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おだやかな人なんて

*仕事仲間たちと「おだやかな人」の話になった。そういう人はいいよね、というニュアンスがどこかに含まれていて、その日は僕なりに「言いたいことを言わない」というテーマで会議に臨んでいたはずなのに、どうしても我慢できなくて、最後の最後に漏らすようにつぶやいてしまった。今でも少し後悔している。ただ「おだやかな人」なんて、こちらが勝手に作り上げた幻想だと、どうしても言いたくなってしまった。

「おだやかな人」とは、平坦な道のりを、のほほんと何の気なしに歩いている人のことではない。そういうふうに見えるだけで、あなたの人生と同じように、みんな凸凹していたり、それぞれ山あり谷ありなわけですよ。けっして平坦な道を歩いているわけじゃないんだ。ただ、おだやかそうに見える歩き方だったり、自分で自分の機嫌をきちんととって、歩いている人なんだと。

僕がその当たり前のようなことに気付いたのは、たぶんこの文章を書き始めた頃だったと思う。どうして気付いたのかははっきりとは憶えていない。でも、きっと、そういう友人の弱音を、背景を知ったんだろうなぁ。いつも機嫌が良くて、ニコニコしている人の背景をきちんと知ることができたから、「みんないろいろあって、でも歩き方なんだ」と気付いたんだと思う。道のりなんて、正直大して変わらない。大切なのは歩き方だ。どんなふうに歩むかにその人が出る。

人生は死ぬまでの暇つぶしだし、どーせいつかはみんな死ぬ。太く生きるも長く生きるもそれぞれだし、それらは正直大して変わらないんだと思う。どの道を選んでも悩みは尽きないし、後悔もやりがいもそれぞれあるんだろう。だから大切なのは道じゃない。歩き方だ。どういうふうに歩むか?だ。きっとそんなもんだと思う。何をやるか、何を成し遂げたかなんて、本当はどうでもいいんだと思う。どう歩むか、どう歩みたくて、どう歩んでるんだ?を、きちんと自分に問いかけていたい。誰かの素敵な歩き方をまねしていたいし、そういうふうに僕は誰かと歩んでいたい。

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