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#53「アクセサリー」

 zanpanリスナーの方ならお馴染みかもしれないが、僕は2〜3年ほど前からいつも左腕に黒いブレスレットをつけて活動していた(写真参照)。

 ところが、9月初頭の関西遠征を最後に、これがどこかへ消えてしまった。

 おそらく滞在先か、戻り足のサービスエリアあたりに置いてきてしまったのだと思う。

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 このブレスレットは、僕が音楽やクリエイティブなどで活動するときに、自分を奮い立たせるための「着火剤」として着用していた。

 相手の名誉のこともあるので詳しくは記載しないが、僕は以前ひょんなことで、自分の夢や目標、生き方などを否定されてしまったことがあった。
「大きな見込みもないのに、いつまでやっているつもりなのか」。「近くにいると色々恥ずかしい」。
 こういった活動をしていればもう何度でも言われることだし、言う側の気持ちも正直よくわかるのだが、ただその時は精神的にかなりこたえた。

 このブレス自体は元々とてもポジティブな心持ちで着用していたものだったが、上記のことと浅からぬゆかりがあったため、以降はとてもネガティブなイメージのアイテムへと変わってしまった。
 それゆえの「着火剤」だ。あるいは「起爆剤」と言う方が、響き的には近いかもしれない。

 最初は破棄しようかとも考えたが、その時の怒りや悲しみに蓋をしてしまうみたいで、それもそれで嫌だった。

 いずれ僕が表現者として今よりまた成長することができたら、すぐにこの着火剤ブレスレットも不要になるだろうとは思っていたものの——
 おそらく不注意による紛失とはいえ、こうして意図せず消えてしまったことには、何か意味を感じてしまう。
 無宗教な僕だが、こればかりは神様から「もう捨てろ」と言われたのかな、と思う。

 ブレスに頼ることはつまり、悲しみを引きずり続け、呪縛に囚われ続けるということではないか?
 私情の怒りを燃料にして行うライブが果たして、会場へ来てくれた人たちへ届けるものとして相応しいだろうか?
 そんな疑問が、心の隅ではずっと燻っていたのも事実だった。

 枕が長くなってしまった(おまけに気持ちの良い話でもなく申し訳ない)が、そんなことがあったもんで、その流れで今日はずばり「アクセサリー」について書いていこうと思う。

***

 元はといえば、アクセサリー系には一切頓着がなかった。

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