しっかり「真似」をすること。

*きのうは、さいきん家の近くに出来た寄席に、落語を観に行った。あくまでニワカだけど(落語好きのニワカって、何百年も前からあるからみんなニワカだな!)、さいきんはよく落語を聴きに行くようになった。西宮にできた「えびす亭」という寄席だ。寄席というよりも、友人の家で落語を聴いているような空間で、これもなかなかよかった。いつも劇場で落語を聴いているのと比べて、落語家さんの演じようも変わってくるだろうしね。

前座さんから始まって、4人の落語が楽しめる。しかも1000円てなもんだから、お安いもんだ。昨日は月亭方正さんも出ていたし、皆さんおもしろかった。その中でも、前座で出てきた方正さんのお弟子さんが、よかったんだよなぁ。

ネタは「看板のピン」という、博打打ちの噺だ。師匠である方正さんの持ちネタで、ぼくは実際に聴いたこともあるんだけど、そっくりそのまま、方正さんの「看板のピン」だった。パクリといっても差し支えないほど、方正さんのまんまだった。もちろん、落語は師匠からネタを教わるから、パクりというよりも「真似」なんだけどね。

その「真似」がよかったなぁ、と思ったのだ。しっかり「真似」しようとして、「真似」している。これが「真似」だと分かるくらいに、「真似」をしているのだから。しっかりと師匠のネタを観て聴いて、模倣して模倣して、いずれ自分のオリジナルになっていく。その「過程」が観れたというのが、ほんっとうによかった。

落語でもスポーツでもなんでもそうだけど、完成しきった人はもちろん面白いし強いしすごいんだけど、「道中」というのも、おもしろいもんだ。かくいうぼくだって何かの道中だし、完成しきったように見えている人でも、きっと道中だ。みな、たどり着きたいどこかを時々で見据えながら、しっかりと道中を歩いている。

落語を観に行くってのはいいよー。近所に寄席ができると、銭湯でひとッ風呂浴びてくるか!みたいな感覚で、落語を聴きに行くことができる。きっと昔の人も、こんな感覚だったんだろうなぁ。


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