キノコ伝説から見るヒットの下地

ゲームアーキテクトの米元です。

今回は、直近セルラン上位に来ている「キノコ伝説」というゲームの設計についての簡単な分析レポートになります。


【キノコ伝説:勇者と魔法のランプ】



まず、キノコ伝説の売上がどれくらいすごいのか、こちらのデータを見ていただければと思います。

キノコ伝説:勇者と魔法のランプ iOS売上
データ参照: #セルラン分析 /ゲーム株『Game-i』
https://game-i.daa.jp/

日本ではリリースしてから6日で12.4億の売上となっており、AppStoreランキングも最高2位となっています。

なぜ売れたのか?については多くの人が気になっているポイントかと思いますが、再現性のない運要素を除くと、今のアプリゲーム市場で売れるタイトルに必要な「売れるための下地」がしっかりしているからです。
なので、キノコ伝説ではどういう下地があったのか解説していきたいと思います。

ゲームの概要

まずはざっくりですがプレイしてみたので、その分析のレポートになります。

オートバトル形式の縦型の放置ゲーム

キノコ伝説は、形式としては「オートバトル形式の縦型の放置ゲーム」となっています。
画面上のキャラクターが、やってくる敵をオートで倒していき、その報酬を元にキャラを強化していくもので、放置していてもアイテムや経験値が手に入る、縦持ち放置ゲームです。

デッキ育成をパチスロ感覚で行えるUX

世界観やキャラ以外の新しい体験の特徴としては、デッキの入れ替えの部分になります。
普通のアプリゲームだと、キャラのカードをガチャで引いて、デッキにセットして強化し、またキャラのカードを引いたら入れ替えていく、というスタイルが多いですが、このキノコ伝説では、ランプという名のガチャを引きまくって、引いたものをデッキに1つずつセット、もしくは入れ替えを選択していくスタイルになります。

キノコ伝説 ランプで引いたアイテムの入れ替えを選択するスタイル

他のアプリゲームRPGのカード入れ替えがキャラなのに対して、キノコ伝説では装備品がその入れ替え対象になっている点が違いです。
キャラのカードを引いて、入れ替えてデッキを作るという楽しみ自体は確かにスマホRPGではあるのですが、一方でその入れ替え自体が結構面倒だったりもするので、それを毎回ガチャを引いて入れ替えるか検討させるというスタイルは、その面倒くささを取っ払うUXとして優れていると感じました。

もう一つ特徴的なのが、デッキを構成する要素の装備品にはレベルはあるけれどレベルアップができないという点です。
実は、装備品のガチャは、装備品自体とレベルもセットになっていて、例えばノーマルのレベル10の武器を装備していて、ランプガチャで次に同じくノーマルのレベル15の武器を引いたら、元々のレベル10の武器と入れ替えることで、レベルアップをしているのと同じような形での育成を実現しています。

つまり、面倒なデッキ育成や組み換えを、このような形で毎回一定間隔でひかれる、パチスロのような体感のガチャでシンプルに実現しているのが一つ大きな特徴と言えます。

以上が、キノコ伝説の特徴となります。
次からは成功の下地となっている2つの要素について解説していきます。

市場に好まれるゲームであること

まず1つ目ですが、ヒットするための下地を満たすには、市場に好まれているゲーム動向に沿ったものであることが条件となります。
無限成長モデルの記事でも触れさせていただいた通り、ここ十年くらい日本企業が取ってきた戦略は、アプリのリッチ化やIPの活用などとなります。アプリのリッチ化により成功したタイトルはありますが、行き過ぎるとパッケージゲームとの競合が起こりますし、既に開発費も膨大でとてもじゃないですが博打が打てない状況です。IPについても、有名IPはかなりアプリゲーム化が済んでいるというのが現状です。

では、今市場で好まれるゲームとはどういうものでしょうか?こちらも前の記事で触れたとおりですが、手軽にポチポチ遊べることが重要という風に、ある意味ブラウザソシャゲ時代に回帰しつつあります。まさにキノコ伝説や前回までで触れたドット勇者がそれに当たります。

集客しやすい状態であること

2つ目の条件ですが、集客をしやすい状態であることです。1つ目の条件を満たして、市場で好まれるゲームを作っても、認知されなければ意味がありません
色々なところで目撃していると思いますが、キノコ伝説は割と色々と広告を打っていて、これがスタートダッシュでの売上の上位に食い込んでいる理由だとお考えの方も多いと思います。

逆を言うと、なぜここまで広告にお金をかけることができたのでしょうか?

極論をいうと、「お金さえ無限にあればいくらでも集客できる」ので、集客をしやすい、というのは、「かけたお金が確実に戻っている確証がある」必要があります。実は、ここがあまり知られていない部分になるかと思いますので、ここを深掘っていきたいと思います。

かけたお金が確実に戻ってくるようにするためには、下記の3つ条件を満たす必要があります。

1.開発費が少なくて済む
2.ユーザーのLTV(≒課金単価)が高い
3.確実に資金を回収できる根拠となるデータを取得している

ここからは、この3つの条件について詳しく解説していきます。


1.開発費が少なくて済む

まさにこの3つを満たすのが、前回まで触れた無限成長モデルのアプリゲームの開発運用の典型例になります。

まず1つ目ですが、無限成長モデルは、コンテンツを沢山提供し、ひたすら長く育てていく形のゲームなので、グラフィックやキャラ追加などを売りにする必要がないため、ゲーム開発での費用の半分以上を占めると言われるクリエイティブ制作費を抑えることができます。
その結果として、他の部分で多少お金がかかるとはいえ、開発費や運用費を下げることができるので、その分広告にかけるお金を増やすことができます

2.ユーザーのLTVが高い

2つ目が、ユーザーのLTV、つまりインストールしたユーザーあたりの売上なのですが、これが一人にインストールしてもらうための集客費用を上回っていれば、集客費用をかければかけるだけ利益になるので、どんどん広告を打つことができます。無限成長モデルは、その仕組み上高LTVの設計にできるので、ここも満たすことになります。

3.確実に資金を回収できる根拠となるデータを取得している

最後の3つ目が、「確実に資金を回収できる根拠となるデータを持っている」ことです。もちろん、LTVが高くなる可能性が高いからといって、回収できるかどうかは、実際のところギャンブル要素が強いです。では、無限成長モデルで開発運用している会社はどのようにやっているのでしょうか?
基本的に、このモデルで日本でヒットを出しているタイトルは、日本以外の市場もしくは同じような設計の過去アプリで市場の反応を見ており、その結果としてLTVがどれくらいになるのかを分析し、そして、LTVを上げるための改善もある程度やりきってから日本市場に投入していることが多いです。
キノコ伝説も、最初台湾でリリースし、その後韓国などでヒットさせてから日本に持ってきています。
そのため、日本でリリース前に広告をバンバン打てるのは、他の市場での先行投入データや以前の作品のデータを蓄積して活用しているので確信があるからです。

なので、この3つの要素をしっかりと満たすことが、今のアプリゲーム市場でしっかりと集客するためには必要になるのですが、無限成長モデルはこのようにお金をかけての集客がやりやすいモデルと言えるでしょう。

まとめ

ということで、今回はちょうどヒットしているキノコ伝説をベースに、今のアプリゲーム市場でヒットを出すための最低条件、成功の下地についてまとめてみました。

手軽に遊べて、かつその中にも新しい体験があることは必須なのですが、
必ずしもグラフィックやインゲームを豪華にしたり、有名IPを使う必要はなく、ちゃんと市場にウケる形で作った上で、無限成長モデルを取り入れてPDCAを回してデータを取得し、それを元に広告を適切に打って集客をしていく、というのがほぼ勝ちパターンとなっています。

つい2〜3年くらい前までは、無限成長モデル形式アプリは、月商数億円くらいのランキング中堅くらいで止まることが多かった印象ですが、ドット勇者に引き続きキノコ伝説も上位に食い込んでおり、最近はこの無限成長モデルが大ヒットの前提になっていると言っても過言ではないです。

その勝ちパターンをするためには、中国系の各社は自社で秘伝のタレのように過去作からのノウハウを引き継いでいるので強いのですが、もう現在の市場での勝ちパターンがこの方式である以上は、経験の浅い日本企業も追従する必要があると考えています。

弊社では、この無限成長モデルを省コストで取り入れてアプリを戦略的に当てるためのエンジンをベースとした開発運用のサービスを提供していますので、これから後発でも無限成長モデルを取り入れてアプリゲームをしっかり当てたい、という気骨のある会社さんは是非お声がけください!

【お知らせ】


プレアナでは、「数値遊びの創造」で新たな価値を創造すべく、ゲームを中心としたエンタメの面白さの数値化に日々取り組んでいます。

今回の記事で話題に挙がった無限成長モデルについても、省工数で開発運用が可能なエンジンの開発などを行っており、「数値遊びの創造」を実現するための各種プロジェクトも実施しています。

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