ささいのデータベース

*面接やインタビューでよく「人生に影響を与えたおおきな出来事ってなんですか?」と耳にする。質問されたし、若い頃はよく人にこんな質問をしていたものだ。それに、今となっては若い人たちが、この質問を人にしていたり、されたときの対策として人生を振り返ったりしている姿も、見てきている。振り返るきっかけになるのはいいことだよなぁと思いながらも、いやいや、人生そんなおおきなことばかりで形成されちゃいないぜ、とも思ったりもする。

しかし、こういう質問をする側の気持ちも分かるんだよなぁ。だって、人生を一から聴いていたら時間はいくらあっても足りないし、すべてを知るのはむりだもの。だから、「おおきな出来事」を聴いて、その人が振り返ったり思い返したりしているのか、していないとしても今この瞬間にどう捉えているのかってのは、ひとつその人を知るきっかけになりうる。手っ取り早い質問として、使う側の気持ちも分かったりはする。

でもやっぱり、人生ってそこまでおおきなことばかりで出来ちゃいないよなぁ。覚えてられないようなささいな出来事や、たまに思い出す程度のちいさい出来事が積もっては流れて、また起きてはを繰り返してゆく。「ささいの居場所」とでも言おうか。そういう「ささいが積もった場所」からも、じつはぼくらの人生っておおきな影響を受けているんじゃないのかなぁ。

どんなおおきな出来事も、日常の「ささい」には敵わない。のかもしれない。フィクションも創作も、ときには突きつけ難い事実でさえも、日常の「ささい」には敵わないのかもしれない。それくらい、「ささい」は広いし、つよい。意識して拾わずとも、無意識に拾っている場合もあるしね。ささいのデータベースは、けっこうに広いもんなんだ。


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