言い訳じみた言い伝え

*「トイレのフタを閉めないと、金運が下がる」だとか「野菜を残すともったいないお化けが出る」だとか、世の中にはいろーんな言い伝えがありますよね。もちろん、そんな言い伝えのほとんどはまがいものなんだけれど、子供の頃から言われることでクセづいちゃってたり、今でもやってることって、ひとつやふたつはありそうです。なんだったかなぁ、僕も「トイレ終わったらフタ閉めないと、〇〇だよ！」みたいなことを言われて、それから気付いたら閉めるようになったんだっけ。

「狐につままれる」だとか「鬼が出る」とか、こーゆー言い伝えは大人ならまがいものだとわかる。信じてないけれど、なんとなく出ないほうがいいから、そうしてるみたいなこともたくさんあるだろう。でも、じゃあこれが理路整然と説明されたからといって、やるかどうかと言えばまた別の問題だなと思うのです。「トイレのフタを閉めないと、菌が繁殖してウイルス被害が多発します」と理論立てて言われても、する人はするし、しない人はしないでしょう。とくに子どもなんかは、だからどうしたっていうんだい！って言ったり理解できなかったりするでしょうし。

そんな「まがいもの」の言い伝えをつくった人、おもしろいよなぁ。物語のチカラをよく分かっていて、遊びながら冗談で言ったことが回り回って...みたいになったんだろうか。これはあくまで好みの話だけれど、理路整然とメリットを語られるよりも、まがいものでもちょっと不思議めいた言い伝えのほうが、大人のぼくはなんとなく好きだ。ぼくが子供っぽいからなのかもしれないが。

友人が子どもに「どうして海の水はしょっぱいの？」と聞かれたとき、「海にはお魚がいるだろ。泳いでるよな。あいつらも頑張って泳いでるから、魚が汗かいてしょっぱくなるんだよ」と言っていたのを見たことがある。もちろん、イチから子供と一緒に勉強して教えて、というのも素晴らしいし好きなんだけれど、とっさにこういう「言い訳」めいた言い伝えを出せるのって、ぼくはすっごくクリエイティブだなぁと思ったわけですよ。嘘も方便、そういう言い伝えをたくさん持ってたり作れたりするほうが、正しい答えよりもおもしろい瞬間って、たくさんあるじゃない。

ただまあ、脅しは勘弁だけどね。「鬼が出る」とかさ。人が一番動くのは「恐怖」だったりするんだけれど、それは暴力と一緒だったりもするから。できることなら、脅し以外の方法で、人を動かせるような言い伝えをつくれたらおもしろいよねー。それって、ちょっとキャッチコピーや大喜利と似ている。さて、駅前の違法駐輪を減らすためには、どのよーな言い伝えがあったらいいと思う？