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便座の上にも三年

*例えば、人生でトイレにこもる時間は、平均して3年ほどあるのだという。この時間を有意義に使うことができれば、それなりにおもしろそうだ。タイパ・コスパみたいな考え方というよりは、「石の上にも三年」のつもりで何かができたら、石の上どころか「トイレの上」で、経験を積めるわけだからね。

僕の好きなお笑い芸人、千原ジュニアさんは家のあらゆるトイレに紙とペンを置き、用を足しながら思いついたことをひたすらにメモをとっているのだという。それが「べしゃり」のネタになったりならなかったりするそうなのだが、そもそもその時間がおもしろいわけだ。用を足しながら、その時間で勝手に脳がネタを探すようにセッティングしたわけですよね。

なんかそういう、自分にとっての「必ずある時間」に、何かしらの創作のスイッチを作ったり、勉強や経験のタネを撒いておくというやり方は、誰もが日常のなかでできる、ちいさな工夫と言えそうだ。受験生が電車の移動時間を使って、単語帳をぱらぱらとめくるのだってそうだし、お風呂に浸かりながら本を読むのだって、楽しみというひとつのスイッチを作ることでもある。もちろん、意識的にぼーっとするとか、「何もしない」という使い方をするのだって、非常に身のある時間になるだろう。

日々のすきますきまにある、無駄でこそないが、過ぎ去っていく時間の中に、なにかしらのタネを撒いてみる。創作に携わる人間なら、何かしらの創作のスイッチを作って、自分を「パブロフの犬」状態に持っていけるようにしておくと、なかなか進みやすいだろうなぁ。というわけで僕は、今日からトイレに本を置いてみることにします。そうしていくうちに、目や頭が勝手に「そういうもの」になっていくはずだ。

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