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読書感想文②『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(著:伊藤亜紗)

「障害」の捉え方が変わる。そんな1冊だ。

伊藤亜紗 著『目の見えない人は世界をどう見ているのか』

障害・福祉系の著書は小難しいのだろうなと勝手に思ってたが、以前日向坂46(推しアイドル)の影山優佳さんがオススメしていた事と、大学時代に障害者交流のボランティア活動をしていた事もあり購入してみた。


とても読みやすくて面白い!!
素直に、障害者の世界をもっと知りたい!と思えた。

この本では、実際の視覚障害者との対談を元に、彼らがどのように世界を認識しているのかが書かれている。ここでの視覚障害者は「見えない人」ではなく、「異なる体・世界を持った1人」として存在する。障害を身近に感じようとする今の風潮において、敢えて彼らの世界を別物として切り離すのは意外だった。けれども、敢えて切り離すからこそ比較 · 特別視する事なく、自然と「見えないこと」を障害ではなく「個性」として読み進められた。



特に印象的だった文章がある。

『障害者同士だと、相手の障害をネタにしてみんなで笑い合う、なんていうことはよくある。けれども健常者が入ると、障害は触れてはいけないもの、タブーになってしまう。』

これを読んで、「障害者支援」という言葉に漠然と感じていたモヤモヤが少し晴れた。

「助けてあげたい」、「力になりたい」
そう思うことは大切だし、私も就活やボランティアで言ってきた。
しかし、これらの言葉には「私たちと同じ日常が送れる様に」という枕詞ある。「障害者支援」という言葉も同様だ。だからこそ、こういった善意が強くなりすぎると逆にプレッシャーとなり、障害者への壁となる。

けれども、彼らは私たちとは別の世界を見ている。私たちの見ている世界とその中にある価値観を基準に考えることがそもそも間違っていることに気付かされた。そして、この事実を認識する事で壁は薄れていく。
1人1人の価値観や性格を個性というのと同じ様に、障害を一つの特性として捉えられれば、「助けてあげたい」ではなく「もっと知りたい」と思えるのではないかなと感じた。

さらに、筆者は健常者と障害者の関係を「揺れ動く関係」としている。
お互いの世界を知って、自分の世界では見えなかった発見をして、考えを変容しあえる関係だ。
仕事柄、障害者の生活について考えることが多い。しかし、どうしても日常において彼らが困ること、出来なくなる事に目が行き、それら負担を軽くしようと考えてしまう。揺れ動く関係とは程遠いなと反省した。

まずは、彼らの世界をできるだけありのまま知りたい。動画を見る、交流をするなど、出来る事は色々ある。

とにかく、この本を読むきっかけをくれた影山優佳さんに本当に感謝です。


※P.S.
ノンフィクションの感想文って難しいな(汗)


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