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りばるの紀行 ~大英博物館マンガ展の思い出④~

コミケにまつわるご縁


 いよいよ次はコミケのコーナー。私の印象では、実はここが一番賑わっていました。
 あの続々と人が列をなし規則正しく並んでいる俯瞰の定点動画と、様々なジャンルのレイヤーさん及びカメコさんが群がってる様子の動画が、壁に大きく映し出されていました。

 因みに③の最後に触れた鉄道系ポスターの中にはコミケ向けにチャージを勧奨するポスターもありましたから、意図的な配置だったのでしょうか。
 原画や古本よりも見入ってらっしゃる熱意度が高く、滞留時間も長い様子。
 やっぱり海外ではアニメーションやコスプレのビジュアル先行型になるのかなーと勝手なイメージ。吹き替えアニメから翻訳原作に入っていくのがスタートとして多そうだなと。(今は割と同時配信が増えたでしょうけど)

 東方○rojectとアリスがモチーフになっている同人誌がセレクトされて、ケース内で展示。コミケ95のカタログについては、自由にページが捲れるように2冊置いてありました。
 ええ、我ら姉弟の最大の目的はこのカタログ!
 私自身は地元のドーム規模のものしか行ったことがありません。東京版のカタログの分厚さには、軽く凶器だなと感心してしまいました。
 サークル参加していた弟に「自分のサクカどこ⁈」と分厚い中からページを捲ってもらい、ニヤニヤしながらそのサークルカットを寄せと引きで写真撮影。その載ってるページをそのまま広げて私達は去りましたとも。
 弟のジャンルが東方なので、展示されていた同人誌とセットになるページでちょうどいいw
 いやー本当に、あの大英博物館にみんなの作品は展示されていましたよ。

 今やあんなに分厚いカタログですが、コミケ開始当初はリーフレットだったことを思うと、時代の変化を感じずにはいられません。
 というのも、私と弟には、コミケ2だか3だかのリーフレットを全く別の展示会で事前に目にする機会があったのです。

 例によって例のごとく。
 父がとある県の文芸館主催の『貸本漫画の遺産』という企画展に全面協力をしまして。
 お盆シーズンでしたので、アニメの美術監督をしている叔父と元漫画家兼イラストレーターの叔母夫婦が帰省中。一緒にその企画展を見に行くことになりました。
 ちょうど、県出身者である藤本由○里さんの講演会も行われる日です。(『少○まんが魂』はだいぶ前に拝読済み)講演会参加のあとにゆっくり展示を見ようという流れでした。

 メインの展示は当然、貸本時代の古本たち。
 が、コーナーの終わりにはなんでかコミケ初期のリーフレットも展示してあって。正直、私達としては古本よりはそっちが世代としても身近だし、興味を引かれました。
 定期的にサークル参加している弟が「今のコミケは90番台だからね」と教えてくれたので、私は「流石にこの一桁は凄すぎるね。しっかし、また相当古い物、取っておきすぎ・・・」と感心半分呆れ半分。
 すると、ちょうど父が関係者さんとの話を終えて会場に戻って来ました。すかさず私は「よくこんなんまだ持ってたね。当時、東京まで行ったの?」と尋ねました。
 もはや初期の物は貴重だと私だって理解しています。
 しかし、この展示のために父は書庫に籠りっきりでコレクションを客間やらに広げたり積み上げたりして、いい加減、母が片付かなさにキレてる時期でした(笑)母の気持ちもわかるので、娘の私は半分以上の呆れからそう質問していました。
 すると父はアッサリ一言「いやー、これはホラ、○澤君がしてたから貰ってね」と。
 その一言で私は状況を理解してしまいました。
 なんで貸本漫画展でコミケ?と思ったけれど、そう、この文芸館があるのは某県。コミケ創始者と言っても過言ではないその人の出身地です。
 だから関連資料として展示していたんですね。ちゃんと観てなかった私の愚問でした。
 そして、時々父の思い出話で「泊まり込んでマンガの話ばっかりしてたなー」と子供の頃に聞かされていたその名前。
 なんかスゴイ友達って聞いてたけど、え、そーか、同一人物かっ!ってなりました。父があまりにもフツーに友達として名を挙げていたので、私の中で全然リンクしてなかったんです。
 オタクの偉人みたいな方なのに、ようやっと私の中で整理がつき。
 やっぱ父の人脈ナゾ過ぎ・・・と半笑いするしかなかったですね。
 要するに、父は当時のコミケに参加したから保管していたのではなく、コミケ代表を務めた友人から開催するよ~と郵送だかで貰っていて保管していた、ということです。貴重さの加減がちょっと斜め上でした。

 コミケを始めた人物の、類友(父)の子(私の弟)が現在も続くコミケに参加し、果てはそのコミケカタログが海を渡り、世界的博物館に展示されていた。 
 私、なーんも関係ないけど、こんなご縁ってあるんですね。
 
 現在はコロナ禍でもあり、Web開催という新しい手法もとられ。(一度だけWeb参加しましたが最高に便利です・・・体力がいらないし時間に捉われない)
 オタクの熱意は途切れず脈々と続き、一大文化を築いていることを身近に感じるばかりです。


 ②朝のお散歩の伏線回収となる⑤へ続く。

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