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誰も満足していない 3

▪️誰も満足していない 3

【この物語はフィクションです】

ジュースを持ち帰らなかったのは 後で考えると 一理あった。

証拠の品をそこに残しておいて、きちんと対応出来る当事者か専門家をそこに登場してもらうというハイアット リージェンシー京都または
ハイアット リージェンシー が
そうするようにと 決めているなら
それはそれで 悪くないととらえている。
 
しかし、ジュースを持ち帰らなかったことと、
「厨房の状況を総括して話せる専門家を呼びにいってきますので、しばらくお待ちください。」
と断って
テーブルを離れるように指導されていれば、当然ではあるが 評価したに違いない。

その場できちんと断って、こう解決しますと予告してその場を立ち去れば、イライラは多少なりとも期待感に切り替わったのではないだろうか。


その後、事情のポイントも聞かされず、ただ、代わりに謝って欲しいと頼まれたとおぼしき、その日の朝のシェフらしい30歳ぐらいの方がテーブルに現れた。


事情をのみこんでもいないし、どのポイントを焦点に謝るべきかもわからない

そのシェフは 申し訳ございません 云々と

きっと マニュアルのその台詞だけを復唱して、
そこにやってきたに違いないだろうと、
すぐに推測できる応対をし始めた。
 
私が 確認したかったことは と説明すると、
彼は
「お客様に お出しした フレッシュ・スクイーズド・オレンジ・ジュースは今朝 しぼったものです。」
と言った。

そこで 私は
「それでは、この今お持ちになったのは どうされたんですか?」
と、聞いてみた。

「それは 今、(こちらにうかがう前に)絞ったジュースです。」
 
それでは 同じ箱に詰まっていたか、同じ日に同じ業者が納品したオレンジを絞られたということですね、と確認した上で、彼にこう言った。
 
「私はまだ、先ほど絞られたというこのジュースは 味わっていませんが
口に含むと同じような一種の苦みを上あごや口の奥で味わう可能性があるでしょから、お願いいたしました、オレンジジュースは キャンセルさせてください。」
 
「海外からの、オレンジですので......」

いずれにせよ、彼は彼自身、そのオレンジを絞ったかもしれないが味見をしていないことは 明白だった。


情けない、困ったスタッフと、彼らを雇っているこのホテル、大丈夫なのか?と 気になり出した。


席を立って、グリルの、受付の前を通り過ぎようかとした時マネージャーらしき、スタッフが 後ろから 追い打ちするような声の掛け方で挨拶し出した。

ゆっくり振り向いて 私は 彼に
「いろんなことがホテルやそのレストランでは起こるでしょ、しかし 最初に 注文を取ってくれた彼、私は 彼にあのオレンジジュースのことを尋ねたけれど、その後、テーブルにやってきたシェフは
私が彼に説明をしたほとんどのことが伝わっていなかった。
シェフは テーブルにやってきて、はじめて 私にあそこのテーブルで事の要件を聞き、そこで応えてくれたわけです。
あなたは マネージャーらしいが、『あの』とその彼を指差して
彼が 最初に注文を取ってくれてからのいきさつをほとんど聞いていないと思う。
限られた時間内に 限られたスタッフで 切り盛りしていかねければならない
たいへんなお仕事かと存じますが、直属の部下やいっしょに組んで仕事しているシェフから、短時間で 状況を報告させ、何が起こったのかを正確に把握し、適切な対応と指示をしていかなければならないという、お立場は たいへんだということも充分に私はわかっているつもりですが、
先ほどから 状況を体験した者としてはとても 状況の報告、その把握、適切な判断の下に 対応、指示をされたと考えにくい。
少なくとも短い時間に 的確に状況を把握するための、現場からの報告はなされていないし、おそらく あなたは 状況を把握しないで
私に対応しなければならなかったことでしょう。
その不安を一掃していくとすれば、それは まず、現場から短い時間に正確な状況を報告させるようにされることです。
これから 頑張ってください。」と話してあげた。
 
それが ちゃんと、実施されるようになれば
きっと いいレストランになりますよ、という気持ちを込めて。

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