見出し画像

芸術は世界に広がるもの【展覧会の感想】アメリカ印象派展②「印象派 モネからアメリカへーウスター美術館所蔵ー」編

こんにちは。
前回から、ずいぶん日にちが空いてしましました。
ゴールデンウィークも、もう終わりですね。

今回も「印象派 モネからアメリカへーウスター美術館所蔵ー」の感想の後半部分について書きたいと思います。
前半部分は以下の記事です。

私が行ったのは東京都美術館でしたが、現在は会期が終わっています。
巡回展があるようなので、お近くの方はぜひ。

今は郡山市立美術館で行われていますね。

郡山展
2024/4/20~ 6/23:郡山市立美術館

八王子展
2024/7/6~ 9/29:東京富士美術館
東京富士美術館 展覧会詳細 印象派 モネからアメリカへ ーウスター美術館所蔵ー

大阪展
2024/10/12~ 2025/1/5

それでは、感想を書いていきます。

Chapter 4 アメリカの印象派

ヨーロッパで印象派を学んだ画家たちが、アメリカに戻った後新しい絵画表現を広めていった、という内容。
独自の解釈を交えて広がったり、アメリカらしい田園風景や家庭風景も捉えられていったようです。

チャイルド・ハッサム《コロンバス大通り、雨の日》1885年、ウスター美術館

HPの作品紹介でも取り上げられている作品です。

石畳が雨に濡れ、光を鈍く反射させている様子がリアルでした。

また、手前の描写ははっきりと描かれ、馬車がとても立体的に感じられますが、奥は霧がかかっているようでした。

雨の日は奥の景色がぼやけて見えることがありますよね。
日常生活ではあまり感じていませんでしたが、この作品でそれを再認識しました。

Chapter 5 まだ見ぬ景色を求めて

印象派の衝撃を受けた画家たちが、新しい絵画の探究をつづけた、という展示。
フランスでのポスト印象派、アメリカでのトーナリズムなどについて触れられます。
アメリカ西部の大自然なども描かれるようになりました。

ドワイト・ウィリアム・トライオン《秋の入り口》1908-09年、ウスター美術館

木の葉はすっかり落ちている時期の、のどかな田園風景を描いた作品。
タイトルを見た私は、
「秋?木の葉が全部落ちちゃってるし、冬じゃないの?」
「秋??しかもこの段階でまだ入り口なの??」
と思ってしまいました。

私が今まで住んできた東京近郊は、冬でも晴れている日は多いですし、雪が積もることも年に数回しかありません。
そして、私は寒がりなのです。
私の感覚では木の葉が全部落ちた風景は、晩秋か、もはや冬です。

でも、ドワイト・ウィリアム・トライオンにとっては、冬はもっと厳しくて、「秋」も私が想像する「秋」よりずっと寒いものなのかもしれません。

知っている言葉で表現されていても、前提としてイメージされているものとは違うことがあるんだと感じました。

自分が持っている概念は、必ずしも他の人と共通しているものではないんだなあと、素直に感じることができました。

デウィット・パーシャル《ハーミット・クリーク・キャニオン》1910-16年、ウスター美術館

オフィシャルサポートターの鈴鹿央士さんイチオシの作品だったかと思います。

鈴鹿さんもおっしゃっていましたが、空の雲が動き出しそう。
風に揺れている草木もないのに、雲や空の描かれ方で、風を感じます。
大きな岩山と、それを照らす光、どこまでも広がる空。
このダイナミックな風景は、アメリカだからこそ描かれたものでしょう。

デウィット・パーシャルは、鉄道会社の観光PRのためにこの場所に連れてこられたそうです。
社会や産業の変化は、画家や作品にも影響を与えると感じました。

このアメリカ印象派展で、思い出した大切なこと

文化は国境を越えて、そして変化する

フランス国外からやってきた画家たちが、印象派の技法を学び、世界に広めていきました。

アメリカでは、ただ模倣されるだけでなく、アメリカらしい主題が描かれたり、アメリカらしい表現技法も生まれました。

私はアメリカ印象派というものを、まったく知りませんでした。

そして、印象派が世界へ広がっていったということも、あまり想像できていませんでした。

そういえば、

「文化というものは古今東西、スピードに違いはあれ、広がっていくもの。」
「そして、変化していくもの。」

大学でとっていた異文化コミュニケーションや異文化理解に関連する授業で、そんなことを学んでいたんだっけ。

大学を卒業して約15年。
すっかり忘れてしまっていた大切なことを、思い出させてもえた展示でした。

芸術は言語の壁を超える?

絵画は視覚に訴えてくるので、観ている人間には言語の壁を感じさせません。

実際フランス語がわからない私も、いつも印象派の絵を楽しむことはできています。

もちろん実際に表現者になったり、または正しい知識をつけようとしたりすると、言語によるコミュニケーションや、言語化された資料などで把握したり学んだりすることが不可欠です。

そうやって画家の意図や時代背景、文化などを研究し、正しく伝えてくれる方々がいるからこそ、私たちはアートを楽しむことができます。

しかし、

「水面にうつっているこの空、天気が良さそうだな」
「ここの表現に、この色を使うんだ」
「風が強そうだな」
「ここの光、点で表現するのか」

という感想なら、言語の壁を感じることなく、持つこともできます。

言語の壁を越えて、絵画は私たちに観た瞬間にインパクトを与えてくれます。

五感に訴えてくる、音楽や彫刻やデジタルアートなどの他の芸術も、きっとそうですよね。

芸術ってすごいなあ、と改めて感じた展覧会でした。

おまけ

ミュージアムグッズ

絵葉書3枚買いました!
メインビジュアルの2枚と、冒頭で印象に残ったジュリアン・デュプレ《干し草作り》です。

クロード・モネ《睡蓮》、チャイルド・ハッサム《花摘み、フランス式庭園にて》、ジュリアン・デュプレ《干し草作り》

ランチ

上野散策後のランチは、LA COCORICO Uenoで。
1,210円で、前菜つきのおしゃれランチを味わえます。


ランチセットの前菜


グラタンランチいただきました


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!


いいなと思ったら応援しよう!