【チカホへの道2023#17】受賞者のヨコガオ~プッチャさん編~
研究成果でSDGsに貢献する発表会『博士学生が描く、66のミライ』受賞者の研究内容について、ご紹介していきたいと思います。トップバッターはSDGs賞を受賞された農学院所属のプッチャ ジョシ プリヤさん、ポスター題目は『プラスチック汚染:菌におまかせ!』です。
北大の博士学生ってどんなことをしているの?を探るべく、研究内容などをお伺いしました!(英語でお答えいただいた内容を元に、日本語に訳してお伝えします)
パワフルな微生物が大好き!
イベント参加の決め手は・・・
このイベントがSDGsに取り組む場であることを知り、環境と持続可能性のトピックに興味があったので、参加をすることにしました。プラスチック汚染の現状をもっと知ってもらい、それを減らすためにどのような解決策があるのかを探りたかったのです。
微生物はスーパーヒーロー??
私は微生物が大好きです。微生物たちは小さいけれどパワフルです。そして、様々な問題を解決する道具として使うことができると思います。ワインやヨーグルトの製造からプラスチックの分解まで、微生物は小さなスーパーヒーローのような存在です!私がプラスチック分解バクテリアについて初めて知ったのは、Ideonella sakaiensisを発見した吉田先生とそのチームの研究でした。
このバクテリアはPETプラスチックを分解し、食料源として利用することができます。この発見をきっかけに、さまざまな種類のプラスチックを分解できる細菌が他にもいるのではないか、そしてそれらをどのように活用できるのかと考えるようになりました。
プラスチック廃棄物が抱える問題とは・・・?
自然界では、プラスチックの分解は、太陽からの紫外線などの非生物的要因と、微生物などの生物的要因の組み合わせによって起こります。しかし、この自然なプロセスは非常に遅いため、環境中にプラスチックごみが蓄積されることになります。大きなプラスチック破片は動物に危害を加え、移動を妨げ、窒息の危険をもたらします。例えば、ウミガメや鳥がビニール袋や漁網に引っかかることはよくあり、その写真は多くの人が目にしたことがあると思います。さらに、マイクロプラスチックは小さなプラスチック粒子であり、動物や私たち人間が容易に摂取することができ、有害な影響を及ぼす可能性があるため、特に危険です。
私たちが廃棄するプラスチックゴミのほとんどは埋立地行きか焼却処分され、リサイクルされるのはごく一部です。プラスチック廃棄物に効果的に対処するためには、現在の廃棄管理方法を改善し、新たな戦略を模索する必要があります。
細菌でプラスチックを分解!?
プラスチック汚染の影響を考えると、さまざまな角度からこの問題に取り組むべき時期に来ています。私の研究は、細菌を利用してポリエチレン・プラスチックを分解することに焦点を当てています。
酵素は特殊なタンパク質です。バクテリアの中には、前述のPETプラスチックを分解するバクテリアのように、プラスチックを分解する酵素を作り、分解されたプラスチック製品を餌として利用するものがあります。ポリエチレンを効果的に分解するには、別の酵素が必要です。しかし、必要な酵素をすべて生産できる微生物はまだ見つかっていません。
私の現在の研究では、これらの酵素をすべて生産するように細菌を遺伝子組み換えし、ポリエチレンを分解する能力を高めることに取り組んでいます。
私が考えるミライ社会のかたちとは・・・
研究成果がもたらすものとは・・・?
このアプローチが成功すれば、プラスチックをより効果的にリサイクルできるようになり、大きなプラスチックポリマーを分解して、新しいプラスチックを作るのに使える小さなモノマーにできる可能性があります。
バクテリアの遺伝子操作は、バクテリアの能力を向上させ、多様な分野に応用できるため、私はこの分野に魅力を感じています。
イベントに参加して
このイベントは、学生にとって自分の研究を一般の方々に伝えることができる、素晴らしい場だと思いました。最大の課題は、自分の研究の本質を明確に伝えるポスターを作ることでした。一般市民の方に向けたにポスターをデザインすることは、一般的な学会で発表される科学ポスターとは異なり、新鮮な経験でした。日本の一般市民の方を対象としたものであることや、私の日本語能力が十分でないことを考えると、デザインにはもう少し力を入れなければならなかったと思っています。
ちょっとした言葉の壁はあったものの、ポスター作りを大いに楽しみ、人々がポスターに興味を示してくれるのを見るのが楽しみでした。プレゼンテーション自体は、日本語で研究の詳細を伝えるという難しいものでしたが、自分の研究を説明するためにベストを尽くしました。
説明を聞いてくださった方全員が、とても親切で辛抱強く耳を傾けてくださったことに、とても驚きました。早く日本語を上達させたいです。
このイベントでは、SDGsの推進に貢献する数々の素晴らしい研究プロジェクトを紹介しており、素晴らしい学びの場となりました。このイベントを企画・運営された皆様、そして参加された皆様に大変感謝しています。
私は、産業技術総合研究所北海道センターの生物生産研究部門に所属する分子環境微生物学研究室に所属しています。私たちの研究室では、微生物に関わる様々なエキサイティングな研究プロジェクトを探求しています。この小さな微生物の魅力に共感し、もっと知りたい方は、ぜひ産総研北海道のホームページをご覧ください!
研究成果でSDGsに貢献する発表会『博士学生が描く、66のミライ』受賞者紹介初回はSDGs賞受賞者のプッチャ ジョシ プリヤさんでした。次回は優秀賞受賞の中村さんにお話をお聞きします!どんな研究なのか・・・。お楽しみに~!
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