今日のホン『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。』
こういう第三者曰く、の恋愛小話オムニバス、たまらん。
著者の林さんの経歴が好感度高い、音楽にもワインにも愛がある人が書いているということ、わたしも飲食業のはしっこで働いているのだが、ワインバーをオーナーで20年やってるって、それだけでもう信用がおける(しかも東京で)。
音楽は詳しくないのだが(しかし、もしこの本のサウンドトラックがでたら必ず買う)、カクテルやワインなどのチョイスやそれに関するちょっとした蘊蓄もたまらない。おのずと、この語り部は林さんで、完全なる虚構ではないと思わせてくれるのがロマンチックだ。
たしかに、なぜだか対面式になっているバーって、店主につらつらと話しかけてしまう。
たとえ、初対面であっても、わたしの場合たいていバーにいくのは二軒目だとか少し酔いが回ったころだからか、心が緩んでいるというのもあるだろうけど、しかし、素面で訪れたとてバーにはそういう魅力がある。
ここにでてくる話は、そりゃ尺の都合があるかもしれないが、各章の登場人物におこる出来事と、その最終的な心持ちに至る過程が実に端的によくまとめられていて、それが失恋というカタチで終わろうとも、どれも前向きな気持ちで終わっているのが好い。
やだぁ、わたしだったら、もっとドロつくわ、とか思いながら。
登場人物たちが自分の年齢(アラサー)から上の人々がたくさんでてくるところも勇気がでる、恋はいつだって始められる。
昨年ひどく大きな失恋をした私にはぴったりの読み物だった。
Bossaさん行きたいな、春、上京したら絶対いこう。
※Kindle ¥605