見出し画像

主人公になれる曲

*デザイナーの知人がくだらない(おもしろい)遊びを考えたのだという。それは「この曲を聴いたら、主人公になった気分になれる曲」を聞いて歩いてみる、というものだ。ほとほとくだらなくて(おもしろくて)、ぜひやりましょうと前のめりに打ち返した。

自分にとって、聴いたら主人公になれる曲ってありますよね。僕にとってそれは何の曲だろう?と、プレイリストを見返しながらいろいろ考えていたのですが、意外とあんまりないぞ、ということに気付いたんです。ないぞどころか、僕の好きな曲って、ほぼ反対なんですよね。「主人公になれる」のではなく「モブキャラになった気がする」というか「何人もの人が生きているうちのひとりなんだ」みたいに感じられる曲が、僕は好きなんだなぁと気付いた。

キリンジ「エイリアンズ」や、ザピーズ「グライダー」、グリムスパンキー、ドレスコーズ、plenty「東京」、、、無数にあるが、僕が好きでよく聴いている曲は、主人公というよりも、何人もの人が生きている世界で孤独になれるような曲ばかりだ。そんな曲を聴きながら、夜の賑やかな都会を歩くのが好きだ。

まあそれでも、なにかひとつくらいは...と思って見つけたのが、ワレリーゲルギエフというロシアの指揮者が振る「bolero」だった。クラシックに明るいわけではないが、この15分近い演奏が好きで、ここ一番の日は必ず行きの時間で聴く。楽器ごとにひとつずつ音が乗っかっていき、湖畔で流れているかのような静かな演奏はどんどん厚みを増し、まさにオーケストラへと変わっていく。最後の最後、一斉に音が鳴り止んで拍手が湧き起こるまでの一瞬の静寂に、これから自分の物語が始まる予感を感じるのだ。

この質問、おもしろいからあなたも教えてくださいね。あなたの主人公になれる曲はなんですか?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?