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恋愛絡むと行動力異常オンナ(小6)

初めての彼氏が出来たのは中学1年生の時だった。
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今回は、さらに少し遡る。
小学校6年生の頃好きだった男の子。名前はケイタくん(仮)である。

私が前、ケイタくんが後ろの席になったことがある。
が、一言も話さない。プリント配る時も一切振り向かない。
好きすぎて直視できないし、尊すぎて会話とかできなかった。

祖母から編み物を教えてもらって、マフラーを編んでいた。
何の目的もなくただ編んでいた。
モチベーションが保てず、完成しないまま数ヶ月放置していた。

そうこうしているうちに、バレンタインデーが近づいてきた。
唐突に閃いた。完成したマフラーを渡そう。

マフラーを渡すことを思いついたのが直近すぎた。
チョコレートとマフラーを入れる、丁度良い袋がなかった。
祖母が見つけてきた「とらやの羊羹」の紙袋に入れた。

とらやの羊羹て
渋すぎるやろ
これに入れて渡すん恥ずいな
そんな事を考えながらバレンタインデーの放課後、ケイタくんの家に行った。

「変な袋やけど」とだけ発言し、袋ごと押し付けて帰った。

今考えると怖すぎる。
全く会話したことのない女がバレンタイン当日、家までやってくる。
チョコだけでなく、手編みのマフラーも渡してくるのだ。
重い。重すぎる。いきなり重い。
声発したかと思えば、紙袋のことだけ。
さぞ恐ろしかったことだろう。

名簿順に並んだ時、私が前でケイタくんが後ろになる。
卒業式に出席するときは名簿順で長椅子に座る。
ケイタくんが私の隣に座るのだ。
ホワイトデー付近は卒業式の練習が頻繁に行われた。

もちろん私は、ケイタくんと一切会話しない。

ホワイトデーの夜、私がお風呂に入っていると
母からお風呂の扉越しに聞かれた。

母「ポストになんかチョコみたいなん入ってたけど心当たりある?」
私「知らん」
母「あ、そうなん?ほな気持ち悪いから捨てるわ」
私「いや…… やっぱり心当たりあるわ。置いといて」

あっさり白状した。
せっかくいただいたチョコを捨てられるわけにはいかない。

ホワイトデー翌日にも卒業式の練習があった。
「ポストに入れといたから」とケイタくんに言われた。
「うん」以上、会話終わり。

付き合いたいなど微塵も思わなかった。
むしろそういった関係がこの世に存在していることすら知らなかったのだ。
ただ、好きだという気持ちをマフラーとチョコに託した。

今となっては、困惑させて、申し訳ないことをしたと思っている。


ケイタくんがくれたチョコを
勝手に母が数粒食べたのは絶対に忘れない。

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