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2つの命から教わった

人って、心底驚くと、声がでなくなるものなんですね。人生で1度だけ、そんな体験がありました。

産婦人科の内診台の上。

先生の「ツインだねー。」の言葉。

私は、子供が欲しかった。妊娠検査薬で陽性反応が出た時、すごく嬉しかった。でも、双子は、全く想像していなかった。想像外の出来事に、言葉がでなかったのだ。

周りは喜んでくれる。でも、私の気持ちは、ついていっていなかった。不安が勝っていたのだ。

初めての妊娠。なれない土地。何でも相談できる存在だった実母は他界していていない‥。私に、できるのだろうか。

そんな想いが強かった。

しかし、2つの心臓の動きを見るたびに、私の中で覚悟が決まった。双子ちゃんの、母になる覚悟。

それなのに‥

1人が育たなくなっていった。残念ながら、1つの命はそこで、途絶えてしまった。

手元にある2冊の母子手帳。しばらくの間、これを見るのが辛かった。泣いて泣いて泣いた。

その時の、生きて産まれてきてくれた子は、9歳になる。早産だった為、小さく産まれたが、スクスク大きく元気に育ってくれた。

妊娠して、元気に産まれ、元気に育ってくれる。これは、最大の奇跡だ。

そう、思う。あの子に教わった気がする。

振り返れば、実母が他界した時もそうだった。1番辛いのは、何も特別な事じゃない。当たり前のように訪れる、日常だった。

日常が1番辛くて、1番恋しかった。


コロナ禍の今も、そうではないだろうか。

私達は、これまでの日常を失い、それを恋しく思っている。新しい日常を築きながら。

今ここにある当たり前を、大切に生きていきたい。大真面目にそう思う。

最後までお読み頂き、ありがとうございました☆

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