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電気回路系のおすすめ参考書

はじめに

このページでは、回路エンジニアになるために、これまで自分が学習してきた以下の各科目について、おすすめの参考書を紹介しようと思います。

・ 電気回路学
・ 電磁気学
・ 半導体デバイスと増幅回路
・ CMOSアナログ回路
・ スイッチング電源
・ 高周波回路

電気回路学

電気回路学はあらゆる回路の動作原理を理解するのに、必須な科目です。
回路関係の仕事をされている人は、電気回路学を学んだほうが良いと思います。

正直、仕事で使う範囲は限定的である場合が多いので、電気回路学を学ばなくても何とかなるかもしれませんが、この基礎を理解しておけば、回路エンジニア共通の知識と認識を得ることができるので、エンジニア相手の会話がスムーズになると思います。

大学生時代、次の参考書で電気回路を学びました。

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例題と演習で学ぶ 電気回路(第2版)
https://www.amazon.co.jp/dp/4627735820/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_hN.aGb1W9CFAN 

例題と演習で学ぶ 続・電気回路(第2版)
https://www.amazon.co.jp/dp/4627735928/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_oX.aGbRSY5ZA9

皆さんも経験があるかと思いますが、大学で履修するときに買う教科書はたいてい難解で、解説が不十分など、読者を考えていないものが多いです。

大学生当時、電気回路を分かりやすく学べる良い参考書がないかと新宿の紀伊國屋で探し回った結果、見つかったのが本書です。
本書は、例題と図解が豊富で、詳細な解説が付いた演習問題もあり、学生がつまづくポイントはページを十分に割くなど、読者に非常に親切な構成となっています。

電気回路学を学びたい皆さんはぜひ本書を購入してみてください。
本書の大項目の章構成は以下の通りです。

前編

1. 直流回路の要素 (オームの法則)
2. 直流回路の解析 (キルヒホッフの法則)
3. 電圧源と電流源 (テブナン・ノートンの法則)
4. 正弦波交流の基礎
5. 交流の複素数表示 (フェーザ法)
6. 基本素子の交流回路 (R, L, C と インピーダンス)
7. 組み合わせ素子の交流回路
8. 交流の電力
9. 共振回路
10. 回路方程式 (枝電流法、閉路電流法、接点電位法、Δ-Y変換)
11. 交流回路の定理 (重ね合わせ、テブナン・ノートン)
12. 相互誘導回路
13. 三相交流電源と結線方法
14. 対称三相交流回路

後編

1. 電気回路における双対性
2. 二端子回路の行列表現 (Z / Y / F / H 行列)
3. 二端子回路の接続
4. 二端子対回路の接続
5. フーリエ級数 (ひずみ波と正弦波の重ね合わせ)
6. ひずみ波交流の諸量
7. 基本回路の過渡現象 (過渡応答、微分方程式)
8. 複エネルギー回路の過渡現象
9. 交流回路の過渡現象
10. ラプラス変換 (過渡現象の便利な解法)
11. ラプラス変換による解析
12. 分布定数回路 (高周波回路の概念)
13. いろいろな伝送線路
14. 伝送線路における反射


電磁気学

恥ずかしい話、私は電磁気学の単位を一回落としています。
単位を落としてしまった原因は、勉強しなかったことにあるのは間違いないですが、勉強しようと思えなかったのは以下の理由でした。

電磁気学が何を学ぶための学問なのか分からない。

全体像や目標地点が見えないまま講義を聞いても、理解度が低いままに終わってしまうのは当然のことだったと思います。

2回目の講義の時は、講師の出す課題を忠実にこなし、丸暗記でテストに挑んだ結果、無事単位を取得できたのですが、勉強していく中で、電磁気学は何を学ぶ科目なのか理解しました。

電磁気学は、「マクスウェルの方程式」を学ぶための科目です。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/マクスウェルの方程式

これを理解してから、電磁気学がぐっと面白く感じられ、研究テーマとしてアンテナを選びました。

研究テーマが決まり、あらためて電磁気学を勉強しなおそうと決めたときに、大学生協で見つけた本がキャンパス・ゼミです。

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電磁気学キャンパス・ゼミ
https://www.amazon.co.jp/dp/4866151382/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_5vcbGbZ1SD7Z5

本書は、図解と例題・演習が豊富で、各所に吹き出しで注釈がなされているため、非常に分かりやすいです。
電磁気学を初めて習う方や、私のようにつまづいてしまった方に、おすすめな参考書です。

正直、電磁気学の知識が実際の業務に直接役立つことはないと思います。
しかし、電場/磁場/電磁波の基礎を理解することで、電気回路で用いるコイルやコンデンサの原理を理解し、厄介なノイズの正体を理解することができると思います。

1. 電磁気学のプロローグ (スカラー場、ベクトル場、div, rot)
2. 静電場 (クーロンの法則、電場、導体、コンデンサ、誘電体)
3. 定常電流と磁場 (磁場、ビオ・サバール、アンペール/ローレンツ力)
4. 時間変化する電磁場 (アンペール-マクスウェルの法則)
5. マクスウェルの方程式と電磁波 (電磁波、波動方程式)

CMOSアナログ回路

MOSFETは大学を卒業し、半導体メーカーに勤めてから学びました。
集積回路では主にMOSFETが使われるため、MOSFETの動作原理と回路を学ぶ必要があります。

下記参考書は部署内の勉強会にて用いられていたものです。

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LSI設計のためのCMOSアナログ回路入門(谷口 著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4789830373/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_IgebGbM4J5CDH

本書はラザヴィ(Razavi)氏の「アナログCMOS集積回路の設計」を要約したものとなります。
https://www.amazon.co.jp/dp/462107220X/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_OtebGbP3PXZ65?_encoding=UTF8&psc=1

勉強の仕方としては、谷口本で概要を勉強し、分からない点やもっと知りたい点をラザヴィ本で補完するのが良いと思います。

本書は、MOSFETを用いたアナログ回路を非常に簡単に説明しているため、MOSFETを初めて学ぶ方におすすめです。

1. アナログ集積回路の予備知識 (半導体とは)
2. MOSFETの基本原理 (MOS素子の電気的特性)
3. MOS増幅回路の基礎 (ソース/ゲート/ドレイン接地)
4. 増幅回路の周波数特性
5. アナログ回路のノイズ
6. 差動増幅回路
7. バイアス回路と参照電源回路
8. コンパレータ回路
9. 素子マッチングとレイアウト
10. フィードバック回路
11. OPアンプ―基礎編―
12. OPアンプ―応用編―
13. フィルタの伝達関数
14. 連続時間フィルタ回路
15. スイッチト・キャパシタ
16. Δ-Σ変調器
17. A-Dコンバータ
18. D-Aコンバータ


スイッチング電源

スイッチング電源、DCDCコンバータはあらゆるデバイスに使われている所望の電圧を生み出す電源です。
リニアレギュレータに比べ複雑な仕組みですが、電力効率が良いなどの理由で広く使われています。

前職の半導体メーカではDCDCのICの開発に関わっていましたが、現職ではDCDCを使用する側として携わっています。

DCDCは高機能ゆえに奥が深く、正しく使用しないと異常動作してしまうことを学んできました。

まだまだ知らないことばかりですが、勉強したことをアウトプットする目的で、本ブログで紹介していきたいと思います。

教材は、ロームが無料で公開している下記の資料です。
ひとめ見ればわかると思いますが、非常に分かりやすく、おすすめです。

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ローム Tech Web
https://techweb.rohm.co.jp/knowledge/category/dcdc

<基礎編>
・リニアレギュレータの基礎
・スイッチングレギュレータの基礎
<設計編>
・部品設計
・基板レイアウト
<評価編>
・ICの規格 (入出力電圧範囲、出力電流、周波数など)
・電源特性 (ロード/ラインレギュレーション、効率、リップルなど)

高周波回路

高周波回路を扱うなら、避けて通れないのがSパラメータだと思います。
高周波計測には、必ずSパラメータが用いられます。

大学時代、Sパラメータがどういうもので、どのように導出され、どのように高周波設計に活用されるのかを勉強するため、図書館で手にとった本が以下の本です。

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高周波回路設計のためのSパラメータ詳解
https://www.amazon.co.jp/dp/478983025X/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_ZlVbGb7Y4XWJY

この本は、高周波回路で用いる Sパラメータに焦点を当てて、明快に解説しているので、高周波を勉強するときの最初の一冊としておすすめです。

1. 2ポート回路の表現
2. 高周波になるとSパラメータが使われる
3. 1ポート回路のSパラメータ
4. 2ポート以上のSパラメータ
5. 測定器の表示とSパラメータの関係
6. SパラメータとABCDパラメータとの関係
7. Tパラメータ(transfer parameter)
8. スミス・チャート(Smith chart)
9. シグナル・フロー・グラフ(signal flow graph)
10. 1ポート回路の特性を調べよう
11. 2ポート回路の特性を調べよう
12. 2ポート回路の安定性
13. アンプの利得を調べよう
14. Sパラメータの測定
15. 差動回路(differential circuits)


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