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「ロボット」について

老人と介護ロボットの悲惨な映画「素敵な相棒 フランクじいさんとロボットヘルパー」を観たので、ロボットにはロボットということで、チャペックの戯曲「ロボット」を読みました。ガリレオ(福山雅治主演のシリーズ)を観て、ふとガリレオ(ブレヒトの戯曲)を想い出すように。この映画は前年に「最強のふたり」が公開され、その流れで「ちょっぴり切なくて、愉快な友情物語」風に宣伝されたように記憶しています。残念ながら後輩「ミーガン」のレベルにはいたっていません。


チャペック作品、改めて検索したら、出版社はもう活動していないようです。
表紙はヨゼフ・チャペックの描くロボット。むしろミスター・スポックみたいです。
悲劇です。
「素敵な相棒」と同様。
この本には、付録としてチャペックの各作品にまつわるエッセイが掲載されています。親切でよくできています。チャペックは、自身自作を「ゴレムに現代の衣を着せた」「工場で大量生産されたゴレム」がロボットだと、書いています。

「ロボット」と同じ1920年公開の映画

人の形のモノに命を与える物語。ゴレムの伝統。ピグマリオンとかもそうかしら。影が勝手に行動する物語も、形代も。ピグマリオンからは「マイフェアレディ」が派生し、形代は「陰陽師」ですか。「ゴーレム」は「大魔神」に。
それにしても、チャペックの戯曲のラストって、「ブレードランナー」じゃないですか。チャペックすごい!!
そう、そんなに新しいものが次々できるわけじゃありません。2、3種類もの物語が繰り返されるだけなんです。それをいかに新鮮に味わってもらうかが、大切。
繰り返し同じものを、いつも初めての時の新鮮さを持って。


いずれにしても、チャペックの「ロボット」はなかなか、不幸なディストピア物語ですが、チャペックのユーモアにかかると、厭世的な気分ではなくなります。わたしは、ロボットほどできなくても全然いいんだ、と。新しいことなんかできなくても、全然いいんだ、と。自分をよく知って、自分の今まで得てきたものでいいから、繰り返し同じことで全然いいんだ、何とかしなきゃいけないのは、「いつも初めての時の新鮮さを持って」でしょうか。そうか、成長しなくても全然いいんだ----じゃだめかしらね、さすがにそれじゃ。

余談。バリスタというのも、彼の業界のゴレムかも。工場で量産すると怖いかも。


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