経営と現場の板挟みの処方箋-ミドルマネジメントにおけるバランスの取り方

ミドルマネジメントは、経営と現場の板挟みに日々、挑み続けています。言い換えると、経営と現場の二律背反のマネジメントが、期待されていると言えます。経営と現場の両方に対する期待を満たすことで、組織の成果、従業員満足を同時に追求出来ます。

この記事では、短期的な成果と長期的な成果のバランスを取りながら、効果的なマネジメントを行うための具体的な方法を説明します。特に、経営層と現場の間のギャップをどのように埋めるか、そしてチーム内の意思決定をいかに最適化するかに焦点をあてています。弊社が、サービスとして提供するワークショップの全てのコンテンツが「500円（ワンコイン）」で購入可能です。ワークショップは、3日間15万で提供するため、コンテンツは無料です。

なぜこの記事を書こうと思ったのか？

ミドルマネジメントは、公式的な発信（会社やチーム全体に向けた公式見解）と非公式のやり取り（公式見解の背景や個別の本音の交換）の両面を扱う役割と捉えています。経営層と現場の間で。この両面を巧みに扱うことで、マネジャーの価値は高まります。私はこれまでの職務上、長い時間をかけて、このスキルを身につけることが出来ました。新たにマネジメント職を担う人々や経営と現場の板挟みで、困難を感じている人々が存在することに気が付きました。そういった方々の役に立つヒントを提供するために、このブログ記事を執筆しようと思いました。

本記事のターゲット

・経営と現場の板挟みで悩んでいる
・組織の課題がずれており、ずれを解消したい
・短期と中長期のバランスを取るマネジメントを行いたい

板挟みのマネジメント≒二律背反のマネジメントの定義

「二律背反のマネジメント」とは、短期的な業績の向上と中長期的な組織成長の間で生じる相反する要求を効果的に調和させる管理手法です。たとえば、短期的な利益を最大化するためにコスト削減を行う一方で、長期的な競争力を保つために研究開発に投資する必要があります。このマネジメントスタイルでは、現場の即時的なニーズと将来に向けた戦略的な計画のバランスを巧みに取ります。また、組織メンバーの個人的な意志（Will）、能力（Can）、義務（Must）を考慮しつつ、彼ら／彼女らを励まし、適切に指導することで、組織全体の目標を達成することが求められます。これには、個々のメンバーの動機付けやスキル向上を支援し、それぞれが組織のビジョンに貢献できるようにすることが含まれます。

二律背反とは、相反する二つの要素や目標が同時に存在する状況のことを指します。

二律背反を使いわける効果

このアプローチを採用することで、ミドルマネジメントは経営層と従業員の間の板挟みを解消することができます。これは、異なる階層のコミュニケーションの流れをスムーズにし、マネジメントが意思決定のボトルネックになるリスクを減らします。具体的には、短期的な業務の優先順位と長期的な組織目標の間でのバランスを取りながら、経営層と従業員双方のニーズに応える戦略を立てることが含まれます。また、このような状況が原因で発生するストレスやメンタルヘルスの問題を軽減し、従業員の働きやすさと生産性の向上に寄与します。これにより、全体として組織の効率性が高まり、より効率的なマネジメントが可能になります。

組織やチームへのポジティブな影響

二律背反のマネジメントを適切に実施することで、チームメンバーは異なる視点を理解し、共通の目標に向かって協力することが可能になります。このプロセスを通じて、チームは多様な意見を尊重し、相互理解を深めることができます。その結果、チームの一体感が高まり、より大きな成果が達成出来ます。加えて、このアプローチにより、個々のメンバーが感じるネガティブな感情やストレスが軽減され、個人の満足度とモチベーションが向上します。これにより、チーム全体の生産性が向上し、より効果的な組織運営が実現されることが期待できます。

ミドルマネジメントが直面する課題

経営層と現場の期待のギャップは、ミドルマネジメントにとって大きな課題です。経営層は立場上、長期的なビジョンや戦略の実現に重点を置きがちですが、現場は、短期的な成果達成や日々の業務に集中しています。このような状況では、ミドルマネジメントが両者の間の橋渡し役として機能することが求められます。具体的には、経営層の長期的な目標と現場の即時的なニーズの間でバランスを取り、組織構造の最適化や役割分担の調整を通じて両者の理解と協力を促進することが求められます。このプロセスを通じて、組織全体の効率性と生産性が向上し、長期的な成長と短期的な目標達成の両方を実現することが可能になります。

課題の克服方法

これらの課題を克服するために、現場の課題を言語化し、経営層に響く形で伝えるためのワークショップを企画しました。この取り組みにより、経営層と現場の間のギャップを減らし、質の高いコミュニケーションになり会社全体の成果にも良い影響を与えます。

ワークショップの骨子

目的：現場が考える課題を言語化。各課題の関連性を整理して、現場の課題を経営が理解できる形で伝える。各立場が捉える課題を会社全体の一気通貫の課題として腹落ちしてもらうため

内容：現場の課題を言語化、複数の課題の因果関係を整理したループ図を作成。その後、組織が経営から成果されている成果を分解。前段で整理した課題と成果を元に解決策の方向性を検討。

経営層へのフィードバック：ワークショップで収集した情報を整理し、経営層に向けた報告書を作成。経営層との定期的なミーティングで、現場の声を代表してミドルマネジメントの解釈を交えて伝える。

成果：主に以下の３点
１）コミュニケーションの改善: 経営層と現場の間の相互理解が深まり、より効果的なコミュニケーションが実現。
２）問題解決の迅速化: 現場の課題が経営層に迅速に伝わり、より迅速な意思決定と問題解決が可能に。
３）モチベーションの向上: 現場のスタッフが組織の意思決定プロセスに積極的に関与することで、モチベーションとエンゲージメントが向上。

ワークショップの全体像は以下のような流れです。

後半にワークショップのコンテンツの一部を無料で公開しています。

効果的な戦略と意思決定プロセス

経営層と現場の間で矛盾する要求や目標を調整するために、私は両者に対して異なるアプローチを採用しています。経営層には、長期的な成長と革新に焦点を当てつつも、現場の実情を理解し、実現可能な目標設定をすることの重要性を強調します。一方、現場に対しては、日々の業務に追われる中でも、組織の長期的なビジョンを見据え、それに貢献する方法を探求するよう助言します。これにより、経営層は現場の現実をより理解し、現場は組織の将来の方向性により関与することが可能になります。最終的には、両者がそれぞれの視点を理解し、現実的で実行可能な解決策を共に見つけることができます。このプロセスを通じて、組織全体のコミュニケーションが改善され、より効率的で効果的な意思決定が実現されることが期待できます。

意思決定プロセスの改善とその効果

意思決定の手法は状況に応じて異なりますが、共通して重要なのは、成果を定量的に予測し、過去の結果も定量的に振り返ることです。このアプローチにより、チームメンバーは納得感を持ちながら目標に向かって取り組むことができ、ストレスの軽減や前向きな業務改善が実現されます。

二律背反のマネジメントを実践する具体的な事例

たとえば、「二律背反のマネジメント」を実践する具体的なケースとして、あるソフトウェア開発の例を挙げてみましょう。この企業では、短期的には開発コストを削減することが重要な課題でした。しかし、長期的な視点からは、製品の品質向上や研究開発への投資が必要でした。ここでの「二律背反」は、即時的なコスト削減と長期的な品質向上・イノベーションの追求という相反する目標です。

この企業のミドルマネジメントは、短期的な成果と長期的な目標の両方を達成するための戦略を立てました。彼らは、一部の非効率なプロセスを改善してコストを削減しつつ、同時に研究開発部門への予算を確保しました。このようなアプローチにより、短期的な財務目標を達成しながらも、長期的な競争力を維持するための投資を行うことができました。

述べられていることは、あたりまえのことのように見えますが、「言うは易く行うは難し」という典型的な事例です。

まとめ：二律背反のマネジメントの重要性と影響

二律背反のマネジメントは、現代のビジネス環境において、ますます重要になっています。組織の成長と従業員の満足度は、しばしば相反する目標と見なされがちですが、今回のブログで説明したマネジメントスタイルを行うことで、これらの目標を同時に達成することが可能です。ミドルマネジメントは、両者のバランスを維持するための鍵となる役割を担っています。

二律背反のマネジメントスキルを磨くことにより、ミドルマネジメントは以下のような複数の利点を組織にもたらします。

1. 組織の柔軟性と適応性の向上: 短期的な業務目標と長期的な戦略の間で効果的にナビゲートする能力を持つことにより、組織は市場や環境の変化に迅速に対応できるようになります。

2. 従業員のエンゲージメントと満足度の向上: 従業員が組織の長期的なビジョンに関与し、その一部であると感じることができれば、モチベーションと職場での満足度が高まります。

3. 組織全体のパフォーマンスの向上: 経営層と現場のギャップを埋めることで、よりスムーズなコミュニケーションと効率的な意思決定が可能になり、組織全体の生産性が向上します。

4. イノベーションの促進: 二律背反のマネジメントを通じて、新しいアイデアや創造的な解決策が生まれやすくなります。これは、短期的な業務の圧力と長期的な目標のバランスを取りながら、新しい機会を探求することができる土壌を作っているからです。

二律背反のマネジメントは、組織と個人の両方にとって、持続可能な成長と充実をもたらすための重要な手段と革新しています。常にこのマネジメントを実践することで、ミドルマネジメントは組織内でのリーダーシップを発揮し、変化を促進する重要な役割を果たすことができるのです。

ワークショップのコンテンツ

ワークショップのコンテンツを一部、公開します。具体的に実施してみたい方は、有料記事部分に全コンテンツを公開しています。

【一部公開バージョン】二律背反のマネジメント - ミドルマネジメントにおけるバランスの取り方