林
インセプションデッキは「同じバスにのるべき」という同じバスに乗っていないと意味がなかった
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インセプションデッキは「同じバスにのるべき」という同じバスに乗っていないと意味がなかった

林

以前アジャイルのプラクティスの一つである「インセプションデッキ」をプロジェクト開始時に試そうとしたのですが、あまりうまくいかなかったので、その時のことを振り返ってシェアしたいと思います。

インセプションデッキをやってみた

前提

私はITベンダに勤めているため、プロジェクトは企画から始まるのではなく、まず提案が行われ、無事案件がとれると始まります。また、私の部署では基本的にプロジェクトはウォーターフォールで行われており、アジャイルに対する理解度は低いです。

インセプションデッキを作ろうとしてみた

その案件では、提案の時点での目的の解像度が低く、またメンバ間でも目指す方向性にずれがあると感じたため、インセプションデッキを作ることを提案しました。まずは私がたたき台を作り、社内で認識を合わせ、その後クライアントと認識を合わせる予定でした。

社内ですらうまくいかなかった

結果としては、社内ですらうまくいきませんでした。具体的には、我々はなぜここにいるのかを議論したり、エレベーターピッチを作ろうとすると「それは提案書の目的だよね」だったり、夜も眠れなくなるような問題を問題を考えようとすると、「それはリスクマネジメントだよね」だったりといった既に自分が考えているので不要だ、というフィードバックをプロジェクトマネージャから受け、議論になりませんでした。

『アジャイルサムライ』によれば、プロジェクトがうまくいかない原因であり、インセプションデッキを作成する出発点として、次の指摘がされています。

チームメンバーが誰もいないところで合意したことを前提にしているから、プロジェクトがだめになるんだ。

チームメンバーが誰もいないところで合意したことを前提にしているから、プロジェクトがだめになるんだ。

JonathanRasmusson;西村直人;角谷信太郎.アジャイルサムライ――達人開発者への道(Kindleの位置No.1085-1086).オーム社.Kindle版.

まさにこれは、インセプションデッキを作成しようとした私の課題意識そのものなのですが、そのマネージャはメンバーのいないところ、正確にはマネージャと、クライアントの決裁者の間で合意した目的に向かってプロジェクトを進めようとしていることに対して課題意識を持っていないようでした。

インセプションデッキには前提がある

インセプションデッキに取り組む前提

『アジャイルサムライ』では、インセプションデッキは「みんなをバスに乗せる」、つまりプロジェクトが向かう方向についての認識を合わせるツールツールとして紹介されています。しかし、そもそもインセプションデッキを効果的に作りるためには「関係者全員がいないところで合意した目的には意味がない」こと、そして「関係者全員でプロジェクトの向かう方向について効果的に認識を合わせるツールとしてインセプションデッキが存在すること」という認識が合っていないとダメだったのです。

ツールや様式をまねても意味がない

アジャイルに限らずですが、他の文化を取り入れようとするとき、文化そのものを理解せず、役に立ちそうなツールや様式だけを取り入れても、それは別物になってしまいます。ツールや様式の背景にある文化を理解した上でを取り入れることで、真の価値を発揮するのだとわかりました。

逆に考えると、そもそもインセプションデッキを作る場が自然と受けいれられ、活発な議論が行われているのだとしたら、もうその時点でプロジェクトはかなり成功に近いのではないかと思いました。

以上です。


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林
ITコンサル企業のエンプラSaaS導入部隊.週2記事更新を目標にしています.