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人の悪口を言わない。(何回目)

*よく飲みにいく立ち飲み屋でで、たまたま知人が先に飲んでいた。彼はぼくが着くなり、開口一番に共通の知り合いの悪口を語り始めた。ぼくはそれに驚いてしまって、話を遮ることを忘れ、その悪口を聞かされてしまう。10分ぐらい聞き流していたところで、どうにも気分が悪くなり、なかば強引に話題を切り替えた。

その共通の知人のことは、別に好きでも嫌いでもない。悪口を言ってきた知人と同じく、ただの知人でしかない。ただその一件で、ぼくは悪口を語る知人のことを、もう一緒に飲みたくないな、と思ってしまった。それも、自宅に帰り、服を脱ぎ、シャワーを浴びているときに、その感情が遅れてやってきた。そのことがなんとも悔しかった。その瞬間にきちんと気付いて、対処していれば、こんな思いをすることもなかっただろう。

悪口を言ってしまうことはもちろんある。ぼくだって、仲のいい人に笑い話のようにコーティングして、話してしまうことはままある。けれど、言いたくて言う悪口は、やっぱりぼくはまちがっていると思う。精神的に、身体的に参っていて、その人から過剰なストレスを受けていて、仕方なく、うかつに、漏れ出てしまうように悪口を言ってしまうことはある。ぼくも、もちろんある。何度もある。けれど、自分が言いたくて前のめりに悪口を言ってしまうことは、やっぱりよくないことだ。事実、ぼくはその悪口を聞き流している10分程度、本当になにも楽しくなかったし、ムダな時間だった。

それに、もしそういう話をしたいのなら、周りに聞かれない場所でやるべきだ。「誰かの悪口」というのは基本的に、聞かれたらマズい話なのだ。それを、周りに人がいる立ち飲み屋でべらべら喋ってしまうのは、モラルを抜きにしてもリスクがある。カフェで社外秘を大声で話しているのと同じことだ。人と人が仲良くなるためには、聞かれたらマズい話をすることが一番だと思っている。が、悪口で仲良くなるような仲は、イヤだね。

ぼくは年に数回、この言葉を書くけれど、何度だって書きたい。ぼくの尊敬するアニキが言ってた、「口は綺麗な言葉を吐くためじゃなく、醜い言葉を噛み殺すためにある」。口が堅い、というのは、何も人の秘密をべらべら喋らないという意味だけでなく、うわさ話をしないとか悪口を言わない、って意味も多分に含まれているよね。それにやっぱり、楽しくないんだよなぁ、誰かの悪口って。ぼくはいつだって、楽しい話か、しょうもない話か、どこにも辿り着かない話か、聞かれたらマズい自分のやらしい部分について、誰かとこっそり話していたいと思う。


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