見出し画像

熱いと冷たい、両方欲しい。

*ぼくは「食」に関して、少し変わったこだわりを持っているらしい。わりと万人に通ずる感覚だと思っていたのだが、友人たちに話してみると「変わってるね」とその場にいる全員が口にした。その中のひとり、「目玉焼きに味噌をつける」という料理のさしすせそをバグらせたような友人にだけは言われたくなかった。なんやねん、目玉焼きに味噌て。ちょっと美味そうやないか。

ぼくの変わった食癖、それは「冷たいもの」と「温かいもの」の両方を、一食の中に必ず必要とすることだ。

例えば、うどん屋に行き、熱いうどんを頼むなら、一緒にかやくごはんのおにぎりを頼む。冷たいうどんを頼むなら、一緒にカツ丼などの丼物を頼む。カツ丼と熱いうどんの組み合わせは、ぼくのなかでは存在しない。「熱い」と「熱い」は、NGなのだ。

他にも、カレーを家で食べるときは必ず、「冷やご飯×熱々のルウ」もしくは「熱いご飯×少し冷えたルウ」であって、熱々のご飯に、熱々のルウをかけるような所業はしない。出来立ての主食がある場合は、副菜は必ず事前に作って冷やしておくか、レンジで食べれるくらいの「ぬるさ」まで温める。極度の猫舌なのもあり、熱いものが続くと、味が感じられなくなってしまうのだ。「冷」と「温」の両方があることが、ぼくの食のベストだ。

よくよく考えてみれば、僕は飲み会や会議といったひとつの「場」でも、似たような温度や味付けを好まないのかもしれない。意見や価値観が似通っていると、わりと不安になってしまうクセがある。そういうとき、仲のいい雰囲気のまま、わざと反対意見をひねくり出してみたりすることが、たびたびある。熱いだけでなく、冷たい一品が欲しいのだ。

思えば、仲のいい人たちって、似てるところや共通点もあるけれど、みんなそれぞれ性質がちがいまくるんだよなぁ。当たり前かもしれないけれど、似たものを好むことはあっても、その見方や捉え方がぜんぜん違う。そのうえで仲がいいから、すんなりと受け入れられたり、異物ではなく新しい価値観として受け取れるんだけどね。そう思うと、本当に大事なのは「仲の良さ」な気がしてきたなぁ。ま、でも、人類誰もと仲良くなれるなんてこたぁ、じぇったい、ないわけですものね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?