#31「靴」
先日、オリエンタルラジオの藤森慎吾さんのとある動画が目に入った。
シューズがとてもお好きらしく、都内のシューズショップにロケに行っていたのだが、その品揃えの豊富さやスタッフの専門性が凄すぎて、自分にはまるでついていけなかった(やりとりやトークが面白かったので動画は最後まで見た)。
靴の人気ってのはすごい。
すごい速そうなギザギザのシューズを履いて登校し、白い上履きをキュッキュ言わせてたあの頃では考えられないほどだ。
確かに、身の回りを見ても靴好きは多い。
だいたいがみんなエアマックスの何番みたいな感じの靴を履いていて、何番はここが良いけど何番はちょっとな、みたいな話をしている(ように僕には聞こえる)。
藤森さんレベルどころか、そんな周りの友人の話も分からないほど、僕は靴に興味がない。
興味ないは言い過ぎかもしれないが、そういうみんなの憧れ的な靴に心が惹かれないんである。
みたいなことをうっかり言ってしまうと「お前は周りより一回り大人だと言いたいのか!」と言われてしまうかもしれないがもちろんそんなんではない。だって惹かれない人は惹かれないよ〜。そりゃあダサい靴を履きたいとは言わないけれど。だからいつまで経っても「イイ靴」と「イマイチな靴」の一般的な審美眼が磨かれず、億劫がって靴を買う行為自体から距離が離れていったのだ。
なので僕はもう何年も同じ靴を履き続けている。
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大学を出た直後に入った会社の話は何度かしていると思うが、とにかく少し古風な会社だった。出勤簿や各種申請書が紙だったり、給料が手渡しだったり。
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