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つるさんの詩「青空」× つるさんのハンネミュージック(歌:Saki AI)

noteで幅広いジャンルでご活動されているつるさんの詩に曲を付けさせていただきました。タイトルは「青空」です。
曲をご紹介する前に、つるさんについて少々お話させて下さい。

私がつるさんを知ったのは、ある音楽投稿SNSサイトでした。

そこで公開されているつるさんの音楽作品は、ロック・ポップス・テクノ・サンバ・ゲーム音楽、そしてクラシックと、広いジャンルに渡っています。

その中で私が注目したのはクラシックジャンルで、特にピアノ曲でした。
つるさんはモーツアルトのピアノソナタを目標に、たくさんのピアノソナタを作られています。たしか50作品近くあったように記憶しています。
私はどのソナタからも、つるさんの繊細な感受性を感じます。そして何といっても心が癒されます。
その一部は、noteにもアップされていますので、お時間のある折に是非聴いてください。心躍る曲もありますし、心が落ち着く曲もあります。

「月明かりのソナタ」は、お薦めのピアノ曲です。
一聴、モーツァルトを思わせる作品ですが、聴くうちにいつの間にかつるさんの世界に入り込んでしまいます。

このピアノ曲は、こちらのマガジンに収録されています。


さて、つるさんの詩「青空」に付けた曲は、2年ほど前につるさんのハンドルネームを借りて作ったハンネ・ミュージックです。

ハンネ・ミュージックというのは私の造語でして、ハンネのアルファベットをある規則によってメロディに変換して、それをもとに作った曲を指します。昨年は、noteの皆さんのハンドルネームをお借りして、いくつか曲を作らせていただきました。こちらにまとめてあります。

実は、制作をお約束しながら、まだ手付かずのものもありまして、大変心苦しいのですが、この夏を乗り切りまして、秋口くらいに制作を始めたいと思っています。
3階のネコさん、yoko_sさん、申し訳ありませんがもう少々お待ちください。

つるさんのハンネで曲を作ったのは、私がnoteで活動を始めるより少し前のことです。全部で3曲ほどハンネミュージックを作りました。夜想曲(ピアノ曲)、前奏曲(鍵盤曲)、そしてフーガ(弦楽四重奏)の3曲です。このうち、夜想曲については、後でクラリネットを追加して二重奏にしています。クラリネットのパートは、器楽なので歌いにくいのですが、それにいつか歌詞を付けて歌にしたいと思っていました。つるさんのハンネを使った曲ですので、つるさんの詞を付けたかったのですが、その詞はご自身が歌を作るために作られたものですので遠慮していました。ところが、つるさんはこちらへいらっしゃってから、詩も作られているじゃないですか。そこで、曲に合いそうなつるさんの詩を物色しておりました。^^

そうしましたら先日、「青空」というタイトルの詩を出されているのに気が付きました。こちらです。

枠内の最初の行にあるのが詩です。
まとめてしまうと一行にも満たない非常に短いものですが、リズミカルな同型反復があるユニークな詩です。
これを読みました私の脳細胞の反応ですが、言語関係の脳細胞は、最初風景の描写と認識しました。ところが、「広い広い風」から先でアラームが鳴りまして仕事を放棄すると言ってきましたので、他の脳細胞も動員して理解に努めました。で、ようやく、これは風景と言ってもつるさんの心象風景なのだとわかった次第です。もちろん私の感じたことなので、私なりの理解ということでご容赦願いたいですが、最後の「青い青い道」というのは、ご自身が青かったころ、つまりまだ若かったころから歩まれてきた道で、それを陽光の中で輝いている青空や雲を見ながら回想しているのではないか、そんな思いが沸き上がってきました。

そして同時に、音楽関係の脳細胞がピーンと反応しました。^^

これは音楽と大変相性がいいと感じたのです。
相性がいいどころか、声に出して読めば、これは音楽です。
ワードは意味を伝えますが、ワードを構成するシラブルはある意味楽器の音と同じなんですね。だから、シラブルに音程を付ければ器楽と同じ。
さらに音楽で非常に大きな意味を持つ要素として同型反復があります。
この詩を拝見して、まさに同型反復の音楽のように感じました。
つまり、3+3+2というシラブル数で構成された3つのワードが、都合5回反復されている。5回とも、形容詞+同じ形容詞+名詞という組み合わせ。
とてもシンプルで、そして音楽的な詩です。

こちらは、つるさんから頂いたコメントです。

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原初的なリズム感!
これです。
このリズム感に、私の音楽関係の脳細胞の中で依然として赤ちゃん状態にあるものが、ピーンと反応したのでしょう。^^

原初的と言えば、話は少々ずれますが、戦前の尋常小学校の一年生の国語の教科書にあった「ハナ、ハト、マメ、マス・・・」もたいへん原初的です。これは、岩波新書の「現代音楽を語る」を読んだ時に印象に残ったことなのですが、この「ハナハトマメマス」を当時クラス全員で唱和していて、初めはてんでバラバラだったものが、毎日のように唱和していると音程が合ってきて、歌のような調子になったそうです。言葉の抑揚もリズムと同様に、赤ちゃん時代から共通の原初的な土台があるのではないか、そんな気がします。
この新書の著者は作曲家の小倉朗さんです。内容はシェーンベルグ、ストラヴィンスキー、バルトークといった20世紀を代表する現代音楽作曲家の評伝で、他に「音楽と言葉」というテーマもあって、私が最初に読んだ中学生当時は理解できなかったのですが、今読み返すと実に有益です。

しかし面白いですね。
単語の羅列を唱和すると歌になる。
単語には、それぞれ決まったアクセントがあって、それが原初的な記憶として身についているからでしょう。
ですから、詩にメロディをつける場合、アクセントは重要です。

でも、それが絶対必要かというと、必ずしもそうではない。

滝廉太郎の「荒城の月」は、アクセントがめちゃくちゃなことで知られています。出だしの「春高楼の」が「貼る高楼の」に聞こえます。
それでも名曲です。^^

おっと、話を戻しましょう。
ある程度ならアクセントを無視して構わないなら、既存のメロディに詩を当てはめるのが非常にやりやすくなります。そして「てにをは」のような助詞がなくて形容詞+名詞のセットの並びだけというシンプルな詩でしたら、もっとやりやすいだろうと思いました。

つるさんの詩「青空」のシンプルさは、私が作ったピアノ曲の歌いにくいメロディに強引に当てはめても、歌としてちゃんと聴こえるようになるのではないか。

そう思いました。
そして、もう一つ。

心象風景ならば、必ずしも青空をイメージできる音楽にこだわることはない。むしろ、青空とは対極的な夜の音楽を使った方が、私が感じた詩の心象風景には相応しいかもしれない。

そう思いまして、早速作ったのがこちらです。

歌はAIシンガーのSakiです。

原曲は、瞑想的な夜想曲のような雰囲気があるハンネミュージックでしたので、「つるさんのハンネによる夜想曲」と名付けてありましたが、のびやかなAI Sakiの歌が入りまして、多少雰囲気が変わりました。
この歌声から、透明感のある空、柔らかな風、そしてゆったりと流れる雲を感じて頂ければ幸いです。

「青空」
詞:つるさん
曲:古い音楽帳(音楽帳工房)
  「つるさんのハンネによる夜想曲」より
歌:AI Saki (Synthesizer V)



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