からげんきの出ることば。

*ちょっと前に、自分でも久しぶりに怒って(いかって)しまうことがあった。ムカついて、イライラして、もう何を考えても矛先をどこに向けるかしか着地のないような考え。周りに八つ当たりしたくなったのだが、そんなことをしてもどうしようもない、と気付けた。八つ当たりしても、事態は悪化さえすれど、好転はしない。ぐっとコラえて、噛み締めて、また目の前のことを結局コツコツとやっていくしかない。なんなら僕は、その方法しか知らない。

自分で自分を褒めてしまうが、そのとき、そう気付けたのがよかった。あのまま酒に呑まれて愚痴をこぼしてもよかったのかもしれないが、どうにか堪えて、噛み殺した。今年に入っていちばん、自分を褒めてやりたいことだよ。そのとき、お守りのように持っていたことばが2つある。ひとつは、ぼくの大好きな先輩の「口は綺麗な言葉を吐くためじゃなく、醜い言葉をぐっと噛み殺すためにある」ということばがひとつ。

・社会とかルールとか、反撃のしようもない大きなものにコテンパンにされたり、ひいきにしていた店がなくなったり、大事に育てていた花が枯れてしまったり、好きな人に裏切られたり。そういう、心から「ぽきん」と音がしてしまいそうなとき、自分の手でぽきんと折ってしまいそうになるとき、僕は好きな作家のことばを思い出す。「心は折れない。なぜなら棒状じゃないからだ」。これが、もうひとつだ。

いいよねえ、クスッと笑えて、空元気が出るよ。どうしようもないときに、元気を出せ!と言われても、どうしようもない。けれど、空元気(からげんき)なら、出せるかもしれない。だって、空(から)なんだからね。中身がなくていいんだ、ガワだけでもなんとか元気を出す。元気のふしぎなところは、元気そうにしていたら、次第に元気になっていくところだ。


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