言葉に新鮮さを補う。

*ぼくは平成生まれだけど、昭和くらいの音楽が好きだ。こう言うと、「イマドキの若もんにしちゃ珍しく、古き良きを分かっているじゃねェか」とおじさんたちから可愛がられそうだけど、裏を返してみれば、流行についていくのを諦めたのだ。今流行っている音楽とか、モノとかはもう知らない。

あ、書きたいのはそこじゃぁないんだった。長渕剛とかさ、さだまさしとか、「古い」と言われる当時の曲たちを、現在の長渕剛やさだまさしが歌うとき。いや、長渕剛やさだまさしに限った話じゃないんだけどサ、ほっとんどが当時とは違った歌い方をするじゃない。タメをつくったり、テンポをずらしたり、抑揚を変えてみたり。なぜそうするかって、何千何万と歌ってきたその曲を、今でも真剣に新鮮に歌うための、歌い手側の努力なんだよね。

これは何も、歌手に限った話ではない。服屋の店員さんとか、ぼくみたいな職業だってそうだし、ラジオパーソナリティだって、それぞれで独特な表現や言い回しが存在する。それだけ、慣れきった言葉に心を込めるのは、むずかしいってことなんだ。でね、これをもっと万人に向けたところへ落とし込むと、「あいさつ」になるんだよね。

「おはよう」とか「さようなら」とか、「ありがとう」なんてのもそうだ使用回数の多い言葉ほど、派生された流行語や独自の言い回しが生まれやすくなる。あれも、できるだけ心を込めようとした結果なんだと思うと、ちょっと可愛く思えない?でねー、やっぱりよく使う言葉ほど、むずかしいもんなんだ。心を込めるってことはさー。


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