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組織の自己組織化は”都市伝説”か? 組織アジャイルの成熟度5段階での評価

この記事はシンアジャイルのnoteイベントで記載しています。

シンアジャイルのnote寄稿についてもいよいよ山場の4章に入ってきました。
 本当は『関心の重なりを見つけたり、意図的に作り出そうとしなければ、つながることはない』について熱く語りたいのですが、以前も話した内容なので、今回は、自分の組織が"組織アジャイル成熟度"から見るとどんな状態で、どんなことをやってきたか、昨年1年間の内容をまとめたいと思います。

アジャイル成熟度の5段階

シンアジャイルの本の中で、組織アジャイルの成熟度を測る指標として下記5段階として整理されています。

アジャイル成熟度の5段階(「組織を芯からアジャイルにする」より改編して記載)

 私の組織は、作ってから現時点でちょうど1年ちょっと経った位となります。上記5段階についてどのような事を実施して、結果どうだったのかふりかえってみたいと思います。

第1レベル 自己管理(セルフマネジメント)

 第1レベルのセルフマネジメントとしては、まず「何のために仕事するか?」「チームで仕事をする意味は?」といったタフクエスチョンに対して前向きに、自然に考えられる組織にしていく事が重要です。
 第1レベルとありますが、どこまでいっても、ここが一番重要で、チームの事を考える上ではまず個人を考えてないといけないと思っています。
 ただ、言うは易し行うは難しで、このレベル1ができない事が自己組織化が難しい一番の理由なのでは?と感じていますし、実際1年間の経験した後もここを重視すべきと考えています。
 下記が実施している内容です。


〇:ドラッカー風エクササイズ

  • 自分は何が得意なのか?

  • どういうふうに仕事するか?

  • 自分が大切に思う価値は何か?

  • チームメンバーは自分にどんな成果を期待していると思うか?

を書いてもらいチームメンバーで共有するエクササイズです。基本であり、実際はやったほうがやらないよりはマシというレベルな気もしますが、それでもメンバーに興味を持つことは必須なので、欠かすことができない取り組みです。チームによっては「偏愛マップ」や、「裏ドラッカー風エクササイズ」など先を行っているチームがありますが、やはりそういったチームは強いなと感じています。

〇:GCLT
 ゴールデンサークルライトニングトークという事で、メンバー一人一人のゴールデンサークル(仕事におけるWhy,How,What)を定期的にしゃべってもらい全員で聴くイベントを実施しています。定期的に実施しながら前回との違いも振り替えることで徐々に「自分が何ものなのか?」というタフクエスチョンに向き合うことを意識しています。

〇:あだ名
 チーム毎にメンバーにあだ名をつけて呼び合う運営をしています。最初は少し恥ずかしかったですが、こういったチーム内の独自ルールはチームビルディングには非常につながります。手軽に実施できるのでお勧めの施策です。

第2レベル 見える化

 見える化ですが、「なんとなく見えること」「意志を持ってしっかり観ること」の両方が重要と感じています。両方が関連を持って向上していけるよう意識しています。特に、組織アジャイルの文脈ではより後者が重要かと感じています。そういう意味ではMVVの観える化が我々としては重要なポイントでした。

〇:コミュニケーションツールの適用
 JTCではコミュニケーションツール導入の壁があると思いますが、ツールは特にテレワークが広がる中では、必須ですので、「許可を求めるな謝罪せよ」の精神でやることが肝要かと思います。我々は、ホワイトボードツールとしてMIRO,チャットツールとしてSLACK,タスク管理としてREDMINE,バーチャルオフィスとしてGather,デザインツールとしてFigmaを使っています。その他NotionやGPT使える開発環境等、使いたいツールがたくさんありますが、こういったツールはシステムエンジニアなら思いが強い人がいると思うので、とりあえずそういった人に乗っかって使うことがお勧めです。情報の透明度は確実に上がります。

〇:ファシリテーションスキル
 ミーティングでどのように「見える化」を進めてチームで議論するかという能力は非常に重要だと感じます。上記コミュニケーションツールをうまく活用することや、デザイン思考の発散/収束のフレームワークを使いながら議論することはチームの生産性に大きく影響すると感じています。
 チームで良い点のノウハウを共有したり、ファシリテーターを回しながら組織として成長していくことが非常に重要と感じています。

〇:MVVの設定と合宿
・今までに書いた見える化と違い、意思を持って『観える化』することが何より重要と感じました。いくら情報が見えていても、組織としての意思/関心が通っていないと見える度合い(解像度)が全く上がりません。この解像度をあげないまま藻掻いていたのが去年1年間の感想です。
 この解像度を上げるためには、やはりメンバーでレベル1の自己開示を徹底的に行い、個人だけでなく組織としての目で「観える化」をすることが重要です。我々で言うとそれが、合宿とMVVの設定でした。
 特にビジョン(組織としてどうなっていきたいか?)をすり合わせたことでこのレベル2の「見える化」が大きく進んだと感じています。
 合宿は、日本の組織の制度として必須になったら良いのに。。


第3レベル 安定した実行力

 この辺から我々も怪しくなります。現在も組織バックログの消化はかなり問題となっており、スクラムマスターが集まっているチームにも関わらず、かな りイケてない状態です。
 ただレベル2よりレベル3が後というのは本当にそうで、上記「観える化」で組織としての目が合ってないと安定した実行力はあまり意味がないと感じています。
 いわゆるビルドトラップの罠にはまって、安定した実行をしていても、組織で見えている物が異なる状態にならないように注意が必要です。

▲:モブワーク
・作業についてはなるべくチームで実施することを意識してモブワークの時間を定期的にとっています。かなり良い運営ですが、組織バックログの対応となると忙しいメンバーが多く、集まれないメンバーもいる中で、モブワークだけでは同期が取り切れない課題も出ています。

▲:組織バックログの対応
・バックログについてMVVと紐づけ、そのバックログを実施するとMVVにどう近づくかを定義して対応しています。また、3ヵ月後、1年後といった組織のイメージを持ちながら実施状況と合わせて、定期的にむきなおりをしています。
 上記運営は非常に良いと感じている一方かなりの負荷もかかっています。これらの運営をどうやると上手く廻っていくかはまだ未知数ですが、ふりかえりをしながら進めていこうと考えています。


第4レベル 学習の仕組み化

・レベル4はまだ現実味の薄い状態です。SECIモデルコルブの経験学習モデルで言われている内容が仕組みとしてもメンタルとしても組織に根付いている状態を夢見ていますが、まだまだといった感じです。


▲:ふりかえりとむきなおり
・上記レベル3で記載の通りふりかえり、むきなおりを行いながら、学習の仕組み化をしたいと考えています。ただこの作業はかなり頭使い、疲れるので、ちょっと今やりたくないなぁと現実逃避することもあります。チームでうまく乗り越えられるようにしていきたいです。

▲:20%ルール化
・Googleを参考に週に1時間枠を3枠、スクラムイベントは実施せずに個人で自由に対応する枠を入れていますが、勉強会等は実施するものの、毎回は使われず、結局スクラムの作業を実施している状態となっています。この辺もレベル1の自己管理と合わせて運営を考えていきたいです。



第5 レベル 自己組織化

という事で第4レベルまでを進めていくと、この「自己組織化ゾーン」への突入です。かなり”都市伝説”ですが、1年間やって思ったのはレベル1~5までは段階的に成長していく内容もあれば、特定のシチューエーション特定の状況においては、段階ではなくレベル5まで一気に行動が見られる内容もあることを感じています。

 再現性や複数シチュエーションに応じて自己組織化した行動が見える事が重要ですが、そのためにはレベル1~レベル5までを何回も何回も意識して実施・成長させていくことが、自己組織化につながるんだろうなと思っています。

 また、出来ていない事を目を向けるよりもかすかにでも出来ている事に目を向けながらその背景・理由をふりかえる事が非常に重要と感じています。
そういったメンタルで活動が出来るチームを作っていく事が重要と思います。

 1年前よりも確実に手ごたえは感じているため、来年は自己組織化についてもう少し語れるように対応できればと思っています。
 この内容は、あくまでも自分の組織での事例ですので、組織の数だけやり方はあると感じています。 この辺の情報を色々シェアしながら日本の組織が良くなっていくと良いと思っています。

読んでいただきありがとうございました。

その他

下記は過去に記載した関連ネタです。良かったらご覧ください。

・2022のシンアジャアドベントカレンダーで書いた好きなフレーズ

・3章に対しての記事

・2章に対しての記事

・1章に対しての記事


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