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「出勤」 "エッセイ"

月曜日が来てしまった。
憂鬱が鼻に詰まって息ができなくる。

いつもの道を歩いて駅まで歩く。

改札を抜ければ人が決まった方向に、
まるで何らかのシステムかのように、
蛇型の鉄の塊に吸い込まれていく。


         "まるで何らかのシステムの様に"


そして自分も蛇型の鉄の塊に吸い込まれて行く。


この「出勤」という時間に良く思う事がある。


自分達は何処かにいる主人公の様な存在の為にいるNPCなのでは無いかと。


自分がNPCと自覚できていないだけで、どこかの主人公の為に用意されただけの存在なのでは無いかと。


毎日毎日ほぼ同じ日々を繰り返す。
違うと言ったら帰りに行くコンビニの店員が、とても可愛い大学生か、おっさんかくらいだ。


NPCとして生まれた自分達の周りには限られた少数のシナリオしか備わっていない。

その為ほとんど刺激のないループの毎日を生きているのだと。

そんな事をこの「出勤」という時間に良く思う。


ほとんどの人が、幼い頃はまるで自分が主人公かの様に思っているが成長するにつれて、自分が特別な存在では無い事、それどころか人よりも劣っている現実を実感していく。


そして気がつくと何が為に生きているのかわからなくなるほど、同じ毎日を繰り返す様になって行く。


こんな毎日に飽き飽きしている。
かと言って主人公になりたい訳でもない。


ただこの退屈で苦痛な毎日にはうんざりしている。


どれだけ選択を変えても、足掻いたとしても私達NPCは結局ループする毎日になってしまうだろう。

なんて憂鬱なんだろうか。


子供の頃に描いていた夢はいつの間にかとっくに諦めていた。


私はこの出勤という時間がどうもすきになれない。



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