憲法9条

ざっくり法律解説・第05回 現憲法改正の議論についてのポイントをざっくり解説

最近自民党と阿部さんが一生懸命になっている改憲のお話。
…一番大事な主権者たる国民に、ちゃんと説明責任果たしてるのかなー。国民の皆さんはわかっているのかなーと、いつもニュースを見て冷や汗かいております
そこで、不詳わたくしめが、ざっくりと現憲法改正のポイントについて説明してみたいと思います

まず一番問題になっているのが、平和を語る憲法9条です
法律の条文なので若干読みにくいと思いますが、ぜひ、日本が世界に誇る条文のひとつですので、多少意味不明って思っても、ぜひぜひ音読して下さい!

第9条
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

以前お話した通り、憲法というのは、あらゆる法律の一番上の法律になります
だから、憲法に違反した法律は、国会ですら作ることはできません。
いくら内閣が批准しても、憲法に違反した条約は外国と結ぶことはできません。
それくらいとても大きな威力があるのが憲法です。
憲法は、その国が目標として「こんな国を作りたいと思ってるよ」と掲げる理想のようなものです。あらゆる人権を保障し、平和を求めていきたい、と憲法前文、および各条文で規定しているのですね
そして、それを実現するために、憲法の下にあらゆる法律が作られているわけです
戦後の当時、世界中見渡しても、ここまで熱く平和について書かれた憲法を掲げた国はありませんでした
そして現在でも、それは同じです
それだけ、日本はもう、戦争はしないぞ、平和が一番だぞって、憲法を通じて世界に発信しているとも言えます
私は、そんな日本国憲法を素晴らしいものだと思っています

ち・な・み・に

「この憲法は戦後の日本に対してGHQが押し付けたものだ」という被害妄想にとらわれている考え方をマスコミやネットで見かけます
「じゃあちゃんと憲法がっつり勉強してみて下さい。本当にこの憲法がただの押し付けのショボいダルい使えない憲法か学んでから言って下さい」と、私は反論したいです
まず、現憲法は、GHQが草案を出したのは事実ですが、大日本帝国議会が審議し、修正を加えた上で可決成立しています。形はちゃんと、日本が作った憲法です。日本に合うように修正までしてます
更に、仮に「GHQが押し付けたもの」だったとしても、私は現憲法は素晴らしいものなので、押し付けられモノだとしても、いいものもらったと思います
話によると、最大の人権保障国家であるアメリカの実情は、まだまだ黒人差別が続き、GHQのマッカーサさんも思うところがかなりあった。敗戦国とはいえ、これから新しく歩み始める日本に、マッカーサさんの理想を一生懸命詰め込んだのが草案だったという風に聞いています
事実かどうかはわかりません
でも司法試験の勉強としてがっつり勉強した私は、いい憲法だ、世界に誇れる憲法だと思っています
だったら押し付けだろーがGHQ草案だろーが、いいんじゃない?と思います

むしろ私、義務教育で憲法入れてほしいと思ってるんですよ(笑)
国民全員に憲法とは何か、人権というものは何なのか、平和ってなんなのか、平等ってなんなのかっていうのを勉強してほしいって。
こんな他国から賞賛される憲法を持ってる日本は、凄いゾって知ってほしいと願ってやみません

おおっと。話が逸れた~~~。9条のポイントに戻りますね!

さて、憲法9条の内容をざっくり解説します。
※憲法学者の多数派の方の解釈。通説についてざっくりといきますよー
(1項、2項という風に法律ではよく使われますが、要するに9条の一行目の文が一項、二行目が二項という風に考えて下さい)

まず9条1項にて、「国際紛争を解決する手段として」侵略戦争はもうしません、と明記しています。ただしどっかの国が攻撃してきたときに自国を守るための自衛戦争は放棄していないというとらえ方

そして9条2項では、戦力も持たない、戦力も持たないから自衛戦争も放棄しているという風にとらえています

要するに長々と書いてますが、戦争はしませんよってことを熱く語った条文になっているのですね

そこで、問題になるのが自衛隊
憲法のどこにも書いてません。憲法成立時点では自衛隊はなかったので当たり前ではあるんですが
今回の東日本大震災の時に、例えば誰が責任をもって、どこへどれくらい自衛隊を派遣するのかという決定権限は誰が持っているのか、自衛隊が何か不祥事を起こした時は誰が責任を取るのか、そういうことが全く不明なのです。
憲法に書いてないから、憲法の下にあたる「法律」で自衛隊について書くことができません。
だから、法律上、自衛隊はちゅうぶらりんになっているのです
人によっては、自衛隊は「戦力」じゃないのか、という風に憲法違反と考える方もいます
なので、憲法学者の中でも、憲法9条については色々な議論がなされ、学者さんの間でも考え方がとても分かれているんですね

だから、おおまかにいうと

憲法擁護派=改憲なんてけしからん!
部分改憲賛成派=憲法擁護派だけど、自衛隊の責任者だけは明記した方がいいよねー
憲法改正派=古い憲法は全部現代風に改正した方がいい

という3者でモメてるってカンジです。
ちなみに自民党は憲法改正派
しかし、私は自民党が出してる憲法草案を見て頭が痛くなりましたよ
「お国のためなら表現の自由は制限してもいい」「政治に邪魔になるなら人権は制限していい」っていう表現がそこかしこにあるんですよ
オイオイオイオイ…ってなりました
それ、日本の「こういう国になりたいです」っていう最高法規に書いちゃうのかね、と。

そもそも国会議員にとっては憲法は邪魔な存在です
「こういう法律作りたいな」と思っても、憲法に違反していたら無効にさせられます
アメリカからの要請で自衛隊を海外に派遣したいのに「はい9条違反だからできませーん」となっちゃったりします
いっつも憲法が邪魔な存在になっていると思います。だから自分達が自由になるように改正したがるのは人間感情としては、まーそうなるわなってカンジです

ではなぜ国会議員にとって憲法は邪魔なのでしょう
それは、憲法が国民の人権を守るものだからです

国会議員さんからしたら、(自覚あるか無自覚かにせよ)多少人権無視してでも、こうしたい、ああしたいという政治活動ってあると思うんですよね
権力ある人、お金たくさん持ってる人が、果たして本当に一般平民の気持ちや生活を想像できるのかって話です。更に、病気の方、マイノリティの方の気持ちや人権などは更に想像力と勉強が必要になります。
でも憲法が「人権無視は絶対ダメ」とどかーんと自分の頭の上にあるもんですから、そりゃあ国会議員さんからしたら邪魔です。
やりたいコトがあっても憲法に違反しないように工夫しなきゃいけない。全ての国民の人権を守りながらできる道を探さなきゃいけない。一部の人であっても人権侵害があってはならない。
そうやって、私たちの人権は憲法によって守られているのです

しかし、そんな国会議員でも、憲法をうまく利用することもできます

外国A「日本もさーちょっとアフガニスタンへの空爆に参加してよーいい空母持ってるじゃん」
日本「いやー悪いね。ウチは憲法9条があるから海外へ派兵は一切できないんだよ
外国A「そうか。憲法でダメなら仕方ない。じゃあ後方支援か資金援助頼むよ」
日本「あー国会(内閣)で相談しとくわー」

というように、憲法9条を盾に、戦争に参加しないで済むようになるのですよ
日本人って、外国に対してNO!が平気で言える人種じゃないですよね
だからこそ「9条があるからできないんだーごめんヨ」って言ううまい言い訳になると思うのです
そういう風に9条を使ってほしいなぁ~と思うわけです

だから、9条がなくなっちゃったら上記のような外交交渉の時に、日本はどうやって外国Aさんの派兵要請を断るんでしょうかね、と思います
派兵なんかしちゃったら、敵国は「日本もこの戦争に参戦した」とみなし、日本も戦争に巻き込まれるのは火を見るより明らかです
万が一9条が消滅しちゃったら、そこで素直に「ウチは平和主義だからムリ」なんて、言えるのかなぁ?
(ちなみに外国でも自国の憲法違反行為はできないので、外国も憲法にこうあるから、と言われれば引き下がってくれます)

あと最後に。
これは個人的な感想なんですが、なんで阿部さんってそこまで憲法改正に熱心なのかちょっと理解しかねるんですよね
すっごい憲法学学んでた憲法学者さんですか?ってくらい
元々上記のような議論はずっと前からありました。
だから部分改憲でも、全部改憲でも、改憲した方がいいよね~とかいう話が出つつも、それ以外の仕事が多くて置き去りにされてた感があったのに、阿部さんはやたら改憲改憲という
…阿部さん、憲法に自分の名前残したいだけなんじゃないの?ってちょっと勘ぐってしまいます
憲法は成立した時の内閣の方のお名前が全員最後に載っています。
改憲した場合も、その改憲当時の内閣の方の名前が全員、憲法に記載されることになるでしょう

勿論改憲が達成されれば、阿部さんは総理大臣として憲法に名を残すことになるわけだ
はてさて。阿部さんの本心はいかに。なんでそんなに改憲に熱心なのかが全く説明がされていないので、わかりませんねぇ

さて、憲法改正議論において、私が国民の皆さんに伝えたいポイントや知識は以上のような感じになります
その上で、自民党草案を読んでみたり、改憲した方がいいのかどうかと考えてみたり、国民の皆さんにまず知ってもらうこと、考えてもらうことが大事なんじゃないの阿部さーーーん、と思うので、忙しい阿部さんに代わって書かせて頂きました

長文になってしまいましたが、読んで下さりありがとうございました

もし心に響いたならば……投げ銭のひとつやふたつやみっつやよっつ!!よろしくお願い致す!(笑)