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現創逃避
◯キャラクター
たけし(22)フリーター
ユイリ: たけしの愛人?
つるみ(28) 職場の同僚
白く光る蛍光灯。
夜中走る電車。時々後ろを見ながら全力疾走しながらトンネル内を走るたけし(22)
柱に隠れて周りの様子を確認する。
キレる息を手で抑える。
段々息切れが落ち着いてくる。
たけし「はあ、はあ、はあ」
胸を押さえ、夜空を見上げる。
ユイリの声「あたし、逃げられたつもり?」
息を呑む。
たけしの後ろから現れ、顎を肩に置き、たけしを抱きしめて囁く白ビキニ姿のユイリ。
驚き、ユイリから離れて尻餅をつくたけし。
ユイリ笑いながら白いスニーカーを一歩一歩踏み入れてたけしに近づいてくる。
たけし「もう、もう辞めてくれ!」
目を覚ますたけし、視線は天井。
上体を起こす。そばに置かれてる写真集、表紙にユイリ似のグラビアアイドルが白ビキニ姿でセクシーポーズをとっている。
たけし「はあー」
再び仰向けになる。
中に入ってくる車を空いてるところに誘導するつるみ(28)
つるみ「オーライ、オーライ、オーライ。はーいOKでーす」
誘導しつつ、つるみの方を見ているたけし。
車にぶつかりそうになる。
運転手「おい!いつまでやってんだよ!」
たけし「あっ!すいません!」
落ち着く駐車場内。車が入ってくる様子がない。
社員「交代します」
たけし「あ、はい。お願いします」
その場を離れるたけしとつるみ。
用意されてる椅子に座り、缶コーヒーを呑む。
たけしの隣にくるつるみ。
つるみ「お疲れ」
たけし「あっお疲れ様です」
つるみ「今日は、お客さん少ないね」
たけし「まあ、そうですね。平日だからかな?」
つるみ「たしかに。でも前は平日でもいっぱい来てたのにね」
たけし「たしかにそうっすね。でも、こんな日もあるってことでしょ」
笑う2人。
つるみ「あーあ暇だな。あたしも普通にお花見行きたいな」
コーヒーを飲む喉越しの音。
たけし「・・・・ですね」
コーヒーを注ぎ、カフェラテを飲むつるみの 姿を見つめるたけし。
つるみ「大丈夫?」
たけし「えっ?」
コーヒーがこぼれてることに気づく。
つるみ、赤いのハンカチを取り出してズボンを吹く。
たけし「あっつ!す、すいません」
夜中。喫煙所でタバコを咥え、白いライターの火をつける。
たけし「ふうー」
煙を吐いた途端、姿を現すユイリ。
格好は白ビキニ。
ユイリ「へえー。ああいう子がタイプなんだ?」
たけし「・・・・」
目を擦ってもう一度確認するも、ユイリがはっきりみえる。
ユイリ「あの子のどこが好きなの?お姉さん、そこが知りたいな」
一服を続けるたけし。
色気を出し、顔の横まで近寄るユイリ。
ユイリ「ねえ?」
たけしの肩に触れる。
たけし「?!」
ユイリ「無視しないでよ」
たけしの耳元で吐息を吹きかけるユイリ。
振り払う動作をする、隣にいた喫煙者たち、驚く。周りを見渡すも、ユイリが消えている。火を消し、逃げるように喫煙所を離れる。
早足で歩くたけし、聞こえ続けるユイリの声。
ユイリ「ねえ、逃げないでよ・・・ねえ?」
たけし「うるさい!もうやめてくれ!」
ユイリ「口と思ってること、全然あってないよね?さっきから」
たけし「はあ!?」
ユイリ「知らないふりもいい加減にしてよ。寂しいなあ」
たけし「なんでいるんだ」
ユイリ「あたしは・・・」
たけしの耳元に近づき、囁く。
ユイリ「君の中から出たんだよ」
逃げるも手を掴まれる。
たけしを引っ張るユイリ。
防犯カメラの映像内で、引っ張られてるような動作をするたけし、ユイリの姿はない。
××××
ユイリの手を強引に離し、走るたけし。
トンネル内を全力で走るたけし、柱に隠れる。
たけし「・・・」
息切れする口を強く手で抑える。
人が来る気配がない。
手を離し、再び息切れをする。
安心しきった様子のたけし。
たけし「はあ」
後ろから抱きしめられる。
たけし「?!」
ユイリ「ため息をつくと、幸せは逃げるって知らない?」
身動きできないたけし。
ユイリ「ねえ?本当にあの子が好きなの?なんでわたしを捨てようとするの?」
もがくたけしを強く抑えるユイリ。
ユイリ「わたしは離さない。君の体が、わたしを求めてるか決まりね」
笑い出すユイリ。
離れようともがくも、力が強い。
ポケットからライターを取り出す。火をつけようとスイッチを押す。押す。押す。
ユイリ「何してるの?・・・いや、やめて!やめて!」
動揺するユイリを引き離し、ライターを向ける。目を瞑り、力を込めて火をつける。
ユイリ「きゃあああああ!!」
ユイリの断末魔が響く。
ゆっくりと目を開け、ユイリの方を見る。
ユイリの姿がない。周りを見渡す。
息が荒くなるたけし。
足の力が抜け座り込む。
翌朝、いつものように車を誘導しているたけし、つるみ、社員3名。
おおあくびをし、目を擦る。
つるみ「大丈夫?寝不足?」
たけし「えっ?あっ大丈夫です。平気なんで」
つるみ「そっ。オーライオーライ」
つるみの誘導する姿を呆然と見るたけし。
椅子に座り、おおあくびするたけしのところ につるみがやってくる。
つるみ「やっぱ眠そうだね」
たけし「あっ、お疲れ様です」
つるみ「お疲れ様」
隣の席に座る。
つるみ「あっ、お揃いだ」
たけし「へっ?」
ピンクの容器を見せる、手に持ってる容器を見て微笑むたけし。
たけし「今日も、帰り行きます?スタバ」
つるみ「えっ?まあ、いいけど」
その後の夜。喫茶店内で楽しそうに会話をしているたけしとつるみ。
笑い合う2人。赤いマフラーをつけているたけしとつるみ。
マフラーもお揃いだねとアピールするつるみ。
恥ずかしそうに笑うたけし。
帰り道。たけしに手を振り帰るつるみ。
モジモジと落ち着きがない様子のたけし
たけし「あ、あの!」
振り向くつるみ。
遠目のアングルになり、頭を下げて手を伸ばすたけし。
しばらく間が空き、その後頭を下げるつるみ。
つるみ「あたし、そういうの、興味ないんだ」
たけし「えっ」
つるみ「てか、そんな目で見てたんだ。今まで」
、その場を早足で離れていくつるみ。
頭を上げ、去っていくつるみを見て立ち尽くす。
シャツパンツ姿のたけし、赤いマフラーをゴミ箱に思いっきり捨てるが、また拾おうと手を伸ばす。それを阻止する女性の手。たけしの耳元で吐息を吹きかける。
たけし「やっぱり、現実は嫌いだ」
涙を流すたけし。
END