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地元が嫌で上京した僕が、地元、福島県で起業した理由。

リモートワークが可能で柔軟な働き方ができる仕事を紹介する求人サイト「Reworker(リワーカー)」。求人情報だけでは伝えきれない、Reworker掲載中の企業の魅力について、Reworker運営スタッフが掘り下げてご紹介していきます。

今回は福島のマーケティング×デザイン会社、株式会社ハタフル
代表取締役の臼井翼さんは20歳で上京し、大手や中小企業のWebコンサルを経てWebマーケティングメディア「ferret」の立ち上げに参画。業界最大規模への成長に貢献された後に地元で起業されました。

また約15人いる社員の中にもU・Iターン組が多く、「地方でもチャレンジする機会がある」という想いが強いようです。臼井さんに詳しくお話を伺いました。

福島が好きではなかったけれど…福島に特化したWebマガジンをスタート

ーー臼井さんは起業前、東京で会社員として働いていたそうですね。そこからなぜ、地元、福島県でWebマガジンを立ち上げようと思ったのでしょうか?

東日本大震災が起きた後、僕が福島出身なので、まわりの人から「福島、大丈夫?」とか「福島ヤバいらしいね」などと言われることが多かったんです。

最初は普通に会話していたのですが、それが度重なるうちに「うるさいな」と思っている自分がいて。また、僕が福島出身と知らない人から福島をネガティブに言われると、いら立つような気持ちが生まれてきたんです。

もともと福島のことが好きじゃなくて上京したので、自分の中にも郷土愛があったんだとビックリしましたね(笑)。

当時Web媒体を作る仕事をしていたこともあって、福島の良い面を紹介していきたいという想いから、福島に特化したWebマガジンを作ろうと思いついたんです。それで立ち上げたのが、「福島TRIP」です。

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ただ当時、僕は東京で暮らしていたので、平日は会社員として働き、週末になると福島に行って取材するという日々。同じ福島出身で東京にいた2人の仲間と一緒に、そんな状態で1年半くらい「福島TRIP」の運営を続けていました。

取材で訪れた先々でいろんな人との出会いがあって、自分の中でも福島TRIPを作っていくことに面白味を感じていたんですが、東京で暮らしながら取材のときだけ福島に行くという方法にはどうしても限界があって。

現地にいた方がもっと面白い情報を得られるし、もっと福島の魅力を掘り下げて紹介できると思うようにり、「それなら地元に帰るしかない」と福島に戻ることを決意しました。

東京との情報格差に愕然。それが原動力となって起業へ

ーー福島に戻ってきてから、ハタフルを起業するまでにはどんな経緯があるんでしょうか?

実は、もともと自分の会社を作るつもりなんて全くなかったんです。なので東京から福島に戻って1年は、福島TRIPの運営をしながら、フリーランスのWebコンサルとして活動していました。

ただ、その中で、東京と福島ではWebに対する情報や知識に大きな差があることに気づいたんです。

例えば、東京では業界の最新動向に敏感な方がとても多いのに、福島ではWebサイトを10年くらい変えていない企業が珍しくなかったり。自分にとって当たり前だと思っていたことができていない企業が多く、しかもそれを支援する企業も少ない状況でした。

起業を考えるようになったのは、ある地元企業のサイトリニューアルを支援した時。それまで10年ほどサイトを変えておらずWeb自体に関心も薄い企業さんだったのですが、新しくなったサイトをとても喜んでくれて、しかもリニューアルの効果が出てくると「次はこんなことをやりたい」と前のめりな相談をくださるようになったんです。

こんな風に喜んでくれる人を増やしていきたいなと、純粋に思いましたね。これは福島のWeb業界を牽引していくことにも繋がりますし、自分の強みを活かせるのではと思い、ハタフルを立ち上げることにしました。

リモートだからこそ、“顔が見えるコミュニケーション”を

ーーハタフル社では現在、東京からリモートワークで働いている社員さんがいるそうですね。リモートワークを導入したのは、なぜでしょうか?

2019年に採用した社員の一人が東京からリモートワークをしていて、福島県外から働いている業務委託の方もたくさんいます。

福島という地域だけにこだわると、どうしてもリソースが限られてしまいます。東京で働いていたときからリモートワークの経験があったため、リモートワークを選択肢に含めることは自然な流れでしたね。リモートワークの導入で、県外で働く人たちの力を借りられたらいいなと思っています。

ーーリモートワークをするにあたって、特にコミュニケーションには気を付けていらっしゃるそうですね。

そうですね。リモートしているメンバーと、出勤しているメンバーで視点がズレないようにすることは心がけています。リモートの社員が入社する時に、コミュニケーションには気を付けていこうと社内で話をしましたね。

いくつか取り組みをしているのですが例えば、週1で30分間社員が集まって自由に雑談する時間を設けていたり。それから、月に1度はリモートの社員も福島のオフィスに来て、一緒に働いています。

他には、チャットに「雑談部屋」を作ったり、スタンプを使った会話を積極的にするなどがありますね。

リモートワークって意識的に余白を作らないと、業務に関わる必要最低限のやりとりだけになってしまいかねないと思うんです。ただ、それだとお互いに面白くないはず。なので、そこは結構大切にしています。

地方にもチャレンジの機会がある、地方だからできることがある

ーーハタフル社の社員には、福島出身のU・Iターン組が多いそうですね。社員の方々に共通するのはどんなところでしょうか?

福島に戻ってきた理由はそれぞれですが、「せっかく福島に戻ってきた自分たちだからできることがある」という想いが強いように感じます。

東京などの都市圏で働いてから福島に戻ると、仕事の数が少なく選択肢が減り、それまで積み重ねてきた経験やスキルが一度リセットされるように思えます。

だからこそ「福島に戻ってもこれまでの経験を活かしつつ、さらに新たなチャレンジをしたい」という貪欲な姿勢が生まれてくるのかもしれません。

この春、高校を卒業したばかりの新入社員が入社するんです。その社員は高校生のときからアフィリエイトなどをやっていて、でも福島ではそんな経験を活かせる企業がないと半ば諦めていたところ、当社を見つけたそうです。

地方だってチャレンジする機会はたくさんある。地方だからスキルが低いとか、「地方だから●●」といったネガティブなことは決してないはずだし、そんな固定概念を自分たちで変えていきたいんですよね。

ーー社内のコミュニケーションに気を配ったり、社員それぞれがやりたいことにチャレンジできる環境があったり、社員一人ひとりのことをとても大切に考えていることが伝わります。「社員のみんなが働きやすいように」と思うのは、どんなお考えからなのでしょうか?

会社員として働いていた時代から、自分がやっている仕事に対して「自分がやる必要があるのか?」と思うことが多々あったんです。だからハタフルでは、社員それぞれが「自分にしかできないこと」をやれるといいなと思っています。

僕はハタフルを50年、100年続く会社にすることで、今僕らがやっていることが「文化」として地元に残っていくといいな、と思っているんです。そんな未来のことを考えていると、会社は僕のものではないし、みんなのものだと思うわけです。

だから、みんなが働きやすい環境をみんなで作っていきたいと思いますし、それで地元に雇用が生まれれば、嬉しいですよね。

ーー臼井さん、ありがとうございました。

「場所が違ってもできないことはない」とい考える社員が多いというハタフル社。リモートワークという新しい働き方が広がっている今、地方の可能性もきっとたくさんあると気づかせてくれました。

また、2020年4月1日に地元の広告代理店と統合し、「福島のマーケティング×デザイン会社」として生まれ変わったばかり。新生ハタフルではWebだけでなくマス広告やグラフィック制作なども手がけ、地方企業の総合的なプロモーション戦略にも応えていくそう。今後、ますます注目の企業です。


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