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時間は残酷だ

*「時間」というものの残酷さを、まざまざと見せつけられてしまった。ああ、自分がこれから何をしても、時間が平等で前に進む限り、この時間の差は埋まらないんだなぁと、当たり前のような現実を突きつけられてメンタルが四つん這いだ。そんなことを言っても仕方がないので、自分も自分で時間を積み上げていくしかないのだとわかってはいる。わかってはいるが、簡単に受け入れられるほど器用ではないのもわかっている。

子供の頃、ひとつ上の子と話していて、ふと気付いたことがあった。僕がこの子の背を抜かすことはあっても、この子より勉強ができるようになっても、足が速くなっても、この子の年齢を越えることはないのだと。僕がひとつ歳をとれば、この子も歳をとり、その差が縮まることは決してないのだと。その当たり前の事実に気付いた瞬間、なぜだか無性にさみしくなってしまった。時間は平等で、だからこそ残酷だ。

・そんなメンタルで挑んだ今日、驚くほど何もかもうまくいかなかった。仕事は行き詰まり、集中できず、何度も机に向かったがどうも身が入らないのでパソコンを閉じた。今日はダメだと思って逃げ込んだ映画館では、少し離れた席に座っているカップルがマナー最悪で、映画中に大声で喋るわ屁をこくわでぜんぜん集中できなかった。連絡を返す気分にもなれず、チャットにまーまーの連絡を無視したままでいる。

ああ…と四つん這いで歩きながら吸い込まれるように入った飲み屋で、隣になったおじさんが言った。「過去の辛いことを忘れるために酒を飲み、未来の憂いをごまかすために酒を飲み、今日あったイヤなことを忘れるために酒を飲むんだ!」と。なぜか2回言っていた。そのことばに、今日の僕はだいぶ救われた。今日を、今日忘れたい。なかったことになれ、今日という日よ。もしくは星になれ。今日も今日とて、今日を忘れるために酒を飲む。

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