価値観が違いすぎて最高!ともかく読もう!『ハンチバック』市川沙央
流行ってほしい。
多くの人に読まれてほしい。
そんな感想を持ったのって、久しぶりかもしれない。
主人公は重度身体障碍者で、自分の暮らす部屋とネットが世界のすべて。
ネットでポルノ記事を書いてお金をもらっている。
そして著者の市川沙央さんも同じ障害を持っている。
私は彼女の言葉の強さ、生々しさに興奮した。個人的な言葉を体験できた。
NHKの教育版組で語られる、どちらかというと社会的な言葉と一味違う。問題提起するからにはこっちもちゃんとしなきゃ、という姿勢はない。
正しくあろうと思っていない。
自分の感覚に誠実であろうと思っている。
『ハンチバック』の言葉は批判を恐れていなくて、勢いがある。自分たち全体のことではなく、自分自身のことを語っている。
外とのつながりがヘルパーさんとネットしかない中、清も濁も飲み込んで毒づきながら生きる。
私も、脚がやや不自由になり長距離の移動が困難になったとき、世の中に対する彼女のような思いがあふれた。
私の感覚だけど、障害のある人とない人では、隣にいても全く違う世界が見えている。
上がるのにかなりの努力が必要になったので、駅の階段が富士山のように見える。
言葉以外はまったく違うと思っていい世界から、彼女は自分の言葉と考えを投げてきてくれている。
つまり……
冒頭のノリを超えられたら、面白いよ!
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