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強さってなんだろうな

*昨日は鬱の友人の家に行った。部屋に入るとベッドから起き上がれなそうだったので、僕もベッドに寝転んで、話せるようになるのを待つ。デカいおっさんふたりにシングルベッドはそれはもう狭かった。

30分くらいしたところで、彼がぽつぽつと喋り出す。次第に言葉はせきがあふれたように止まらなくなり、それはそれは攻撃的な内容を、毒吐くように喋り続けた。もう慣れてるので、合いの手打ったり打たなかったりしながら聞く。1時間半くらい経ったときだろうか、手前にあった気持ちが全部出切ったのか、彼が言う。「ごめん、ほんとはこれ本音じゃない。本音だけど本音じゃない。傷付けたくない」と。

そりゃそーだよなぁ、と思った。あんなにやさしい人が、故意に人を傷つけたいわけないよなぁ、と。これは病気のせいで、この人のせいじゃないんだなと改めて身に沁みる。

「弱くてごめん」と、そこから何度も何度も謝るように泣いていた。僕は何も言えず、ただずっと背中をさすっていただけだった。ただ、そうやって弱さを人に見せれる彼を、弱いとは思えなかった。苦虫を噛み潰したような顔して茨の道進むだけが強さじゃないよな、そーゆー強さもあるよな、と。正直に言うとうらやましかった。それは彼の強さでもあるような気がした。

周りも成長しなければいけないし、ケアや接し方を学ばなければいけない。そうじゃないと共倒れになってしまう。自分で乗り越えなければいけない壁もあるし、サポートだってもちろん必要だ。一朝一夕に治るものじゃないし、一筋縄でいくものではない。きっとこれからもハイとローを繰り返し行き来しながら、付き合っていくんだろう。ただそんな中でも、根気強く支えてくれる誰かがいたら、大丈夫なんだと自分自身が信じたいんだなと彼の背中をさすりながら思っていた。自分もそうやって支えられてきたことを思い出していた。


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