【いつだって夢はこの7人から】『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEスターリッシュツアーズ』ライブレポ【9.15追記】
TVシリーズの節々に添えられてきたこのキーワードを、今までで最も高い純度で具現化したのが今回のライブだったように思います。
見始めの頃は正直、アニメを彩るために添えられがちな「綺麗な言葉」程度にしか捉えていなかったこの言葉が、今これほどの圧倒的な説得力をもって輝くとは思いもしませんでした。
その意味では、今回のライブがST☆RISHの単独公演だったことにも、込められた思いの深さを禁じ得ません……!
7人の一挙手一投足、披露される楽曲のディテール、ステージメイキング、衣装、コレオ、そしてサプライズ——
そのひとつひとつに、「We are… and, You are ST☆RISH」というフレーズのほんとの意味を感じられました。
さて、この記事はつい先々月、10年遅れで『うたプリ』にハマり、全4シーズンと劇場版、TVSPを一気に駆け抜け、11年目にしてようやくリアルタイムに追いついた超新参マイボーイによる『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEスターリッシュツアーズ』の感想であり、ここまで『うたプリ』を楽しんできた体験全体の感想も兼ねています。
ネタバレ配慮なく記述しますのと、ファン歴の浅さによる知識や考察の甘さにつきまして、何卒ご容赦ください。
[前書き]うたプリとの出会いについて
まだ過去作を見終えたところまでの感想も書けていないうちに『ST』の上映が始まったので、まずは僕の『うたプリ』ファンとしての始まりと、ここまでの感想を先に書かせてください。
映画の感想だけ読みに来られた方は、このセクションは読み飛ばしても大丈夫です。
僕同様、今年28歳になる男性たちにとって『うたの☆プリンスさまっ♪』と言えば「そういえば学生のころ、一部の女子の口からよく聞いたワードだな〜」というくらいの認識はあったかと思います。事実、僕自身その程度でした。
が、今年の6月ごろからでしょうか。あるラジオ番組(まあ「こむちゃ」なんですが)で毎週のようにある曲がかかり続けるようになりました。
『マジLOVEスターリッシュツアーズ』です。
「マジLOVE……ってことは確かうたプリ……? え、あれまだやってんの……!?」
というのが、当時の僕の素直な感想でした。なにせ『1000%』が放送されていたのは2011年、僕が高校生の頃のこと。それが今もなおこんなにフレッシュに新しいコンテンツを作り続けているという、その情報に素直に驚きました。
ちゃんとコミットしたことこそないけれど、曲のパワフルさやエネルギッシュさはおそらく当時とあまり変わっていない、と察するには十分でした。
そして、曲の良さも心惹かれたポイントでした。
僕はサビの「見たことォ〜〜↑のない」のトキヤに撃ち抜かれたクチですが、他のみんなの歌もうまく、メロもよく、バックトラックもソリッドでスタイリッシュで、それでいてちゃんとアイドル然とした演出にも凝っていて、素直に音楽として、エンタメとして魅力的だったのです。
私事ですが『うたプリ』に興味を持てたのは、日陰者として世を拗ねていた高校時代の僕と比べて、今の僕自身がオープンに色々な音楽やカルチャーに触れ、TWICEやフィロのス、DIALOGUE+といった「推し」を見つけられた、舞台で輝く人たちの魅力に気づけた、という価値観の変化も相俟ってのことだとは思います。
とはいえ、それを差し引いても、彼らの音楽に確かに心の琴線を撫でられたのは事実です。
そんな「こむちゃ」でのパワープレイを経て、「じゃあそれだけ息の長いコンテンツなんだからアニメもさぞ面白いんだろう」と、思い切ってアニメを見てみることにしたのでした。
長い道のりになりそうだし、まあとりあえず1期から見てみて、興味が持続するとこまで、と。
いざ1期第1話を見た時は、正直「これどこかで夢オチ入るんじゃ……?」と終始警戒しっぱなしでした。
THE・悲劇のヒロインという感じで登場する七海。そこに王子様のごとく現れる音也とレンは、初対面のはずなのになぜかちょっと贔屓目な感じ。
そして受験できちゃうし合格しちゃう七海。入学してみると同じクラスに音也もいて——。
「もうちょっと砕けたアニメだったらこういうの絶対夢オチフラグだよね」感が(私見ですが)ありすぎて、しばらくは「どこまでが何??」と気の抜けきらない状態が続いていました。
が、のちのちセシルがアグナパレスの王子だったり(猫だったり)、美風先輩がアイドルロボットだったり……と知っていくことにより「結構あちこちにファンタジーも織り込んだ世界観なんですね」という認識が徐々に馴染んでいきました。むしろ「アイドル業界」「芸能界」というシビアな現実を、ある程度デフォルメはしつつもリアルに描くことが多い分、そうしたファンタジーとの混ざり具合は絶妙だったというべきかもしれません。こういう認識ができた今、改めて1期1話を見ると、少し見え方も違うのかも……そんなこともないでしょうか。
シビアな現実を描くことに関しては、妥協というか無茶なご都合主義もなく、ちゃんと容赦がないところがすごくいいなと思っていました。であるからこそ、山を越えたST☆RISHが光りますもんね。
「俺ら7人、どうやら歌の相性が奇跡的すぎてヤバい」というところから物語は始まったものの、それでもやっぱり彼らなりの苦悩や挫折はあって、ちゃんとそれを経た先にさらなる進化が待っている、という流れもそうでした。
いわゆる主人公補正的なものは、物語としてある程度はやむなしでしょうし、ならではのカタルシスもあるわけですが、それでも人間臭い悪戦苦闘や絡まった劣等感がちゃんとあって、それを自覚して受容した上でその先へ進んでいくので、なんというか興醒めしないまま、手に汗握ったまま見続けられたというか。
正直、最初は女性向けコンテンツらしく、とにかく七海争奪戦に終始するエピソードも少なくない(1期は特にラブコメ要素が比較的強めな)印象でした。
ただ2期3期と重ねていくごとに「アイドルとしての絆」や「立ちはだかる難題にどう挑むか」など、あくまで七海という存在の大切さは忘れないまま、ST☆RISH自身のアイドルとしての成長譚にシフトしていっていたのがすごくいいなあと思いました。
4期のデュエット回でレンが言っていた「大切だからこそ見守りたい」という思いが多分みんな同じなのでしょう(最初の頃一番攻め攻めだったレンがそれを言うってのがね……!!)。
演出も目を見張るものが多くありましたが、中でも特にびっくりしたのがライブシーンのガヤでした。
本当のコンサート会場から音を拾ってきたかのような密度と熱量。コールはもちろん、一緒になって歌う部分だったり、メンバー同士が絡むような振り付けの時に顕著に膨らむ黄色い声などなど、これを本当にアフレコスタジオで作っているのかと疑うくらいの臨場感に圧倒されっぱなしでした。
シーズンを重ねるごとに(時を経てアニメ技術の進歩もあり)ST☆RISHの動きもぬるぬるしていって、4期のエントリーライブはその集大成という感じがしました。
林檎ちゃんや日向先生、友ちゃんの存在も、他のアニメだったら薄れていってしまったっておかしくないはずが、ついに全シーズンにわたってST☆RISHや七海にとって欠かせない人物になっていて……というか、レンのお兄ちゃんや大物映画監督(名前忘れた)、孤児院の子たちなんかもずっとST☆RISHを見守り続けていて、無駄なキャラなんて一人もいないぞという愛情を感じました。
そして何より、作品の性質も相まって「絶対に最後はみんな笑って終われる」という絶大な安心感を持って見続けることができました。
僕は特撮が好きなんですが、仮面ライダーなんかでは時々「一つの問題が、ちょうどいいボリュームを超えて何話も引きずり続け、なかなか安心して見れないどころかちょっと気持ちが離れてすらしまう」みたいなこと(わかる人向けに言えば「お仕事五番勝負」とか)があったりします。そういうのってスパイスとしてはすごく大事だと思うんですが、同時にバランス感とかテンポを求められる部分でもあると思うのです。
だからこそ、基本1話完結で、必ず跡を濁さない終わり方をしてくれる『うたプリ』は終始、むしろこの難局をどう気持ちよく締めてくれるのかというワクワクと、それによって得られるカタルシスを期待して見ていたようにも思います。
セトリで振り返るST☆RISH
『マジLOVEキングダム』は配信サイトで観たので、劇場鑑賞は『ST』が初めてでした。
10年遅れでリアタイトレンドに間に合うってなんて奇跡的で幸せなことなんだろう(去年『エヴァンゲリオン』でも感じた有り難みです)。
初回鑑賞は平日(公開初日)の朝の回だったので入りはまばらでしたが、いざ始まると推し色のライトがあちこちで灯りだしたのでびっくりしました。TWICEのライビュではちっともだったのに……(もちろんその辺は客層や上映時間などにも左右されるのでしょうが)。
僕もうたプリの推し友達ができたらそういう鑑賞の仕方をしてみたいです。
M1 マジLOVEスターリッシュツアーズ
『キングダム』で、いわゆるLIVE映画のスタイルには心得ができたつもりでいましたが、いざ始まってみると本当に凄まじい臨場感で、歌い出しから圧倒されてしまいました。「あっこれマジで今ライブが始まってんだ」と。
それこそラジオやサブスクで何十回も聞いてきたはずの曲が、まるで本当に生で歌われているかのように力強く響き、開始からしっかり釘付けに。
アニメの感想でも書きましたが、やっぱりガヤがすごい。劇場音響ということもあって、配信で見た時とは比べ物にならない臨場感でした。拍手がスクリーンの向こうのものなのか劇場の誰かのものなのかも正直判別が難しかったです。
我が推し聖川が「みなの歓声に包まれている気分だな」みたいなこと言い出して「いや実際そうでしょ」とツッコミかけましたが、今回のステージが『キングダム』と違ってドームのど真ん中に置かれた360度型のステージだったからなんですね。
パンフレットを買いましたが、角度的にも距離的にも自由度が増したからこそモーションキャプチャーの撮影が難しかった、という旨のことが述べられていました。なるほど確かにそうですよね。
っていうかモーションキャプチャーの進化がマジで凄すぎました……一人がMCしてる間に他のメンバーがわちゃわちゃしたり相槌したりする仕草とかめちゃくちゃリアルで、そこに彼らがいるってことを疑いなく観ていられたし、印象的なところで言うと音也のギターもそう。(あそこまで弾けないけど一応)人前で弾く感覚を知っている身として、「これを弾いているときなら確かにみんなの方を向いていられる」とか「ここで身体をそっちに向けたくなる気持ちめっちゃわかる」とか、あとは指の動きに至るまで徹底的にリアルだったんです。モーションアクターの皆さんもマジで名演だと思いました。MC中○○ならこう振る舞うだろうな、みたいなキャラの個性も掴んでいたし。
とはいえアニメーションでは表情やニュアンスにどうしても限界があるため、ボディランゲージの割合や身振りの大きさが増していたんだと思いますが、これはまさに仮面の下の表情が見えない特撮ドラマの世界の表現法にすごく近い感覚があって面白かったです。
そのほかにも単独ライブゆえの飽きさせない構成・セットリストの検討だったり、衣装の魅せ方、振り付けのポイント、楽曲制作のこだわりや遊び心など、パンフレットは(買ったのは通常版でしたが)本当に一読の価値大アリの内容でした。クリエイター陣の『うたプリ』へのビッグラブが、シンプルながらバチバチに伝わってきて、本当に愛ある作品なんだなと実感しました。
印象的だったのは「ファンがST☆RISHを好きなように、メンバーもST☆RISHが大好きなので——」と述べられていた部分です。カルナイもHE★VENSも、言ってしまえば現実のアイドルたちもそれはそうだと思いますが、『うたプリ』はそれを前面に大きく押し出すことで描かれた物語も多くあったし、象徴的だなと思いました。
M2 OK, Hello World!
違ってたらすみませんなんですが、音也がライブでここまでみっちりギターを弾くのって初めてですよね……?
リフやソロだけでなくちゃんとバッキングも弾いていてえらい。音也は弾ける限りのところはなるべく弾きに行きそうだもの。英語詞多めなのも、チャレンジングで努力家な音也のキャラクターを引き立てているように思えました。
ていうか急なアップバングは危険……!普通にときめいちゃいました。
アニメ視聴時は、前述の通り夢オチかっていうくらい開放的で明朗快活なキャラクターが、確かに彼らしいとは思いつつ、でもなんだか他のメンバーに比べてリアリティがないというか……孤児院設定もそこまで深刻な感じじゃないのかなあ……なんてずっと思いながら見ていました。語弊を恐れずに言えば、至極アニメチックというか、雰囲気キャラというか。
しかし4期の闇落ち回が衝撃的すぎて……。『うたプリ』でもこんなサイケデリックな回が見れるのかというメタ的な驚きと、音也の闇がそれほどのものとは……という意外性で。でもある種、アイドルという職業には縁浅からぬ問題な気もします。
トキヤと並んで、ST☆RISHの中でも比較的中心人物的なポジションだと思うんですが、4期にまでなってもその核心に触れることなく他のキャラに道を譲ってきた、そのシナリオの流れですらも音也らしいというか。
ただそうは言っても、七海へのアプローチは意外にもなかなか抜け駆け甚だしいものが多くて、まったく隅におけない奴ですが……!!
そのストレートさが7人の中では長所として光っている、その点は今も変わらずですね。
M3 Ready to be a Lady
わかる。めっちゃわかる。
絶対似合うとは分かっていたけど、ああもバチバチにハマるとは……笑。
逆に今までああいう曲が無かったことの方が不思議に思えます。
音也の時は完全なソロステージでしたが、レンのステージから「ソロ歌唱ではあるけどパフォーマンスで他メンバーが参加する」というスタイルが明らかに。
来栖、レンが肘を置くのにめちゃくちゃちょうどいい高さ……振り入れのときとか文句言ってそうですね。
工夫を凝らしたが故のであろうあのマネキンの演出、ぶっちゃけ初見の自分にはシュールに見えてしまったんですが、ただ影絵になった瞬間だけはマネキンが……というのはすごくハッとさせられました。
初めは一番危なっかしくて協調性も低く、何を考えているかもわからない、グループ活動にも消極的だったレンが、ST☆RISHを愛し、子羊ちゃんたちと触れ合ううちに、音楽活動も恋愛もそのスタンスを大きく変えていき……最初の頃と比べたら、一番変化が激しいのは実はレンかもしれないですね。だからさっき書いたデュエット回のあの台詞が僕はとても好きです。アグレッシブだけじゃなく、そういうある種の奥ゆかしさを知ったことが、レンの進化を促したのかもしれません。
M4 トリッドラヴ
世界をめぐる音楽の旅、という『ST』のコンセプトと一番面白く絡めるのがセシルなんじゃないかなと思っていました。砂漠の国の音楽文化で、架空の国家アグナパレスを匂い立たせる楽曲作りやステージングはとてもにくかった。
「灼熱の太陽」「呪文」「魔法」どれをとってもセシルにぴったりの歌詞。
言葉の壁の影響もあるのでしょうが、それにしても己の感情を躊躇いなくストレートに言えてしまうセシルならではの歌だと思いました。
前述の通りセシルは『うたプリ』世界に散りばめられたいくつかのファンタジー要素の中でも最たる存在ですが、きっと多くの視聴済みファンの方がかつてそうであったように、最初はセシルのST☆RISH加入はとても心配でした。
なにせ6人であれだけのドラマを積み上げ、一本の確かなゴールテープを切っている以上、そこに入り込んでいく存在に対して設けられるハードルは並ではなく。
ただ「他ならぬセシル自身がそのハードルと戦う」シナリオを見せられたことで、最後にはセシルの加入を喜ぶ自分がいました。その見せ方は本当にうまかったですよね。
4期でシオンと組んだ時は「やべえやつ同士で組みよった……」とドギマギしましたが、あの回もセシル自身のそういった経験が活きるすごくいい回でしたね。
M5 Snow Ballade
はい来た、我が推し!!!
パワフルなステージが続いたあとで、聖川の銀世界が現れたことで心が少し落ち着くのを感じました。
なぜかこの曲だけイントロコールがあって、しかも「I want you H」って言ってたのがめちゃくちゃツボでした。個人的にあれおもろいよなって思ってましたが、公式だったんですね……。お客さんよく笑わずにコールできるね。
1期のころを思うと、聖川のステージに客演したのがレンなの、かなりエモエモですよね……。
『キングダム』を観た中で僕が特にピンときたお気に入りの曲が『Feather in the hand』だったんですが、今回の聖川ソロも『ST』の中では個人的に一番好みな曲でした。推しであるばかりか曲のセンスも合うなんて嬉しすぎる。
頑なに歌詞の一人称が「俺」なのが聖川らしすぎてクスッときます。
が、「思いを告げずに離れて見守る」のが今までの聖川だったのに対し、この歌はそこから一歩も二歩も前進しているのが感じられて、(偉そうですが)嬉しく思いました。
そうそう。そうなんです。僕が聖川を推す理由は「イケメン」も「努力家」も、「なんとなく好き」「幼少期がかわいい」「鈴村」「喋り方がウケる」どれも正解なんですが……中でも特にその「奥ゆかしさ」があります。
7人の中で唯一、七海への思いを秘めたままにしている聖川。それどころか七海さえ知らない接点、はじまりの日があって——
正直言ってしまうと「女性向け恋愛ゲーム発のアニメ」程度の認識しかなかった頃の僕は、こんなキャラクターがいるなんて想像できませんでした。積極的な奴も物静かな奴もいるにしたって、とはいえみんな主人公にベタ惚れで猛烈アピールばかりなんじゃないかと思っていました。だからこそ、聖川の美しさと儚さが沁みたんだと思います。
あと特にお気に入りなのがトキヤとのクロスユニット。二人とも生真面目だからこそ滲み出る独特な雰囲気が「あっこれやばいぞ、これがいわゆる"""沼"""だ」と明確に認識させられた稀有な体験でした。二人で滝に打たれているシーンのキャプ画だけが未だに削除できません。
銀世界の舞台、担当カラーが青なのに、灯す明かりの色でペンラが一気にオレンジになるの、"""粋"""すぎました……自分の推しばっかこんなスペシャルな演出、いいんすか????
M6 愛をボナペティ♪
「バケツいっぱいの那月をくらえ!!!!!!!!」と生クリームを浴びせられた気分でした(褒めています)。
みんなかなりファンサのできる7人だけど、中でも特に手厚いサービス精神の持ち主が那月。そのメーターが振り切れたのがこの曲だと思いました。
ただ、『キングダム』直前までメンバーみんなそれぞれに色々な問題と戦っていて、それを乗り越えた後のマインドということもあり、また『キングダム』がレイジングとの合同ライブということもあって、ST☆RISHそれぞれが個々の「らしさ」をここまでダイレクトに表現できる機会は、今回この単独公演でやっと訪れたという感じなのかなと思いました。
『キングダム』で嶺ちゃんが「マイボーイ?」と声をかけてくれたのが僕にとってめちゃくちゃ嬉しかったように、きっとこの歌は大人のファンにはもちろん、幼いプリンセス・プリンスたちにも刺さったんじゃないでしょうか。『旅の始まり』でもキッズファン出てきてましたしね……あれ、違いますか?もしかして大人の那月担がただ幼児化してるだけですか……??(着ぐるみの中身もメンバーなのだとしたら僕は来栖とトキヤだったと予想します)。
それに今回も男性ファンが来栖に「こっち向いてー!」と叫ぶシーンがあってめちゃくちゃ嬉しかったなあ。
これは完全に僕の偏見なんですが、那月のようなほんわかキャラが男性視聴者的に一番心のシナジーが生まれにくい印象がありまして、僕自身、他のキャラクターに比べると那月を推せるようになるまで少し時間がかかりました。
が、さすがうたプリ。那月はそれに終わらない男。僕の偏見を綺麗にひっくり返してくれました。
来栖との関係性や砂月の存在など、引き込まれる要素は色々ありましたが、歌声のギャップもすごいですよね。歌だけ砂月が歌ってるんじゃないかと思うくらいのイケボで……中の人のキャリア的にもそれは納得なんですが、とはいえ那月のテリトリーを決して超えない範囲内で、最大限にクールな歌声を発揮していたのがすごく印象的でした。
そしてその砂月に関しても……4期は音也といい聖川といい、メンバーの根深い問題に決着をつける回が多くて、さすが(現時点で)最後のテレビシリーズだなと思いますが、
正直その二重人格というのも「癒しキャラにギャップを生むための、極めてアニメ的であざとい設定なのでは」と最初は思ってしまってました(この記事、「正直」と前置きして性悪なことたくさん書いてますね……ごめんなさい)。ただ、実際にそう思わせる、バックボーンの薄いアニメも現に一定数あるからです。
が、那月に関しては幼少期のトラウマや砂月の存在理由がしっかり描かれているおかげで、ちゃんと二人分の感情に移入することができたし、砂月との別れを惜しむことができました。そういう視聴体験ができたこともとても嬉しかったです。
M7 TRIGGER CHANCE
二人目の推しです。夜の水辺大好きマン。
トキヤは本当に生まれながらのエンターテイナーですね……。他のメンバーももちろん魅力的ではありますが、それでもトキヤのステージだけは「別格だな」とはっきり感じてしまいます。あえてこう書きますが、アニメなのに、ですよ。
ブロードウェイ風のアレンジも、そんなショーマンとしてのトキヤにぴったりでした。
先にも書いたように「どこまでが何??」と警戒していた初期の僕としては、HAYATOの設定も受け止めようがなく、「嘘なら嘘って早く言ってほしいな……」などとヤキモキしながら視聴していましたが、実際にはそのHAYATO問題があったからこそ、トキヤが特に「芸事のシビアさ」を映し出す立場を担っていましたね。
あの一匹狼がST☆RISHを引っ張る存在になるとは……にわかでも感慨深いものがあります。2期でやっとデフォルメ顔になった時は面白いより先に嬉しかったです。
僕が一通り『うたプリ』を見て特に好きなシーンがいくつかあるんですが、その中の一つがこちら。
このシーンがもうとにかく鳥肌で。
個人的には「自分で……自分が一番」っていうところは宮野(敬意ある呼び捨て)の感情が振り切れたがゆえの言い淀みがそのまま採用された……みたいなことなんじゃないかと勝手に思っています。そのくらい覇気のある芝居だったので、ここだけアニメというよりはドラマとか舞台を見ているような気持ちになりました。彼を推そうと思ったきっかけのシーンです。
M8 来来☆オーライ
中華モチーフについて、下野(敬意ある呼び捨て)はパンフレットで「そんな気がしてた」と言っていましたが、個人的には「そうきたかー!」という感じでした。
前述のように「ようやくメンバーが個性を出せるステージができる」タイミングなのかなと思いつつ、そこに世界の国々の要素を絡めることでST☆RISHらしいポップさを逃がさない効果があるのかなと思いましたが、来栖が一番「国」要素ゴリゴリでしたね……笑。歌詞の遊び心も彼らしくてすごくいいと思います。飛び回る来栖をTシャツ姿で見守るメンバー、という距離感も微笑ましかった。
推しをさらにもう一人挙げろと言われたら、僕は来栖を挙げます。
7人みんな、アイドルとしての意識の高さが顕れる箇所がそれぞれにあるのかなと思っていますが、来栖の場合ヘアスタイルやファッション、ネイルなどに気を遣っていて、かつどんな仕事にも果敢に挑んでいく姿勢がすごく気に入っています。プロ意識の高さというんでしょうか、来栖はそれがピカイチですよね。
今回の「サプライズ」でも唯一感極まっていたし、熱いパッション(このラ〜〜ブパッション!)の持ち主だからこそ、感情豊かでファン愛が強いのかなと思います。
あとこれは中の人的な話なのかもしれないですが、歌めちゃくちゃうまくなりましたよね……!?
どこかで来栖が「中居枠」と書かれていたのを見て正直言い得て妙だなと思っちゃっていましたが、今はもはやそうも言えないかも。
ラジオも面白いです。こげプリ、追っかけて聞いてます。
M9 UUUU / M10 SAMURAIZM
この二曲は世界の特定の国や地域というよりも「洋」と「和」を象徴しているとのこと。
『UUUU』はバラエティ豊かなトラックの中に、個人的にはどことなくK-POPの雰囲気も隠れているように思いました。
『UUUU』が「日本から見た世界」だとすると『SAMURAIZM』は「世界から見た日本」なのかなと思います。聖川はともかく、ゴリゴリの和曲をセシルが演るのもなんか不思議で面白い采配でした。
このあと最後のMCが少し長めに入るのですが、客席(スクリーンの向こうではなくこちら側の)から鼻を啜る音がちらほら……。
僕は泣きませんでしたが、気持ちはすごくよく分かりました。10年前からその背中を見守っている人たちにとって、『ST』は『キングダム』とはまた一味違う感動があったことでしょう。
「サプライズ」も、その感動を増幅させていたように感じます。何よりその感動がオーディエンスだけのものでなく、ST☆RISHも一緒に感じているあたりが本当に「らしさ」だなと。
M11 ST☆RT OURS
まずもってタイトルのセンスが抜群ですよね。一文字ずらしただけで全く新しい意味になる。しかもST☆RISHにとって全く当て外れでない言葉だから、すごく美しいなあと思いました。
この時の衣装が一番好きです。カラーリングではなくスタイルで差別化している感じとか、宇宙を思わせる色合いが最高にかっこいい。さっきも少し書きましたが、制作サイドは衣装も含め本当に3次元のアイドルのライブを準備しているのとボルテージ的には変わらないんだろうなと感服しました。
「心を大空に旅立たせる/音楽は世界を変える」という言葉通り、空どころか宇宙にまで飛び出し、冗談抜きで世界中に響き渡る音楽を打ち鳴らしてしまったST☆RISH。
「どうなのよ?」なんて思いながらアニメを見始めたあの頃の僕に、絶対に後悔はしないから必ず最後まで見ろよ、と今改めて言ってやりたいです。
EC 続け…!ISHの旅へ
僕は今回の曲を一切予習せず劇場に行ったクチなんですが、この曲に関しては完全に劇場初披露だったようですね……そういうとこですよねST☆RISH……!!
『キングダム』冒頭で披露されたメドレーを思わせる構成でしたが、案の定僕は御曹司組の曲が一番好きでした。これ本当に聖川贔屓じゃないですよ。それとこれとは別でシンプルに曲が好みなんですから。嬉しいものです。
「また旅に出よう」という一節で歌い終えるのが、とても希望と期待に満ち満ちる、多幸感あふれる締めくくりでした。
どうかまた旅を共にさせてほしい……と切に願っています。
あと、これは明言を避けますが、エンドロールラストのあの静止画はマジでずるい……ずるすぎる!!
『旅の始まり』でも同じ種類の嬉しさをもらいましたが、ああして劇場で目の当たりにすると、その臨場感すらもあるというか……。
みんなちゃんとそこにいてくれたんだな……最高だよ!!!(どんなに伏せても、この一文だけで意味するところはわかってしまうかと思いますが)
EC2 ****
やられました。
完全に持っていかれました。
Uターンする人のため目次では伏せましたが……まさか『マジLOVE1000%』RAINBOW STAR ver.をやってくれるなんて………!!!!
僕はこのバージョンの原曲を聞いたことがないので、「始まりの曲」とか言われてもイントロではまだピンと来なかったんですが、このバージョンだとセシルから始まるんですね……!「君をマジで守りたい」とかセシルが言うのもなんかいいミスマッチ感で面白いですね。この新鮮さは新参者特権かも。
今のST☆RISHの姿は、夢を叶えて、売れて、変わって、その上での今全く新しくなった姿なのではなくて(そういう部分もあるでしょうけど)、夢のスタートラインにつま先を揃えた1期のあの頃の延長線上の存在なんだなってことを感じられてすごく嬉しくなりました。
1期のEDのあの映像に慣れているからこそ、今回見せてくれた新しいアングル、ブラッシュアップされたダンスに、歌の音源こそ同じでも(メタですが)、このライブ自体は2022年の今この時のものだと思って見ることができました。これも一つの「臨場感」ですよね。
見終わって間もなく書いてますが、もう見たい。次いく日早く決めなきゃ。
まとめ
ふと思ったんですが、彼らは過去曲を改めて披露しないのが独特ですよね。
BUMP OF CHICKENが『天体観測』をライブで演奏したりリレコーディングするみたいに、2022年のST☆RISHが歌う『サンキュ』とか、カルナイ曲のカバーとか、7人で歌い直した『1000%』とか、思いついても全然不思議ではないのに、常に新しい音楽を携えてきてくれる。
それはコンテンツのメタ的な部分との兼ね合いなのかもしれないですが、常に一番熱くて新しくて眩しいものを見せたい、とか言いそうな彼ららしいなと、新参の僕ですら今そう思えます。
そして新参の僕ですらここまで深くハマれてしまうのだから、やっぱり『うたプリ』の求心力ってすごい。
ほんの些細なきっかけでアニメを完走し、タイムリーに映画の封切りに立ち会い……こんなにみっちり楽しませてもらえるとは思っていませんでした。
5期やってくれとは言わないから、どうかせめてこの1本だけでなく、また彼らの「旅」に連れて行ってほしいです。欲を言えば、カルナイとHE★VENSも一緒に……!(あるいは今度は彼らの単独公演かもしれないですね……)
そんで、いつかそんな日が来たら、その時には推し友達を作って、一緒にライトを持ち、応援上映を選んで見に行きたいと思います。
稀有なエンタテイメント体験を、エモーショナルなステージを、こだわり抜かれたクリエイティブの本気を、そして夢の真っ只中に架かった美しい虹を、本当にありがとうございました。
鑑賞後、ドキドキで壊れそうでした。
泣けるほど好きです!!!
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