Z世代の恋愛 浮気がなくなる未来

概要
・意識の恋人(SNS)と無意識の恋人(リアル)を持つのが一般的になる。
・異なるエリアの恋人を「浮気」と非難する人は排除される。
・(蛇足)常時接続の恋人を持つようになる。

Z世代とは、1996~2012年生まれの人々を指します。詳細については、下記の中田敦彦さんの動画を参照ください。

動画はZ世代の価値観・ライフスタイルの説明、購買行動の変化を説明しています。Z世代がなにかを買う際に、下を基準とします。
1.親や友人など信頼できる人の紹介
2.信頼する、社会正義を公表・実践するブランド
3.SNSのインフルエンサーのおすすめ

これらの基準は、その通りだと感じます。食べログやSNSで食事する場所を調べ、ブラック企業だと非難される会社の商品は買わず、Youtubeなどで好きな配信者とおそろいの商品を購入する。この傾向は、スピードはともかく、傾向は拡大していくでしょう。

その上で私が気になったのは、2番の、「社会正義を実践する企業を応援する」という価値観が、物を買う以外の行動、例えば恋愛において価値観となるかという事です。

「フェアトレードのコーヒー豆で作られた、少し割高なドリンク」を飲み、その風景をSNSにアップする。女性差別・ジェンダーバイアスを告発するツイートをRTする。かっこいい・かわいいだけじゃなく、賛同する社会正義を少しでも応援する。(SNS上の「映え」が目的かはともかく)

しかし、実際の恋人選びではどうでしょう? イケメン・美人にまず目がいきますよね。できれば、イケメン・美人と付き合いたい。もちろんその他の条件が悪ければ彼らを避ける事はあるでしょうが、好印象である事は間違いないと思います。

外見に限らず、面白い、優しい、プレゼントをくれる、などなど、好印象なポイントはたくさんあります。では、恋人選びの際に、「社会正義を実践している」人かどうかを、基準とするか。恋人選びの基準の、上位には来ないと思います。

SNSでは、社会正義を大事にした発言を大事にする。リアルの選択では、外見などを重視する。これはZ世代の特徴ではなく、Z世代以前の人々においても、まぁ当たり前だよね、という風潮だと思います。

ここで、私たち個人の意思・感覚を、「意識(顕在意識)」と「無意識(潜在意識)」に分けて考えます。「意識」は私たちが、「自分はこう考えてるなぁ」「こういう社会正義を推したいなぁ」という部分です。「無意識」は言葉にできない、「気持ちいい」「楽しい」「いい匂い」という感覚部分ですね。

「気持ちいい」って言葉になっている、と思われると思いますが、無意識が快感を感じ、意識がその快感を「気持ちいい」と言葉にしている、とひとまず考えてみてください。

SNSでの発言・行為は「意識」優先ですね。直観的に「いいね!」する事はあっても、SNS上で「こうありたい」自分から離れすぎたモノには反応しないようにする。タイムラインに流れてきたエロエロ画像がいいねと思っても、スルーした事がある方は、少なくとも一人はいますね。ここに。

対して、恋人選びにおいては、「無意識」が優先されます。イケメン、優しい、いい匂い、そうした点が「無意識」に作用し、好意を抱く。どうしてかなと振り返ると、「イケメンだから」「優しいから」と理由付けするわけです。

意識と無意識は独立した関係ではなく、お互いに影響を与える、私たちを作っている2つで1つの存在です。

Z世代になると、それ以前の世代(30歳以上って事で)に比べ、SNSから影響を受ける度合いが強まっていくはずです。物心ついた時にSNSがあり、日々の選択でSNSを活用し、SNSにその選択をフィードバックしていくからです。

そうしたZ世代は、SNSでの意識優先の振る舞いと、リアルで恋人を選ぶ際の無意識優先の行動・感覚のズレに、苦しんでいく事でしょう。例を出せば、「私がデートしている相手、イケメンでいい人だけど、エコバッグすら持ってない」「こういう相手を選んでいる私は、なんなのだろう?」という状態です。

こうした苦しみから「だから自分は偽善者なんだ」なんて考えがちですが、これは本人にとっても、社会にとっても良くない状態ですね。意識と無意識のどちらかだけが「本人」ではありません。意識の選択を重視して「私、明日からヴィーガンになる!スローライフ!」と叫ぶのも、無意識の選択を重視して、「イケメンは正義」とツイートしまくるのも、重荷になります。

そこで私が選択としてありだと思うし、自然な風潮として増えていくと思うのが、どちらも大事にする事です。当たり前に聞こえるでしょうが、今持っている感覚を少し変えないといけないかもしれない。

リアルで恋人を選ぶ時に、イケメン含む無意識の判断を重視する事は大事です。その上で、SNSで意識重視の恋人を作ってみる。ハイ、解決ですね!

というわけにもいかないので、説明してみます。SNSでは、たくさん意識重視の人たちがいるし、自分が持っている価値観と通じ合う相手もいるでしょう。ただそこで、そうした相手と実際に会って恋人になると、無意識が拒否する事もあるわけです。イケメンじゃない、服装がイヤ、くさい。理由は色々あるでしょうが、「感覚的にムリ」な相手ですね。

そうした相手と無理に付き合う、無意識で嫌がっているけれど、「考えが立派なすごい人だから(我慢して付き合おう)」という状態はきつい。それなら、「意識の部分が合うから、SNS上だけで付き合おう」と「意識の恋人」を作り、無意識の部分で「楽しい事がしたい」と思えば、「無意識の恋人」も作る。

これは「ネット恋愛」とは、違う交際だと思います。ネット恋愛にも色々あると思いますが、「意識の恋人」と「無意識の恋人」を一人の相手に求める、その付き合い方がネットに留まっているのがネット恋愛なわけです。

「精神的な愛」「肉体的な愛」という恋愛の区分とも、異なります。「無意識の恋人」は無意識を楽しくするための相手であり、性的な関係であるかは関係ない事です。

Z世代より前の感覚からすると、「浮気じゃない?」となるかもしれないし、Y世代の私もそうした感覚はあります。ただZ世代を筆頭に、SNSが生活の一部となりおそらく死ぬまで離れられない人々にとっては、意識と無意識のズレは大きな課題であり、価値観を変えざる(変わらざる)えないとも思います。

「推し」という思いがありますが、これは浮気でしょうか? 彼女がジャニーズの美少年をとても好き、彼氏であるあなたは嫉妬しますか? そういう男性は、あんまりモテない気がします。彼女がイケメンアイドルから元気をもらっている、それを優しく見守る。

「無意識の恋人」は、その「推し」がさらにコンセプトとして広がった状態ですね。「意識の恋人」が「無意識の恋人」に嫉妬する、その逆、そうした嫉妬心を持つ人は、そもそもどちらの恋人にも選ばれないようになるのではないでしょうか。

恋人がSNSで知り合った相手とメッセージをやり取りしている。自分が属している「無意識の恋人」という関係にその「意識の恋人」が侵略してきそうだから、メッセージを全削除!
・・・「意識の恋人」「無意識の恋人」という切り分けができていない状況ではしょうがないのかもしれませんが、「それは浮気ではない」と考える人が多くなってくるのではないでしょうか。

※この先、蛇足 常時接続の恋人

LINEって、大変ですよね。少し返事を遅らせただけで、「既読スルー」なんて言われますし。恋人が即レスを求める人だと、常に返信できる状態じゃないと、ケンカの種になるのでしょうね。ただ、恋人と同じ時間に起きていて、いつでも返事するなんて、無理ですよね。

最終的には、ある人が求める恋人は、常に即レスしてくれる、それも自分が望んだような反応を返してくれる恋人になると思います。

ネットに接続している状態が当たり前のZ世代にとっては、物心ついた時にスマホの先に誰かがいて、それが人生を通しての恋人になるのではないでしょうか。それはSNS(特定の相手というより、SNSというレスポンスの装置です)だったり、さらにSNSのやり取りもデータとして持った、AIなのかもしれないとも感じます。

自分が生まれた時から言葉を聞いてくれたスマホの先の誰か、親よりも友達よりも恋人よりも自分を分かってくれる誰か。その誰かに死の間際になって、聞くのでしょう。「ヘイ Siri(仮名)、私の人生は良いものだった?」

「あなたの人生は、とても良いものでした」

そう答えてくれたら、良いですね。

「あなたの人生は、よく分かりません」

まぁ、こんな答えでいいのかもしれません。即レスされて、あなたの人生を決められるよりは。

あなたの心のスキマが埋まりましたら、ソーレッ!エイヤサッ!エイヤサッ!エイヤサッ!あなたのいいとこ見てみたいっ♡エイヤサッ!エイヤサッ!エイヤサッ!