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続コンプレックス Vol.14

2006年12月、パリに住む友人が、久しぶりに日本にやって来た。

今回はどんなスケジュールなのか…
いつも、信じられないようなハードスケジュールなのだ!

やはり、今回も成田から札幌に飛び、そして東京、次の日は京都
そして、大阪伊丹から熊本空港に飛んで来た。

今回は、フランス人の友人を連れて来た。

ヨハンさんという彼は、英語もうまく、初対面にもかかわらず車の中で話が弾んだ。

彼が、今の季節の日本の果物についてあれこれ聞いてくる。
なんで果物に興味があるの?って、思ったが
実は彼はバーテンダーだったのだ。

それも、パリのフォーシーズン・ジョルジュ・サンクのヘッド・バーテンダーだっだ。
びっくりである。

旅館に着いて、夕方彼がカクテルのデモンストレーションをしてくれた。
そこで、いくつものオリジナル・カクテルが誕生した。

*****

☆夏のカクテルのご紹介(ササピー創作のストーリー)

真夏のある日の夕方、玄関に真っ赤なオープンカーが停まった。
界は、標高1050メートルに位置しているので下界に比べれば随分涼しいが、それでも真夏には、30℃くらいまで気温が上がる。

男は50代、背が高くガタイはガッチリしている。
髭が伸び一層精悍さを醸し出している。

服装は、モスグリーンのパンツに、
ダークブルーのアロハ…
ゴールドのチェーン、
かっこいい!

女性の方は、
ロングヘアを、バンダナでまとめている。

白いTシャツにキナリの麻のスーツがよくキマっている。
30代前半くらいか…

素足にエルメスのサンダルも涼しげである。
身長は170センチくらいある…
モデルをやっているのかも?
細いし、スタイル抜群である。
都会のムードを感じさせる。

「こんちは、いや~最近のナビは進化したね。ちゃんと連れてきてもらったよ!それにしても暑いね!」

男は、そう言ってニッコリ笑った。

ヴィトンのトランクを下ろそうとするのを、
スタッフが代わり、二人をラウンジに案内する。

「お荷物は先にお部屋に運んでおきます。車はこちらでパーキングに入れますので…」

「あっ、悪いね!頼むわ。それと、風呂に入る前に軽く飲みたいんだけど、君はなんにする?」

「ほんと、喉が乾いたわ…」

………そんな時には、

このカクテルをお薦めします。

男性に「カクテル・緑なす枝」
ヴィタミンCをタップリ含んだカクテルです。
疲労回復と、食欲を呼び覚まします。

女性には、「カクテル・若草の香り」
アップルジュースと柑橘系の爽やかな味わい・・・
二人は月見台でカクテルを1杯ずつ飲んで、

「さてと、ゆっくり露天風呂を満喫させてもらいましょうかね!」
と言って立ち上がった。

案内するスタッフが、夕食のダイニングについて説明し、
それから、階段を下りて離れへと案内する。

*****

ダイニングでの夕食には、二人揃って浴衣で現れた。
なんとも涼しげである。

シャンパンからスタートし、
二人で献立をじっくりみて

「こりゃ、日本酒だな!」男がそう言った瞬間、
「どのようなタイプがお好きでいらっしゃいますか?」と、
スタッフの女性が尋ねた。

「う~ん、辛口だろうね!」

「私どもでは、九州の幻の純米酒ということで、佐賀・基山の『基峰鶴』をお薦めしています。
こちらは、大変丁寧に作られたお酒で、何度も金賞を受賞しています。
残念ですが流通はしていません。是非お試しになりませんか?」

「へ~、九州にも辛口の日本酒があるの?じゃあ、それもらってみようか!」

日本酒は、銀色の金属製のとっくりというかカラフェみたいな入れ物で届いた。
持ってみると、とても冷たくて、そしてズッシリと重い・・・

「これはスズですか?」

「お客さま、さすがにお目が高いです!スズで作られたオリジナルの日本酒冷酒用とっくりです!お気に召しましたか?」

「う~ん、いいね!」
「では、イッパイ!」 

スタッフの女性がニッコリしながら、お酌してくれる。
なかなか気が利くじゃないか・・・

「う、うまい!これはうまい!!」男がうなった。
「ほんと、おいしい!これはいいわね!」彼女も絶賛である。
日本酒にしたのは正解であった。
また基峰鶴の純米酒にしたのは大正解であった。

前菜、お造り、焼物、煮物 と 実にシンプルに、
そしてきれいに盛り付けられた料理は、どれも本当に美味しい。
素材の持っているうま味を十二分に引き出している。
また、素材には徹底的にこだわって、九州各地から集めているそうだ。

「あ~美味しかった。タバコが吸いたくなったんで、バーラウンジで食後酒でも呑むか・・・」

「そうね、もう1杯何か呑みたい気分よね・・・」

二人はラウンジで何を呑むかメニューを見た。

「もしよろしければ、お食事中はずっと日本酒でしたので、サッパリとした食後酒をお作りしましょうか?」

彼は、何かを作りたくて仕方無いようである。

チェックインしてすぐにいただいたカクテルもかなりのレベルのものだった。

あれが焼酎ベースとは、この界ASOは、中々やることが洒落ている・・・

「じゃあ、君に任せた!美味しいのを二つ!」

出来てきたのは・・・
先ず男性には、「カクテル・時忘れ」
ライム・ジュースの爽やかな味わい
そして、女性には「カクテル・やすらぎ」
なんともキレイなカクテルが登場した。

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