私たちがオセロだったら。

ある日僕がカフェで休憩をしていた。周りに会社が多い地域なので利用する人はサラリーマンやOLが多い。それ故にカフェでばったり同じ会社の同僚や先輩に出くわす場面が多いらしく、ちょうどその日も隣の席でそのイベントが起きていた。

隣に座っていたのは40過ぎの女性で、はるばる話しかけて来たのは同じ会社の後輩と思わしき若い女性だった。
「あ、いる〜!と思って来ちゃいました〜!私たちオセロだったら勝ちですね☆」
と言いながら、反応を待たずに去る後輩女性。かなりキャピキャピした女性だ。何でもカワイイと言うタイプだろう。
「そ、そうだね…」
と先輩の女性は、若干引き気味の反応をしていたが、隣の席の俺は「その反応わかるわ」と同情しつつ、「オセロ?は?」と理解が追いついていなかった。理解しようと後輩女性が座っていた席を見ると、ちょうど僕の座っている席のラインの端である。そして隣の先輩女性の席も同じライン上の席の端である。つまり後輩女性と先輩女性は一直線上に伸びる席の端同士であり、同じ会社同士の私たちが端だからオセロだったらここ全部ひっくり返したね!勝ちだね!と表現していたのである。勝手にカフェをオセロの世界観に仕立て上げ、知らぬ間に自分はひっくり返されていた。次座るときは意地でも端に座ろうと思った。まぁ反対の端に同じ会社の人が座らないと意味ないが。






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