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リアクションとは「呼応」である。

*お手伝いしている会社の人材育成をなぜか担当している。我ながらなぜだろうと思う。企業勤めの経験はない。ずっとフリーランスなので、人材育成もクソもない場所で生きてきた。基本的に他人の成長になど興味がない。自分がいかにのし上がるかしか考えていない、自己中心的な人間だ。そんな人間が、お手伝いしている会社の人材育成を担当している。本当になぜなんだろう。

ちょうど先日、その第1回目の社内研修があった。その研修を受けながら、あることを思いついたのだ。研修が終わってから受講者へのアンケートとは別に、講師にもアンケートを取ろう。そこで「オーディエンスの聞く姿勢はどうでしたか?」という質問をつくり、10段階で評価してもらおうというものだ。大人数の場での自分の「聞く姿勢」、チームの聞く姿勢の評価をされることは、なかなかないんではないか、と思った。なかなかないんではないか、という一文に「な」は頻繁に登場する。

よく勘違いされるけれど、おもしろい話は口ではなく「耳」に集まるんだよなぁ。話している人が話しやすい・ノリやすい空気をつくっていくことは、聞き手の仕事です。自分がステージで演奏するミュージシャンだとして、お客さんがめちゃくちゃノってくれるのと、スマホいじりながら聞いてるのとじゃ、パフォーマンス絶対ちがってくるじゃないですか。いい授業をつくるのは、実は先生の仕事は少なくて、生徒の仕事の方が大きいんです。

そう思えば、リアクションってのは「反応」のことではなくて、どちらかといえば「呼応」に近いんだよなぁ。「リ・アクション」なので、受動的な動きではなく、あくまでも能動的なアクションなんです。反射的な「反応」ではなく、こちらから呼応するアクションである。このことを再認識するだけでも、自分の聞く姿勢はずいぶんと変わるはずだ。いちばん手っ取り早いのは、大勢の前で話す立場に自分がなることなんだけどね。頷いて聞いてくれる人の存在の大きさよ。

わからないなぁと思うところは、わかったふりをしろということではなく、正直にわからないなぁって顔をしていいんです。すると、そのリアクションを受け取った話し手が、もう少し深く話してくれますから。

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