胸に飛び込む礼儀。

*さいきんよく行く立ち飲み屋で、昨日は飲んでいた。隣になった松山ケンイチ似のDJさんと、だらだらと話をする。家族がこっちにいて、単身赴任で県外で仕事をし、週末は帰ってくる生活をしているそうだ。話を聞いていくと大のSF好きらしく、それまでだらだらと話していたのがうそみたいに、スイッチが入る。スイッチが入ってからのSF話も好きだったけど、それまでのだらだらした20代の頃の話も、ぼくにとってはたまらなかった。

けっきょく、2時間ほど話を聴いて「そろそろおいとましますね」とお会計をお願いした時、「こいつ、おもしろいやろー!」と店主が笑顔で言ってくれたので「いやぁ、めちゃくちゃおもしろかったです!!」と興奮を伝えると「あんたや!」とツッコまれた。「え、ぼくですか?」みたいな顔をしていると、「あんたみたいなのが、これからのウチに欲しかったんよー」と目を見て言ってくれた。目を見て言ったのは、照れを隠すためのサービス感だったように思う。そのひとことがうれしくて、昨日はお店を出てからも深酒してしまった。

包み隠さずいうと、ぼくは可愛がられるほうだ。その原因は分かっていて、ぼくが顔を出すところはぼくより歳が上の人たちがほとんどなので、若いから、だ。若いから可愛がってもらえる。どこかで不満に感じてたというか、年齢で可愛がってもらえるうちはまだまだだ!と自分で思ってたんだよなー。でも、それが昨日の店主のひとことのおかげで吹っ切れた。そうか、若いから可愛がってもらえることを卑屈にとらえずに、若いうちにたくさん、可愛がってもらえばいいんだ。胸を貸してくれるんだったら、その胸に飛び込むのも礼儀だなと、気づいた日なのであった。


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