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春になりたい

*いや、もうすっかり春じゃないですか。春ですよ、春。おーーーいっ!まだ冬眠してる動物たち、おきろーーーっ!春だ、春がきたぞーーーーっ!て起こしに行く役割の動物とかっているのかなぁ。あれ、そもそも動物の冬眠ってどんなシステムでむくっと起きるんですかね。温度が何度以上になったら目が覚める、なんて感度の良いシステムが遺伝子にはもう搭載されてるってのか?

冬はいずこに、すっかりまちは春の陽気で包まれた。コートなんか着ちゃ暑いし、太陽はほがらかだし、匂いまでもが春だ。目に見えるものもたった1日で変わらないはずなのに、カラフルなものが飛び込んできやすくなる気さえする。

「春」という言葉が持つ、やわらかさと力強さのバランスったらすごいものだと思うよ。「春」と聞いたら、陽気でやわらかな日差しが差し込み、ふわりと香りまで漂っている感じがしてこないかい。そしてそれとは対照的に、冬の寒さのなかで春がしっかり力強く芽吹いていくような、そんな強さもある。春を数えているうちに、僕らは冬の寒さをすこし忘れることができる。そんな、力強さが春にはある。

いいよなぁ、春って。おいらは今、理想の自分は?とか将来は何になりたい?とか聞かれちゃったら、うかつに「春になりたい」って答えるかもしんないよ。ついでに巻かれて春巻きになりたい。そんな気持ちにさえ、この春の陽気さはさせてくれるものだ。

そんなことを考えながら歩いていたら、冬のぬけがらみたいな冷たい風が、僕の隣をひゅうっと吹き抜けていった。ちょっとさみしかったのかなぁ、冬。

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