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無口な人

*きのうは、大好きなハンバートハンバートのライブに行ってきた。毎年、いや半年に一回くらいのペースでチケットを予約してはふらふらと行くのだけれど、今回も、よかったーっ。その帰り道の中で書いているのもありますが、もう胸いっぱいです。「満足」ってたぶん、こーゆーことなんだと思う。溢れ出るほどはない、このちょうどよくいっぱいな感じ。

ハンバートハンバートのライブでは、曲の合間のMCが名物?なんですけど、この時間がたしかにいいんですよね。遊穂さんがえんえんとおしゃべりして、良成さんがそれに対して「うん」とか「そうだね」とか「なるほど」なんていうやさしい相槌をずーっと打ってるだけの感じ。お芝居を見ているような気もすれば、ふたりの日常を垣間見ているようでもあって、これはこれでひとつの音楽のような気さえする。あの相槌は、なんだか親が子供に向けてするような温度で、世界一やさしい相槌のようにも思えるのだ。あのおふたりのMCを見るたびに、ぼくは良成さんみたいになりたいなぁとつくづく思わされる。

そんなことを思っていたら、先日、細野晴臣さんのラジオで良成さんが出ていたそうだ。そこで、本当に饒舌に音楽についてやいろいろなことを語っていたらしい。ああ、それも聞きたいなぁと思った。普段あまり話さない人の話を聞きたいという意味でもそうだし、無口な人にだって、心や頭の中にはことばで溢れているはずなのだ。

そういうことをときどき忘れそうになるけれど、何についても語りたくない、なんて人はたぶんいないんじゃないかなぁ。どれだけ無口でも、お話しするのが苦手でも、「これについては語りたい!」って思うものが、人それぞれひとつはあるような気がする。ある人はそれが「音楽」かもしれないし「野球」かもしれないし、「政治」や「チャーハン」、「和菓子」や「笑い話」だったりするのかもしれない。

そしてそれはたいてい「好きなもの」なんだと思う。「嫌いなもの」について数十分も熱弁する人はいないだろうし、いたらいたで迷惑だしねー。好きなものがないっていう人だって、よくよく聞いてったら、人と話したいことがあるような気がするんだよなぁ。静かだけれど、どこかスイッチが入るように話してくれる大人も、数人知ってる。


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