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そもそも、里山って何?私たちreweaveが見据える未来

reweaveは、英語で「つむぎ直す」。
秋田のちいさな集落に入りこんで一体なにをつむぎ直そうとしているのか?今日は、そんな話をさせてください。

私たちが目指しているものを一言で表すなら、「現代版の里山」です。
これだけ聞いても、なんのことやら(笑)
さて、まずは里山から。

むかし日本には里山と呼ばれる地域がありました。
里山とは「人の手が入ることによって生態系のつりあいが保たれる地域」のことです。つまり、人間と自然が、上手に共存している。
たとえば、田んぼには両生類や昆虫が住めるし、ため池には渡り鳥が来るし、手入れのされている森林には色んな植物が混在している。
いい意味でカオスな地域です。

でもいま里山は、ことばを選ばずに言うなら、「時代遅れ」になってしまいました。自然と共存するのは、たいへんなことでした。しかも里山の外には刺激的な世界がたくさん広がっている。
"豊かな暮らし"は、里山の外にあったのです。

そんなこんなの背景で、いま、大都市・東京のまわりにたくさんの人が集まっています。やはり楽しい場所です。刺激的な場所です。
そんな場所が、僕の地元でもあります。

地元は東京。でもなかなか思い入れが持てませんでした。
僕が住んでいた地域は、下町の面影こそあれど、知らない人が行ったり来たり。建物は、オフィスやレストランがひたすらに並んでいる。
自然と触れ合うことも少なくて、自然体験といえば自転車で20分くらいのところにある川を眺めるくらい。これが個人的には結構しんどくて。
だんだんと東京が窮屈な場所に思えてきたんです。

じゃあ。といって秋田に移住してみました。
はじめての釣り、はじめての山菜、はじめての農業、はじめての登山、、、
東京とはひと味ちがった楽しさがありました。
人生の幅がひろがっていく感覚がたまらなかった。
そのうちに東京も恋しくなってきたりして、うん、どっちも楽しいな。

でもそんな楽しさの中、どうしても目を背けることができない寂しさがありました。それは、山の中に棄てられている農地でした。
じつは、日本の農地の約4割は山の中にあると言われています。
そうした土地は、生物多様性・水の涵養・環境保全などのいろんな機能を果たしています。
そして何より、景色がとにかく最高なんです。癒されます。
ふとした瞬間に癒しを与え続けてくれる景色に僕は惚れ込んでいました。

そんな土地がどんどん棄てられ荒れてしまっている。
原因は「山の中では、生産性が低いから」でした。変わった地形だからこそ、農業がしづらかった。
その現状を目の前にして、僕は寂しさと同時に、危機感をおぼえるようになりました。
山の中に農地があるから、そこに暮らしが息づいて、自然と暮らしの距離が近づいていたのに。
もしこのまま、そんな農地が荒れ果てて山に還ってしまったら、どうなるんだろう。
このままでは、生き物の多様性も失われ、人間と自然が触れ合うことも
ほとんどなくなってしまうんじゃないか。

そんなことを考えていたとき、ある農地に出会います。

開棚田のコピー1


「こんな素敵な場所があったのか!」
僕はそんな衝撃とともに、ある衝動に駆られました。
「ここをどうにか復活させたい!!」
この場所が再び農地として使われる景色を見てみたい、という想いが頭から離れなくなったのです。

早速、行動開始!
色んな方にお世話になって、この土地を使わせてもらえることになりました。しかし、そこはやっぱり一度棄てられた土地。一筋縄ではいきませんでした。

水が来ないんです。
10年ほど前に、大雨で水路が崩れてしまったそうです。しかも大胆に。
これはほんとうに、致命的です。
僕は暮らしの中で蛇口をひねれば喉の渇きを潤せますが、
ここで育つ植物は、水が欲しくても我慢するしかないんです。

それでも、なんとかしたい。
すぐにとは言わなくても、時間をかければきっと水は来るはず。
そんな根拠のない自信だけを糧にして、できることを積み上げることに決めました。

話をすると、いろんな人が作業を手伝いに来てくれました。
はじめは、申し訳ない気持ちが強かったんですが、そんな気持ちはすぐ消し飛びました。
だって、みんなワクワクしてくれていたんです。
それに気づいてから、僕もどんどん夢を語れるようになってきた。

その後も、近くの集落の方とお話ししたり、友だちや地域のお兄さんが作業を手伝いに来てくれたり、大学の教授と周辺を歩き回って状況を観察したり、、、
あの場所が、これからどうなるのか、どうしていきたいのか。
真剣に、夢と現実を見ながら、語り合う時間がたくさんありました。
そうしているうちに、とても不思議で温かくワクワクするような感覚に気づいたんです。

「この場所で、地域の境界にかかわらず新たに関係性がつむがれている。」

農業、研究、茅刈り、映画、コーヒー、観察、開墾、遊び、、、
いろんな視点・興味・夢を持った人が、実際にこの地に訪れていろんな活動をしている。
一度棄てられたこの土地で「その人」「地域」「自然」「私たち」が出会い有機的に混ざり合い、これからの夢を描いている。

棄てられた農地に人々が各地から行き来して、色んな関係性がつむがれる。
みんなそれぞれが夢を描き、営みがつむがれ、山を豊かにしていく。
地域とも繋がり、その場所に語られず眠っていた知恵がつむがれる。

営みは世界中の人々に共有され、いいね!と思った人は、地域の境界にかかわらず参加できる。
僕みたいな東京出身の人でも、里山にルーツを持つことができる。
そうやって、現代だからこその温故知新な地域のあり方が、あり得るんじゃないか。

一度、ほつれてしまった里山の暮らしや関係性を
いま一度、つむぎ直したい。
そんな想いで私たちreweaveは動いています。

今日は、長々と読んでくれてありがとうございます。
これからは、じゃあ実際に何が起きていくの?というのをじっくりとお伝えしていくので、おもしろいな!と思ってくれた方はぜひこれからも覗きに来てください!!

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