見出し画像

『刑法入門』の読書メモ

『刑法入門』を読みました

「旦那デスノート」という悪質なウェブサイトが存在する。そこでは「夫を殺す方法」が公然と紹介され、多くの実践報告が投稿されている。私のX(Twitter)を見てくださっている方はご存じのように、私は最近、この問題に取り組みつつある。

この問題に対応するために、色々と調べて泥縄式に知識を詰め込んでいる。前回の記事でも書いたように、「知は力なり」だ。戦うためには、知らなければならない。

犯罪について専門的な書物を読むためには、その前提となる初歩的な知識を仕入れることが必要だ。そのために、山口厚(2008)『刑法入門』(岩波新書)を読んだ。

刑法は「総則」と「罪」の二編から成る。おおむねこれに対応して、専門書では、『刑法総論』と題された本と『刑法各論』と題された本とがセットになっていることが多い。それに即して言えば、この本はおおむね『刑法総論』を初心者向けにしたような内容なのだろう。「犯罪とは何か」という基礎的な(場合によっては哲学的な問題にも関わりうる)問題を、初学者向けに柔らかく書いている。

目下の問題に対しては遠回りのようかもしれないが、こうして学ぶことが実は近道なのだと思う。

一問一答

このあたりは覚えておきたいなと個人的に思ったことのメモとしての、一問一答:

Q1. 日本の七つの刑罰とは何か。
Q2. 有期懲役・有期禁錮の最短・最長は。
Q3. 執行猶予は何以下のどの刑罰に対してあるか。
Q4. 科料の最小・最大額は。
Q5. 逮捕から送致・送致から勾留・拘留から起訴の期限は。
Q6. 拡張解釈と類推解釈、許されないのは。
Q7. 共犯の三つの類型は。

A1. 死刑・懲役・禁錮・拘留・罰金・科料・没収。
A2. 一月以上二〇年以下。
A3. 三年以下の懲役・禁錮。
A4. 千円以上一万円未満。
A5. それぞれ、四八時間、二四時間、二〇日。
A6. 類推解釈。
A7. 共同正犯・教唆犯・幇助犯。

法律色々

そんなこんなで、ここ数日で法律に関する知識が結構増えた。誤解していたことも結構あったし、もしかすると同じ誤解をしている人も多いのではないかという気がすることも結構あった。例えば、次のような事柄は個人的に理解が曖昧であった。

  • 幇助(刑法第62条第1項)や教唆(刑法第62条第2項)は、その幇助や教唆の対象である犯罪が実際に行われなければ成立しない。すなわち、他人に対して、犯罪を行えと命令したり、犯罪の方法を教えたりしただけで、その相手が犯罪に着手しなければ、犯罪にはならない。

  • 自殺の教唆や幇助(刑法第202条)は個々に定められた犯罪であり、一括で定められている殺人や窃盗等の教唆や幇助(刑法第62条)とは、法律としての建付けが違う。

  • 証拠隠滅罪(刑法104条)は他人の刑事事件の証拠を隠滅する犯罪で、自分の刑事事件の証拠を隠滅することは該当しない。

家庭内暴力について

家庭内暴力についての法律や実務についても図書館の本で調べてみようとしたが、「家庭内暴力の被害者は女性、加害者は男性」という(事実に反する)決めつけによる本しかなく、何の参考にもならない。これがこの社会の現実かと改めて悄然とする。ネット上ではちらほらと男性の人権を擁護しなければいけないということに気づいた人たちが現れているのを見るが、実際に社会の趨勢が男性差別解消に赴くにはまだまだ道は遠い。

一つ一つ知識を得て、そして新しい知を築いていくことが必要なのだろう。

関連記事:女からの加害を受けた男を打ちのめす《4重の否認》 ~社会は女の加害にも正対せよ~|Nikkoh

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?