開発ができない>
・WFに慣れたメンバーにとって価値探索は正直しんどい
・手法にこだわって成果に上がらないつらみ
・納期が近くなると急に手法が疎かになる
⇒アジャイルやりたい側もやりたくない側もつらい
<推進組織メンバーの異動>
・大企業なので2年,3年で異動でキーマンがどんどん変わる
・伸びてきたメンバーが急に異動になって、またアジャイル初めてな人やそもそもやりたくない人が来たりする。
⇒スクラムマスター/アジャイルコーチ候補が増えず・・・
⇒温度差がある中で推進組織がバラバラになっていく
当時の気分は???
・本当にアジャイルは求めらているのか?
・アジャイルコーチは外部の人なのでいなくなっていく
・なかなか芯から変われない自分への焦り
シフトチェンジで追加でやった施策
・案件キャラバンとして全部門を巡ってアジャイル説明で伝わるまで伝える
(予算編成のスケジュールに合わせて、説明会を何度も実施)
・エグゼクティブ層との少人数ディスカッションを実施した。(エグゼクティブはアジャイルに総論賛成だが、言えない課題がありそう)
・組織推進もチームで実施。バックログを1つに見える化して対応
⇒やっている時は手応えなかったが・・・(下記に書いてある通りだんだん潮目が変わってきた)
潮目が変わる
・注目の高い案件でアジャイルで実施
※ 大満足の結果になった
・案件の数も増えてきた、顧客満足度も上がる
アジャイル開発用の部屋ができる
何が効いたのか?
「絶対コレ!」というものはないが・・・
・効果がなかった取り組みもあるが、その時点では必要だったかも。。
・アジャイルコーチは長く効く(その時チームでは成功できなくても、その後の姿勢がぶれなくなる)
ポイント(のようなもの)
・スクラムの「守」を守ろうとしたが、組織は受け入れる準備ができていなかった。(特に子会社は親会社から仕事が降ってくるので、危機感低)
⇒ 途中からは相手側に飛び込んで同じ方向から話す(痛みへの耐性は組織風土によってだいぶ異なる)
・1つ1つは小さな取り組みでも「継続」は大事そう
・変革もチームで取り組む
・チェンジエージェントには「想い」が必要
⇒想いがあったから4年間頑張れたとNishiuchiさんが熱くお話ししていたのが印象的でした。
もともとすごい人になりたかったが、2021のスクラムフェス大阪で自分の中身を無理に変える必要はないと、思うことで、人に頼れるようになってきた、余裕ぶることで本当に余裕が出てきたという変化についてお話しされていて、スクラムフェスから勇気をもらったというのが印象的でした。
感想
最後に、Nishiuchiさんが社内勉強会を勇気を絞って実施して、周りからの温かい反応があった話はとても感動的で泣きそうになりました。自分も勇気をもらったので人に勇気を渡したいのいうのはとても良かったです。私もそういった動きができれば・・・。