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用意したものは残らない

*ある就労施設での講演が終わった。昨日も書いた通り、テーマは「日記を書こう」の一点張りでした。とくに伝えたいこともないし、伝えられることもなかったし、テーマもなんでもいいすよと言われていたので、このテーマがよかった。日記の効用については、自分にとって目隠しをしてでも喋れるテーマでもあったからだ。

約1時間と少しのあいだ、スライドも用意していたけれど、ざっくばらんにその場で話したいことを話していた気がする。それがもう楽しかった。人前で話していて楽しいと感じたのは初めてなんじゃないだろうか。聞き手や対談相手として人前で登壇することは多いけれど、それはその人との会話が楽しいであって、人前で話すことの楽しさとは少し違う。でも今日は、スライドの流れや考えていた道筋を平気で無視して、その場で話したいことを話したのがよかった。

もうひとつ自分を褒めてやれるとしたら、よく「うそ」をつかずに話せたことだと思う。あれだけの人数に見られ、耳を傾けられると、どうしても「いいことを言おう」としてしまうものだ。それが求められていると勘違いしてしまうものだ。その間違った欲望に打ち勝ち、なるべくほんとうのことだけを話せたと思う。「人脈って大事なんですか?」と聞かれたとき、ぐっと悩んで「大事ですよ、人脈って」と言えたの、すげーよかったぞ俺。

そういう意味では、今日の自分の内容は102点をつけれる気がする。用意したものだけで勝負せず、言いたいことをきちんと嘘をつかずに話せたという意味では100点を超えている。しかし、120点まで取れた内容ではなかった。このあたりは、もう少し深く場や中身を設計できたかなぁとか、言葉選びをミスったな、と思った点だ。でも、本当に言いたいことだけを言って、話せるのは気持ちがいい。実際に参加してくださった方のアンケートを読んでいても、スライドで書いた内容よりも、その場その場でジャズのように繰り出した話が印象に残ったみたいだし。昔、お世話になってた先輩が言ってた「用意したものは何も残らない」って言葉、思い出すなぁ。


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