もしもこんなお店に入ってしまったら~ドリフと同じ展開にウケる(後編)
「アナタ、イタカッタラ、イウネ」(=もし痛かったら言って下さい) と、セラピストに言われた。
「はい」と答えると、施術が始まった。
彼女はパシールの背中をガンガン押し始めた。
ウウ~、ちょっと圧が強い。息も苦しい~。
次第に彼女の気合が入り始め、施術台がガタゴト揺れだした。
パシールは元々強めのマッサージが好みである。
でも、流石に、この女性の施術は強すぎた。
「あの、もう少し弱くしてください」と、息絶え絶えに頼んだが、言葉が分からないのか、「アナタ オトナシクスル」(=大人しくしてください) と、あえなく却下。
代わりに、更に激しい施術が続くことになった。
そして、彼女の手がパシールの頭にグイグイ食い込みだし、脳天チョップが始まった。
ワッ、それだけはやめて~!
と、言おうとするも、首根っこを掴まれて何もできず仕舞い。
それでも一寸の隙に、「あの、頭は目の手術をして衝撃が良くないので優しく押してください」と、言ったところ、
「アナタ ソレハヤクイウ」(=もっと早く言ってよ)と、唾気を飛ばしながら返された。
このとき、苦しいながらも笑いがこみ上げてきた。
施術台のくぼみに顔をうずめ、ドリフの「もしもこんなお医者さんがいたら」「もしもこんなお風呂屋さんがあったら」等のコントを思い出していたのだ。
その頃のパシールは、カウンセリング業で毎日忙しい日々を送っていた。
同じ姿勢で椅子に座り、相談者の悩みを聴き続ける。すると、マイナスの波動で打ち負かされてしまう。
相談者たちの「辛いです」「悲しいです」「死にたいです」という負の塊が、パシールの頭・背中・腰にコビリ付いてキツかった。
ということで、当時は週1ペースで毒抜きが必要だったのだ。
その後、激しい施術も終わり、待合室でお茶を頂きながら話をすると、セラピストは、日本人男性と結婚している韓国人女性だと知った。
どうやら苦労が多いらしい。
荒々しい施術に反し、彼女は優しい人だった。
前の客が泣きながら相談していた理由も、何となく分かった気がした。
その後、どうやって家に帰ったのか覚えていない。
マッサージで疲労は最高潮に達し、吉祥寺に寄って買い物をするのも忘れていたくらいだ。
ただ、翌朝に想像だにしなかったことが起きた。
な~んて身体が軽いのぉ!
あれほどの苦行に耐えたおかげだ。
あの韓国女性の荒々しい施術が、身体の中の毒をぜ~んぶ抜き取ってくれていた!
それから何度か店に予約を入れようとしたが、その都度邪魔が入って縁が切れてしまった。
今でも西荻窪に「あじあ」というお店は有るのだろうか。
🐶本日も中目黒土産店さんの写真を使わせていただきました💜
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